東京都では、毎年、法令違反の可能性が高いと思われる健康食品の試買調査(販売店、インターネット通信販売)を行い、不適正な表示・広告を行った事業者に対し改善等を行っています。
成分検査による医薬品成分の検出も確認しています。
2022年度の調査では、消費者への注意喚起として、以下の事例が示されています。
【不適正な事例】
「関節炎を治す」
「抗腫瘍作用」
「アトピー性皮膚炎」
「食欲抑制剤」
「発毛」
「認知症の改善」
広告表示違反の傾向について、確認してみましょう。
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健康食品の不適正な表示・広告にご注意!令和4年度健康食品試買調査結果
(2023.3.29 東京都福祉保健局生活文化局)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/03/29/31.html
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試買品目数125品目のうち103品目で法令違反の疑い
今回調査で購入した健康食品125品目のうち103品目で、試買品目数の82%に製品表示や広告に法令違反又は違反の疑いあり。
購入方法別では、店舗購入42品目中24品目、ネット購入83品目中79品目が不適正な表示・広告となっている。
前回2021年度調査では、126品目のうち違反品目は102品目(店舗購入46品目(内、違反品目24品目)、ネット購入80品目(内、違反品目78品目))と、ほぼ同水準の違反状況となっている。
また、1製品からN-アセチル-L-システインの医薬品成分が検出された。
注目されている製品テーマ(購入品目の多いもの)として、店舗、ネット共に「美白、美容、美肌」となっており、特に販売店では「男性機能向上」、「抗糖化・エイジングケア」、ネットでは「ダイエット効果」、「免疫力増強」が多くなっている。
違反が多い品目は、「美白、美容、美肌」(17品目)、「ダイエット効果」(17品目)、「免疫力増強」(15品目)、「抗糖化・エイジングケア」(13品目)、「男性機能向上」(10品目)となっている。
表示違反が多い法律は、薬機法、食品表示法(衛生事項)
医薬品医療機器等法が84件と突出している。次いで、食品表示法(衛生事項)45件、食品表示法(保健事項)30件、特定商取引法28件、景品表示法27件となっている。
製品テーマ別では、主に以下の法律での違反が目立つ。
美白、美容、美肌:医薬品医療機器等法、特定商取引法、食品表示法(保健事項・衛生事項)、景品表示法
ダイエット効果:医薬品医療機器等法、食品表示法(衛生事項)、景品表示法
免疫力増強:医薬品医療機器等法、特定商取引法、食品表示法(保健事項)、景品表示法
抗糖化・エイジングケア:医薬品医療機器等法、食品表示法(保健事項)、景品表示法、食品表示法(衛生事項)
男性機能向上:食品表示法(衛生事項)、医薬品医療機器等法、景品表示法
製品についての不適正な表示・広告の事例
健康増進法(健康保持増進効果等の虚偽誇大表示):
・著しく事実に相違する又は人を誤認させるおそれのある表示
製品同封のチラシに「体内(特に腸内)に残っている不純物を排出しやすくします。また、アンチエイジングを促すハーブエキスを配合しており、体の中から細胞を活性化することが期待できます。」とその製品を飲用することで、健康保持増進効果が期待できる表現。
景品表示法:
・優良誤認に該当するおそれのある表示
「飲むだけで日々の紫外線対策プラス美白」「オーガニック100% 安心・安全」等の表示内容を裏付ける合理的根拠がない場合や「95.9%がリピート」等と客観的な実証のない場合など、その商品が他社の商品よりも優れているかのように消費者の誤認を招くおそれのある表示。
医薬品医療機器等法:
・疾病の治療又は予防を目的とする効能効果に該当
「抗腫瘍作用(がんの予防)」「大腸炎」「便秘にお困りの方」「アレルギー花粉症」「アトピー性皮膚炎」「AGA 治療」「抗認知症」「抗炎症」「脳出血」「新型コロナウイルスによる肺炎の重症化を防ぐ」「水虫予防」
・身体の組織機能の一般的増強・増進を主たる目的とする効能効果に該当 「免疫強化」「肝機能の亢進」「血液サラサラ」「発毛促進」「育毛」「新陳代謝を高める」「若返り」「胃酸の分泌を抑える」「飲む日焼け止め」「筋肉量の増大や筋肉の分解抑制」「関節のクッションとなる細胞再生を促進」
法令で義務付けられている表示についての不適正な事例
食品表示法(容器包装の表示):
・原材料と添加物が明確に区分されていなかった。
食品衛生法で既存添加物とされており、添加物として表示が必要な物質を、原材料に混在して表示していた。
・添加物が正しく表示されていなかった。
添加物の物質名のみが記載されており、用途名である「着色料」が併記されていなかった。
・表示が欠落していた。
容器包装に邦文表示がなかった。
・賞味期限が正しく表示されていなかった。
賞味期限が「月年」の順で表示されていた。
・賞味期限が表示されていなかった。
賞味期限の表示がある個包装を詰め合わせた商品について、外装パッケージ(容器包装)に賞味期限が表示されていなかった。
・栄養成分表示の任意表示事項が正しく表示されていなかった。
「ビタミンを含んでいます。」とビタミン類について強調表示をしているが、食品表示基準で定められたビタミン類について記載がなかった。
・保健機能食品と紛らわしい名称を示す用語を使用していた。
保健機能食品以外の食品に『機能性補助食品』と記載していた。
特定商取引法(通信販売広告の表示):
・通信販売広告に表示すべき事項のうち、送料、返品に関する事項(返品の可否、返品の期間等の条件、返品送料の負担の有無)などをインターネット通販の広告画面にわかりやすく表示していなかった。
・インターネット通販で画面に表示される手順に従って申込みを行う「特定申込み」において、最終確認画面に表示すべき事項のうち、返品や解約、商品の引渡時期などを消費者が簡単に確認できるように表示していなかった。
不適正な表示・広告を行った事業者に対しては改善等を指導しており、他の自治体が所管する事業者については当該自治体に通報し、指導等を依頼しています。
他にも東京都では、インターネット広告表示監視事業により発見された不当表示に対して改善指示を行ったり(※)、消費者庁では、国と地方、地方の間での調査情報、被疑事案情報の共有を図ることを目的とした『景品表示法執行NETシステム』を、2012年4月から運用しています。
(※)
・令和3年度ネット広告(年間24,000件)監視 234通販事業者に改善指導!(東京都)
<関連記事>
・東京都サイバー薬事監視の取組(1)【ネットショッピングモール(B to C)編】
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