特商法改正後も増加する定期購入契約トラブル。景表法規制も

国民生活センターが公表したPIO-NETに登録された2018年度の危害情報では、2018年度の危害情報は、「化粧品」が1,819件で1位となり、2016年度と2017年度の1位だった「健康食品」を抜きました。

これは、先日の記事で取り上げた、「まつ毛美容液」に関する危害情報が2018年度に急増したことが要因とされ、「化粧品」の危害情報の約15%を占めています。

・急増するまつ毛美容液による危害。医薬部外品、効能等表示に注意!(国民生活センター調査 2019年8月)

安全性の問題は確かに深刻ですが、実は、「まつ毛美容液」に関する消費者相談の約9割に上るのが「契約・解約」、約75%が「販売方法」に関する相談です。
被害事例でも、定期購入で「まつ毛美容液」を購入し目の周りが腫れたなどの被害を受けても解約できない、といった内容が多数見られます。

通常価格より安い価格で購入したところ、実際は定期購入だったといった「化粧品」「健康食品」の定期購入トラブルの相談は、2018年度も相変わらず増加しています。
国民生活センターのPIO-NETに登録された2018年度の相談件数は21,698件となっています。(2017年度:18,577件)



◆2018年度のPIO-NETにみる消費生活相談の概要
(国民生活センター 2019年8月8日:公表)
 http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20190808_3.html

東京都では、8月の国民生活センターの調査による「まつ毛美容液」の注意公表に先立って、2019年3月に注意情報を公表しています。
都では、消費者に対して皮膚障害への注意喚起だけでなく、定期購入の商品かどうか、肌に合わないなど、やむを得ず使用できない場合に返品できるかどうかを確認するようアドバイスしています。

◆まつ毛美容液で皮膚障害が生じたという相談が増加しています!
 ~肌に合わない場合もあることを考えて購入しましょう ~
(東京都 2019年3月12日)
 https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/sodan/kinkyu/190312.html

そんな中、埼玉県から「いつでも解約」を謳った育毛剤に対する景表法措置命令が出されました。
・育毛剤(株)RAVIPAに景表法措置命令。「いつでも解約」「顧客満足度」「使用体験者の年齢」「お手入れなし・あり写真」に不当表示認定 (埼玉県 2019年8月20日)

定期購入契約トラブル防止のために、契約時の販売条件の明記を義務付けた特商法の施行規則一部改正(2017年6月施行)の運用効果も上がらない状況の中、「いつでも解約」を謳った育毛剤に対する景表法措置命令が、業界に対して影響を与えてくれることを期待します。

《関連記事》

・健康食品や化粧品等、通販で定期購入契約を行う際の広告に、販売条件の明記が義務付けに
(特定商取引に関する法律施行規則の一部を改正する命令(平成29年6月30日公布))

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。