虚偽誇大広告の「あたかも認定」に注意! 健康食品ガイドライン (消費者庁)

健康食品の広告表示規制の最新動向です。
2月24日に開催された、公益社団法人日本広告審査機構(JARO)主催の以下のセミナーを聴講してきました。
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 「食品の表示に関する考え方と動向~健康食品ガイドラインの解説~」
    講師:消費者庁 表示対策課 課長補佐 弁護士 星知矩氏
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特に今回は、昨年12月に発表された健康食品に関するガイドライン「いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」(※1)(※2)、その作成に携わられた消費者庁表示対策課の星氏の解説より、消費者庁の考え方を直接聞くことができる貴重な機会となりました。
ガイドラインを読むだけでは分からない、重要ポイントをピックアップしてお伝えします。


●本ガイドラインが今後、虚偽・誇大広告規制の判断基準として活用される
本ガイドラインは、健康食品の虚偽・誇大広告に関する景品表示法及び健康増進法の両法の考え方を整理し、統一的な留意事項としてまとめられたものです。
しっかりチェックが必要です。

●「健康維持」は薬事法でOKでも、健康増進法ではNGの可能性あり
本ガイドラインの健康増進法で対象とする「健康の保持増進の効果」とは、「健康状態の改善」又は「健康状態の維持の効果」となっています。

「健康維持」は薬事法ではOK表記とされていますが、健康増進法では、その内容が著しく事実に相違する、又は著しく人を誤認させるような表示である場合は、違反となる可能性があるので要注意です。

また、例えば「健康保持増進効果等」を直接標ぼうしていなくても、暗示的又は間接的に表現することも対象となります。
例)「溜まったものをスッキリ」⇒「ダイエットの効果」

●口コミ、ステマ、バイブル本が虚偽誇大広告となりうる理由とは
表示されている健康保持増進効果等と実際の健康保持増進効果等に相違がある場合、健康増進法の虚偽誇大広告となる要件である、「著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示」の「著しく」に該当するという判断からです。

ステルスマーケティング・口コミ:
食品の製造業者、販売業者等(第三者に当該表示をするように依頼した者を含む。)によって、その食品の購入者個人による自発的な表明であるかのような表示

バイブル本:
その食品の健康保持増進効果に関する書籍による表示

理由:
一般消費者は、通常、広告にはある程度の誇張があることを織り込んで表示内容を判断し、商品を選択しているが、明らかに広告であるとは一般消費者が認識できないような表示(口コミ、ステマ、バイブル本)は、通常の広告より一般消費者の商品選択に与える影響が一般的に大きいと考えられる。

●景品表示法の「合理的根拠」提出期限は15日。資料提出を求められる以前のもので
消費者庁から優良誤認表示に当たるかどうかを判断する材料として、表示の裏付けとなる合理的根拠の資料提出求められた場合の提出期限は、原則15日とされています。
これは、当然のことながら、資料提出の求めより以前に、既にある資料でなければなりません。(合理的根拠に基づいた広告でなければならない)
15日とは、既にある資料を整えてコピーする作業のための期間なのです。
ですから、消費者庁の調査が入って資料提出を求められてから、慌てて試験・調査などの根拠資料を作成しても、それは合理的根拠資料とは認められません!
提出資料が合理的根拠と認められない場合、行政処分(措置命令)の対象となります。

●虚偽誇大広告の「あたかも認定」に注意!
「あたかも認定」とは、消費者庁用語だそうです。
例えば、コマースゲート社の「夜スリムトマ美ちゃん」の痩身効果表示に対する景表法措置命令は不実証広告規制による典型的な「あたかも認定」といえます。

措置命令文(抜粋)
「あたかも、対象商品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく容易に著しい痩身効果が得られるかのように示す表示をしていた」

表示対策課の星氏によると、健康食品の広告表示規制は3つに分類されるとしています。
1)特定表示義務付け型(JAS法など)
2)特定表示禁止型(薬事法)
3)虚偽表示禁止型(景表法、健康増進法)

3)の虚偽表示禁止型は、1)や2)のように「特定の表示(用語・文言)」を一律に規制対象にしているわけではありません。
広告に表示されている事実や「印象」「期待感」と、実際のものが著しく乖離していることが問題となります。
——

「あたかも認定」とならないよう、一般消費者目線を意識した広告を心がけることが大切です。

(※1)
「いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」
(消費者庁 平成25年12月24日)
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/131224premiums_1.pdf

(※2)
 「いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について(案)」公表
 (消費者庁 平成25年11月1日)
http://compliance-ad.jp/complianceblog/control/52/

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。