ホクレンに景表法措置命令。加工食品の店頭POPの道産原料表示に誤り(北海道:平成29年8月22日)

ホクレン農業協同組合連合会が道内の小売店に供給した加工食品に付して販売させていた、店頭の商品説明カード(POP)の表示に対して、北海道は8月22日に景品表示法の措置命令を行いました。
POPには、道産原料の使用を示す「70%以上使用(赤)」、「30~70%使用(緑)」、「30%未満使用(青)」と表示していましたが、実際には、一部商品については道産原料が未使用又は一部時期について未使用であり、優良誤認表示とみなされました。

平成26年12月の景表法改正で都道府県知事に付与された措置命令権限による、道内では初めての行政処分となります。

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ホクレン農業協同組合連合会における加工食品の不当表示に対する措置について
(平成29年8月22日 北海道)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/sak/grp/290822k-kouhyou.pdf
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【対象商品】
道内の小売店(Aコープチェーン・北海道)90店舗に供給した加工食品
米粉、もち、そば、ふりかけ、チョコレート菓子、焼きそば、ぎょうざ、野沢菜 10商品

【表示媒体】
商品説明カード(POP)

【表示期間】
平成25年10月~平成29年8月22日

【違反内容】
表示:

道産食材を使用した加工食品の需要拡大を図る目的で、道内の小売店に供給した加工食品に、道産食材使用率70%以上のものを「やっぱり、道産(赤)」、30%以上~70%未満のものを「たっぷり道産(緑)」、30%未満のものを「きらり道産(青)」と表示した商品説明カード(POP)を付して販売させていた。
ホクレン
(ホクレン農業協同組合連合会HP 「お詫びとお知らせ」よりキャプチャー)

実際:
道産原料が未使用(2品目は一部時期について未使用)であり、事実と異なっていた。

同社は今回の処分についての「お詫びとお知らせ」において、誤りを生じた原因について次のように説明しています。
《引用》
(1)POP作成工程において成分表による道産原料割合判定および確認が十分に行われておりませんでした。
(2)道産原料割合判定後にPOP制作を依頼している印刷会社へ提出する内容に入力ミスがありました。
(3)(1)および(2)の工程におけるチェック機能が働いておりませんでした。

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お詫びとお知らせ
(ホクレン農業協同組合連合会HP  2017年8月22日)
http://www.hokuren.or.jp/news/detail.php?id=465
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本件の違反行為は、ホクレンがPOPに誤った表示を行ったことによるものであり、加工食品メーカー及び小売店には責任は問われていません。

ホクレンは、北海道内のJAの出資による連合会で、生産者支援および消費者への安全・安心な北海道産農畜産物の供給を役割とし、北海道ブランドの構築やPR活動も担っています。
今回のような不当表示は「北海道ブランド」の毀損につながり、原料を供給する生産者、加工食品メーカー、小売店、消費者全ての信頼を損なうもので、組織の存在意義を自ら否定する行為と言えます。

ホクレンでは、今後の取り組みとして、POP作成ルールの再構築や職員研修の実施による法令順守啓発を図り、再発防止に努めるとしています。

国内で製造又は加工された全ての加工食品(輸入品以外の全ての加工食品)に、原材料の原産地を表示するよう義務づける食品表示基準の改正が、今年8月中にも施行され、2022年4月に完全施行となる予定です。
業界全体での対応が急務となっています。

◆新たな加工食品の原料原産地表示制度に関する情報(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/country_of_origin/

≪参考記事≫
・静岡県特産品「桜えび」が「中国産アキアミ」。不当表示に景表法優良誤認措置命令
(消費者庁:平成29年3月30日)

・村田園万能茶に景表法措置命令。パッケージ表示と原料原産国の優良誤認
(消費者庁:平成28年3月10日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。