消費者庁は6月13日、キリンシティ(株)に対し、自ら運営する店舗で提供している料理のメニュー表示について、景品表示法の措置命令を行いました。
同社は製造委託していたオリジナル商品において、あたかも黒ビールを使用しているかのように表示をしていましたが、実際は使用しておらず、優良誤認表示とみなされました。
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キリンシティ株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
(平成30年6月13日 消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180613_0001.pdf
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最近の措置命令では、外部に製造委託したり、仕入れ商品についての誤表示が問題となったケースが増えています。
内容を確認します。
【対象料理】
「赤・黒ハーフ&ハーフ」4種
「“こがね鶏”のチキンカツカリー」3種
「黒ビールカリー」5種
「10種野菜の黒ビールカリー」3種
「オム黒ビールカリー」4種
「黒ビールカリーピザ」
「スパイス香る黒ビール仕込みの牛スジドライカレー」3種
「黒ビールカリーのドリア」
「ごろごろ野菜の黒カリーココット」
以上、25料理
【表示媒体】
ランチメニュー、自社ウェブサイト、チラシ、ポスター、高田馬場店個店メニュー、グランドメニュー
【表示期間】
平成27年1月13日から平成29年9月25日まで
【違反内容】
表示:
例えば、「赤・黒ハーフ&ハーフ(大盛りを含む。)」のランチメニューーにおいて、
「コク深い味わいの黒。」
「新一番搾りスタウト(黒生)を使用し、さらにコク深く、スパイシーな味わいに生まれ変わった黒ビールカリー。」
「赤・黒ハーフ&ハーフ ¥870(大盛り¥970)」
と記載することにより、あたかも、本件25料理に黒ビールを使用しているかのように示す表示をしていた。
実際:
黒ビールを使用していなかった。
表示例:
本件に対する同社の「お詫びとお知らせ」において、誤表示の経緯と対応、誤りを生じた原因と再発防止策について次のように説明しています。
●本件発覚の経緯と対応
・2015 年1月より同社オリジナル商品として、オリジナルカリーソースを製造委託していた。
・原材料の一部である黒生ビールが 2017年9月以降商品変更になることから、製造委託先に確認したところ、黒ビールを使用していないことが 9月25日に判明し、同日より本件料理の販売を中止。合わせて内部調査を行った。
・翌日である9月26日に消費者庁に事実報告。
・2017年9月29日以降、黒ビールカリー関連料理について、「一番搾り(黒生)」を使用して販売を再開。
・2017年10月12日に、同社が運営する店舗の店頭及びホームページにおいて、お詫びと返金のお知らせを告知。
・10月13日に内部調査結果を消費者庁に自主報告し、同日以後、追加の内部調査を行うとともに、消費者庁の調査にも積極的に協力。
・2017年10月16日~11月15日までの間、ランチタイム時間にキリンシティ各店の利用客に500円分の「キリンシティご飲食券」を一人様一枚配布。
●原因
2012年5月より販売を開始した「黒ビールカリー」は各店舗内で調理していたが、品質の均一化及び効率化を目的に、2015年1月よりオリジナルカリーソースの製造委託を開始。その際、本来は、ソースの製造過程において黒ビールを使用するべきところ、同社と製造委託先間の認識に齟齬があり、黒ビールを使用していない商品が納入されていた。
●再発防止策
・オリジナル商品を外部に製造委託する場合は、依頼内容と最終仕様が一致するように「製造委託、採用における運用フロー」を策定し、確実に実行する。
・メニュー表や販促物等の作成に関し、景品表示法をはじめとする関係法令及び監督官庁のガイドラインの理解と遵守を徹底していく。
●返金対応
不適切な表記があった期間中の対象商品の飲食会計レシートを持っている場合は、2018年8月31日までに、当該レシートをキリンシティ及びキリンシティプラスのいずれかの店舗に提示すれば、対象商品分について返金する。
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黒ビールカリー関連料理の表記に対する 消費者庁の措置命令についてのお詫びとお知らせ
(キリンシティ HPおよびニュースリリース 2018年6月13日)
http://www.kirincity.com/wp/info/curry2018/
http://www.kirincity.com/wp/wp-content/uploads/2018/06/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B920180613.pdf
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最近の措置命令では、外部に製造委託したり、仕入れ商品についての誤表示が問題となったケースが増えています。
自社で販売する商品について、社内外での情報の確認・共有、広告に関する法規制の理解浸透が求められます。
≪関連記事≫
・液晶ディスプレイ性能表示に優良誤認、DMM.ComとODM供給先UPQに景表法措置命令(消費者庁:平成30年3月29日)
・グリーンコープ連合に景表法措置命令。仕入れ先メーカーの品質管理ミスで
(消費者庁:2018年3月27日)
・ホクレンに景表法措置命令。加工食品の店頭POPの道産原料表示に誤り
(北海道:2017年8月22日)
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