アフィリエイトサイトの表示も規制対象!ブレインハーツの通販サイトに景表法措置命令(消費者庁:平成30年6月15日)

6月15日、消費者庁は大阪市の健康食品、化粧品、下着等の販売業者(株)ブレインハーツに対し、食品や下着の痩身効果、石けんの美白効果、また価格に関する表示について、景品表示法違反(優良・有利誤認) の措置命令を行いました。
優良誤認は不実証広告規制(※)を用いた処分となっています。

本措置命令では、対象表示媒体に同社のウェブサイトに誘導するアフィリエイトサイトも記載されており、アフィリエイトサイトの表示も景表法の規制の対象となることが初めて明記され、注意喚起された事案となります。

同時に、合計2,229万円の課徴金を納付命令も出されています。

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株式会社ブレインハーツに対する景品表示法に基づく措置命令及び課徴金納付命令について
(消費者庁 平成30年6月15日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180615_0003.pdf
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(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。

今回は措置命令内容とアフィリエイトサイトの不適切な表示の法的規制について、次回記事で、課徴金納付命令の内容について確認します。


●違反概要
【対象商品】
(1)「グリーンシェイパー」と称する食品
(2)「アストロンα」と称する食品
(3)「スリムイヴ」と称する食品
(4)「恋白美スキンソープ」と称する石けん
(5)「Smart Leg」と称する下着

【表示媒体】
自社ウェブサイト:
本件商品(1)、(4)、(5)について、「roifleur」
本件商品(2)、(3)について、「輝.com」
アフィリエイトサイト:
(1)(3)(4)及び(5)について、広告代理店を通じて、アフィリエイトサイトの運営者に対し、自社ウェブサイトの記載内容を踏まえたこれらの商品についての口コミ、ブログ記事等を作成させ、当該自社ウェブサイトへのリンクと共に当該アフィリエイトサイトに掲載させていた。

【表示期間】
(1)遅くとも平成29年5月19日から同年8月23日までの間
(2)遅くとも平成29年4月8日から平成30年1月14日までの間
(3)遅くとも平成28年11月15日から平成29年10月18日までの間
(4)遅くとも平成29年3月28日から同年10月18日までの間
(5)平成29年2月9日から同年10月18日までの間

【違反内容】
《優良誤認表示》
表示内容:
本件商品(1)
あたかも、本件商品を摂取するだけで、短期間で容易に著しい痩身効果が得られ、かつ、 痩身後の体重を維持することができるかのように示す表示をしていた。

表示例:
「※事実※ Half50認定の本商品と同等量の他社商品(非認定)を3000名に およぶ男女モニター対象に2週間摂取させた臨床試験の結果」と記載した上で以下のとおり記載。
「┏━届出に使用した研究論文でグラフ化━┓」と記載するとともに折れ線グラフを 掲載した上で「腹部脂肪面積の変化量 平均-28㎝ 内臓脂肪平均8㎝ 皮下 脂肪平均13㎝」 「2週間の使用で内臓脂肪28c㎡減 脂肪約18.9㎏分の減量を臨床試験より 記録! 脂肪18.9㎏ 米袋2個分の脂肪がお腹から除去!!」 「CTスキャンより比較 内臓脂肪が多い方 正常まで激減」と記載するとともに人 体の断面図の画像を掲載した上で「内臓脂肪面積:177.8㎝ 内臓脂肪面積:72.4㎝ もともと内臓脂肪が多い方は米袋2個分に相当する減量が臨床結 果より数値で出ています」と記載。

本件商品(2)
あたかも、本件商品を7日間摂取するだけで、その後1か月間にわたり痩身作用が持続す ることにより、容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。

表示例:
「アストロンαは飲まなかった場合と比べ12倍以上の減量速度が持続
それに加え ▼ ▼ ▼ ●8倍以上の体脂肪減少速度が約1ヶ月間、持続 ●15倍以上のウエス トサイズ減少速度が約1ヶ月間、持続 ●1.5倍以上の排便回数が約1ヶ月間、持続↓↓↓↓↓1ヶ月もの間体重が確実に減り続けます」と記載。
「15kg以上の減量は必ず想定してください」と記載。

本件商品(3)
あたかも、本件商品を摂取するだけで、短期間で容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた。

表示例:
「食べたものを体に吸収させずに全部出してしまうことができれば絶対に太らないので
す もしあなたが太りやすくて悩んでいるならば 全部出す体を手に入れれば確実に痩せます なんと!!103,269人が効果を実証」と記載。

本件商品(4)
あたかも、本件商品を使用するだけで、短期間で容易に、シミ、しわ及びたるみを解消又 は軽減するとともに肌本来の色を白くすることができるかのように示す表示をしていた。

表示例:
\こんな悩み完全に消え去ります/ 誰でも美肌になれるんです 話題沸騰中 あなたはもう知っていましたか? ▼」と記載した上で「たった3日でこの美白力」と記載するとともに人の顔を比較した画像を掲載し、「大きなシミだって完全消去」と記載するとともに人の顔を比較した画像を掲載し、「使えば使うほど \ドンドン白くなっていく/ 衝撃の美白石鹸」と記載。

本件商品(5)
あたかも、本件商品を着用するだけで、短期間で容易に著しい下半身の痩身効果が得られるとともに、下半身の余分な脂肪が胸部に移行することによる豊胸効果が得られるかのように示す表示をしていた。

表示例:
脂肪燃焼 骨盤矯正 体内循環 老廃物排出 静脈への血液循環が促進しありえない程の足に燃焼痩身効果を強制的に引き起こす!!」と記載。
「以前は下肢静脈瘤や深部静脈血栓などリンパ浮腫の予防のために医療目的で使われていた圧力ソックスを下半身痩身レギンスに改変!! むくみを防止して『すっきり 細い足を保ちたい』女性のニーズにマッチする▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼世界でただ一つ認められた特AAA級の高機能性レギンス」と記載。


実際:
当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社は期間内に資料を提出しなかった。

《有利誤認表示》
表示内容:
本件商品(1)
「通常価格14,900円(税抜)⇒ 限定特価2,980円(税抜)」と記載。
あたかも、「通常価格」と称する価額は、通常販売している価格であり、実際の販売価格が当該通常販売している価格に比して安いかのように表示していた。
実際:
「通常価格」と称する価額は、ブレインハーツが任意に設定したものであって、ブレインハーツにおいて販売された実績のないものであった。

本件商品(2)
「メーカー希望小売価格27,000円 ↓↓↓【特別モニター限定価格】 2,980円」と記載。
あたかも、本件商品(2)にはメーカー希望小売価格が設定されており、実際の販売価格が当該メーカー希望小売価格に比して安いかのように表示していた。
実際:
メーカー希望小売価格は設定されていなかった。

本件商品(3)
「通常価格14,800円(税別)↓↓↓↓ モニター価格2,980円(税別)」と記載。
あたかも、「通常価格」と称する価額は、通常販売している価格であり、実際の販売価格が当該通常販売している価格に比して安いかのように表示していた。
実際:
「通常価格」と称する価額は、ブレインハーツが任意に設定したものであって、ブレインハーツにおいて販売された実績のないものであった。

本件商品(4)
「9,800円▼▼▼ 特別価格2,980円(税別)」と記載。
あたかも、9,800円は、本件商品(4)の通常の販売価格であり、実際の販売価格が当該通常の販売価格に比して安いかのように表示していた
実際:
9,800円は、ブレインハーツが任意に設定したものであって、ブレインハーツにおいて販売された実績のないものであった。

本件商品(5)
「参考小売価格14,900円→2,980円」と記載。
あたかも、「参考小売価格」と称する価額は、本件商品(5)の製造事業者等により本件商品を取り扱う小売事業者の小売価格設定の参考となるものとして設定され、当該小売事業者に広く呈示されている価格であり、実際の販売価格が当該価格に比して安いかのように表示していた。
実際:
「参考小売価格」と称する価額は、本件商品を取り扱う小売事業者の小売価格設定の参考となるものとして設定され、当該小売事業者に広く呈示されているものではなかった。

今回の措置命令では、優良・有利誤認表示であることを消費者へ周知する方法について、アフィリエイトサイトからリンクにより同社ウェブサイトの周知文へ遷移する動線も含めるように命じています。

◆弊社に対する措置命令及び課徴金納付命令に関するお詫びとお知らせ
「roifleur」
http://roifleur.com/
「輝.com」
http://kagayakirameku.com/

●アフィリエイトサイトの不適切な表示の法的規制
アフィリエイトサイトの不適切な表示について、景表法では商品の供給者ではないアフィリエイターは規制対象とはなりません。
景表法の規制対象となる事業者は、商品を自ら供給し、「表示内容の決定に関与した者」で、
1)自ら又は他の者と共同して積極的に表示の内容を決定した事業者
2)他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた事業者
→他の事業者が決定したあるいは決定する表示内容についてその事業者から説明を受けてこれを了承しその表示を自己の表示とすることを了承した事業者
3)他の者にその決定をゆだねた事業者
→自己が表示内容を決定することができるにもかかわらず、他の事業者に表示内容の決定を任せた事業者
となっており、不当表示の故意又は過失があることは要しないとされています。

よって、以下の場合は、すべて広告主(商品の供給者)が、アフィリエイトサイトの不適切な表示についての措置を受ける可能性が高いでしょう。
・アフィリエイターに自社ウェブサイトの記載内容を踏まえて、商品の口コミ、ブログ記事等を作成させたケース。
・広告主がアフィリエイトサイトの表示内容を把握・管理していなかったケース。
・広告主のウェブサイトにおいては不適切な表示はなくても、アフィリエイトサイトに不適切な表示があるケース。

一方、規制対象が「何人も」となる薬機法、健増法においては、表示内容の決定に関与している場合には、アフィリエイターが責任主体となり規制対象となり得ます。

《参考記事》
・アフィリエイト・ドロップシッピング運営上の景品表示法上の留意事項

・アフィリエイトサイトの不適切な表示の法的責任主体は?

・痩身系健康茶、ティーライフ(株)に対し景表法措置命令。体験談広告の問題点は?消費者庁:平成29年9月29日)

・豊胸・痩身系サプリ(株)ミーロードに対し景表法措置命令。求められる消費者への誠意ある対応(消費者庁:平成29年3月30日)

景品表示法(優良誤認)の不実証広告規制。表示の裏付けとなる「合理的な根拠」の判断基準とは

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。