定期購入、ネット利用者の約13%が利用、その9割が満足。「意図せず定期購入となった」は1割 (「定期購入型電子商取引に関するアンケート調査」 2017年12月20日)

「お試し」のつもりが定期購入になっていた、という健康食品や化粧品のネット通販の定期購入トラブルが急増していることを受け、平成29年12月1日に特定商取引法が改正され、通信販売での定期購入契約に関する表示義務が盛り込まれました。

消費者トラブルには適切な対応が求められますが、定期購入契約自体は実際に、ネットショッピングを利用している消費者にどのように利用されているのでしょうか。

今回は、2017年12月20日に「定期購入」をテーマに開催された「第27回インターネット消費者取引連絡会」の検討資料「定期購入型電子商取引に関するアンケート調査(2017年12月20日 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)」(※)より、消費者の定期購入型オンラインショッピングの利用状況とトラブル防止に対する事業者の取り組み事例について、2回に分けて取り上げます。
調査は、20歳以上のインターネット利用者で、過去1年間に定期的に物品が届けられる定期購入型オンラインショッピングを利用した者を対象に行っています。

《調査項目》
定期購入型オンラインショッピングの利用状況(この1年間の利用率)
定期購入型オンラインショッピングの満足度
定期購入型オンラインショッピングを利用したことがある商品
定期購入型オンラインショッピングで利用した端末
定期購入型オンラインショッピングを知ったきっかけ
定期購入型オンラインショッピングの1カ月あたりの支払金額
定期購入型オンラインショッピングを利用した理由


定期購入型オンラインショッピングの利用状況(この1年間の利用率)
この1年間にオンラインショッピングを利用した者は55.5%。この1年間に定期的に物品が届けられる定期購入型オンラインショッピングを利用した者は13.3%。
定期購入型オンラインショッピングの利用率は年代が高くなるほど、高まる傾向が見られる。
定期購入_利用率

定期購入型オンラインショッピングの満足度
直近に申し込んだ定期購入型オンラインショッピングについての満足度(「大変満足」、「やや満足」の合計)は、全体的な満足度が91.3%と9割以上となっている。
「価格」(80.2%)、「商品品質」(91.8%)、「届けられる周期・タイミング」(89.0%)。
定期購入_満足度

定期購入型オンラインショッピングを利用したことがある商品
定期購入型オンラインショッピングで購入している商品は、「ダイエット・健康食品関連」(61.2%)、「化粧品、美容品」(31.4%)、「食品」(24.3%)が多い。
定期購入_利用商品

定期購入型オンラインショッピングで利用した端末

定期購入型オンラインショッピングの申込みに最もよく利用した端末は年代で傾向が大きく異なる。20代~30代では「スマートフォン」が主(20代:59.8%、30代:56.9%)。40代以上は「パソコン」が主(40代:62.7%、50代:77.5%、60代:97.1%)。
定期購入_利用端末

定期購入型オンラインショッピングを知ったきっかけ
直近に申し込んだ定期購入型オンラインショッピングを知った経路としては「電子商取引事業者のホームページ」(40.0%)、「インターネット上の広告」(39.4%)が主。
上の年代ほど「インターネット上の広告」で知った者の比率が高くなる傾向がみられた。「口コミサイト」、「SNSやブログの記事」、「SNS上の広告」、「家族・友人・知人からの紹介」で知った者には、 20代、30代の者が多い。
定期購入_認知経路

定期購入型オンラインショッピングの1カ月あたりの支払金額
直近に申し込んだ定期購入型オンラインショッピングで支払っている月額費用は、2,501円~5000円(34.5%)、1,001円~2,500円(29.0%)で、5,000円以下が78.8%を占める。
5,001円以上支払っている者が占める比率は、30代が最も高い(26.5%)。
定期購入_月額費用

定期購入型オンラインショッピングを利用した理由
定期購入型オンラインショッピングを利用した理由は、「価格上のメリット」、「利便性」にある。
価格上のメリット:「割引料金で購入できるから」(64.3%)、「送料が無料」(33.5%)。
利便性:「買い忘れる、買い逃すことがなくなるから」(25.1%)、「定期的に注文するのが面倒だから」(24.1%)。
「定期購入にするつもりなく注文していた」は9.8%。
定期購入_利用理由png

調査の結果より、定期購入型オンラインショッピングはインターネット利用者の約13%に利用され、その9割に満足が得られていることが分かりました。
ただし、定期購入トラブルの原因となる「定期購入にするつもりなく注文している」人が1割程度いるという結果となっています。
次回は、意図せず定期購入となった理由や困った経験等の状況を確認しながら、トラブル防止のための事業者の対策事例を紹介します。

(※)
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定期購入型電子商取引の動向整理
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/adjustments_index_8_180111_0002.pdf
(三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株) 2017年12月20日)
定期購入型電子商取引に関するアンケート調査 調査概要
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/adjustments_index_8_180111_0003.pdf
調査期間: 2017年11月13日(月)~11月14日(火)
調査方法: Webアンケート
調査対象:20歳以上のインターネット利用者
【スクリーニング調査】一般消費者
【本調査】過去1年間に定期的に物品が届けられる定期購入型電子商取引を利用した者
割付条件:
性別(男性・女性)×年代(20代、30代、40代、50代、60歳以上)で
均等に割付(各51人)
有効回答数:【スクリーニング調査】10,000人 【本調査】510人
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≪関連記事≫
・通販の定期購入契約で気を付けたい特商法の留意事項とは。購入手続き画面表示の具体例(特定商取引に関する法律施行規則改正(平成29年12月1日施行))

・健康食品や化粧品等、通販で定期購入契約を行う際の広告に、販売条件の明記が義務付けに(特定商取引に関する法律施行規則の一部を改正する命令(平成29年6月30日公布))

・「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」改訂。お試し価格を設定して定期購入契約を行う際の注意ポイント(経済産業省 平成29年6月)

・消費者保護の更なる強化。特商法・消契法の改正案閣議決定(平成28年3月4日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。