新型コロナ抗原検査キット、抗体検査キットの販売事業者5社に景表法行政指導。消費者庁の監視続く(消費者庁 2021年3月26日)

現在、ドラッグストアやネット通信販売サイトなどで「研究用」などとして販売されている、新型コロナウイルスの抗原検査キットや抗体検査キットについて、自己判断で感染の有無を調べる目的で使用しないよう、消費者庁が注意喚起を行っています。

2021年3月26日、消費者庁は新型コロナウイルスの研究用抗原検査キットの販売事業者2社及び抗体検査キットの販売事業者3社に対し、景品表示法に違反のおそれがあるとして行政指導を行いました。
抗体検査キットについては、2020年12月25日にも、販売事業者6社に対して行政指導が行われています。

・新型コロナウイルス抗体検査キットの販売事業者6社に景表法行政指導。消費者庁の監視続く(消費者庁 2020年12月25日)

【厚生労働省の見解】
「研究用」として流通している新型コロナウイルスの抗原検査キットについて:
・ドラッグストア、インターネット等を通じ、広告・販売されている研究用抗原検査キットは、薬機法に基づく承認を受けたものではなく性能等が確認されたものではない。
・新型コロナウイルス感染症の罹患の有無を調べるために必要な検査の種類や検査結果の取扱いは、各検査の特性・性能等に基づき医学的に判断する必要がある。消費者の自己判断により、新型コロナウイルス感染症の罹患の有無を調べる目的で使用すべきではない。

新型コロナウイルスの抗体検査キットについて:
抗体検査は、新型コロナウイルス感染によって産生される抗体の有無を判定する用途に用いられるものであって、使用することによって、現在、新型コロナウイルスに感染しているかどうかを判定できるものではない。
感染の判定結果について消費者が誤った認識をすることにより、感染拡大や医療機関の負担増大につながるおそれがあります。

内容を確認します。

———-
新型コロナウイルスの検査キットの販売事業者5社に対する行政指導について
(消費者庁 2021年3月26日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/023588/
———


【対象商品】
新型コロナウイルスの研究用抗原検査キット、抗体検査キット

【表示媒体】
自社ウェブサイト

【違反内容】
表示内容:
例えば、
「厚生労働省承認済み【国内唯一】」
「厚労省令で定める医療機器届出番号1●B●X●●●00●●00●01」
(※実際の表示では番号が明記されているもの)
「ご注意ください!!唯一、認可され輸入が許されている商品です。」

と表示することにより、
あたかも、当該抗原検査キットが厚生労働省によって承認等され、当該事業者と同種又は類似の商品を供給している他の事業者のものよりも品質、性能が著しく優良であるかのように示す表示をしていた。

実際:
新型コロナウイルスの研究用抗原検査キットは、厚生労働省が承認等しているものではない。

【対象商品】
新型コロナウイルスの抗体検査キット

【表示媒体】
自社ウェブサイト

【違反内容】
表示内容:
例えば、
「このキットはIgM+IgGの複合検査により、早期、中期、後期の各期をカバーでき、各期の感染者を正確に発見できます。」
「PCR法では難しいとされる感染初期での判別も可能」
検査キットを図示した画像と共に、「陽性反応 COVID-19に感染していることを示します。」
「新型コロナウイルスに感染しており、現在感染活動期であると考えられます。IgG抗体を産生している可能性があります。」

と表示することにより、
あたかも、当該抗体検査キットを使用することにより、現在、新型コロナウイルスに感染しているか否かの判定ができるかのように示す表示をしていた。

実際:
新型コロナウイルスの抗体検査キットは、使用することにより、現在、新型コロナウイルスに感染しているか否かを判定できるものではない。

また、SNS(Twitter、Facebook)を通じて一般消費者等への注意喚起を行っています。

検査キットの販売そのものは、法律で禁止されているものではありませんが、虚偽の内容を表示すれば、処分を受けることになります。

新型コロナウイルス関連の景品表示法に基づく監視は継続して行われており、2020年3月10日(第1弾)、3月27日(第2弾)、6月5日(第3弾)、2021年2月19日(第4弾)の4度にわたって緊急監視が実施され、144事業者167商品の表示に改善要請と一般消費者への注意喚起が行われています。
また、「首下げ空間除菌製品」に関しては、行政指導から措置命令まで複数回にわたり出されています。

今後も消費者庁の厳しい監視と、消費者への注意喚起が続くことが予想されます。

・携帯型の空間除菌用品の販売事業者5社に対する行政指導について
(消費者庁 2020年5月15日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/019867/

・通販事業者 東亜産業、首下げ空間除菌剤の表示に景表法措置命令。新型コロナウイルス関連商品に注意(消費者庁 2020年8月28日)

・Salute.Lab、首下げ空間除菌剤の表示に景表法措置命令。実証データは、訴求内容に適切に対応を(消費者庁 2020年12月22日)

・Nature Link、萬祥、首下げ空間除菌製品2社の表示に景表法措置命令。分かれる両社の対応(消費者庁 2021年1月15日)

≪関連記事≫

・気になる消費者庁のネット広告監視動向と処分。新型コロナウイルス予防関連商品は注意!

・洗浄ジェルのアルコール配合割合ラベル表示に景表法措置命令。輸入業者メイフラワーに処分(2020年5月19日 消費者庁)

・2度目の緊急事態宣言下、消費者庁の新型コロナウイルス予防商品緊急監視(第4弾)、45事業者42 商品・役務の表示に改善要請 (消費者庁  2021年1月~2月上旬)

・続く、消費者庁の新型コロナウイルス予防商品緊急監視(第3弾)、35事業者38商品の表示に改善要請

・根拠なし新型コロナの感染予防効果、34事業者41商品の表示に改善要請。消費者庁の緊急監視(第2弾) (消費者庁  2020年3月9日~3月19日)

・消費者庁、新型コロナウイルス予防商品緊急監視 30事業者による46商品の表示に改善要請(消費者庁  2020年2月25日~3月6日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。