令和3年度の食品表示法違反処分、「指示」は国10件、都道府県11件で前年度の二倍に(食品表示法:R3年度)

先日の記事では、令和3年度の食品表示法指導状況をお伝えしました。
・令和3年度食品表示法違反「指導件数」は156件 加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が57%
今回は、食品表示法違反「指示」、「命令」の行政処分状況について取り上げます。
令和3年度の「指導」件数は前年度より9件増加しましたが、国による「指示」は5件、都道府県による「指示・命令」4件の増加となりました。
国による加工食品、都道府県による生鮮食品に対する指示件数が大きく増加しました。


指導:
「食品表示法に基づく指示及び指導並びに公表の指針」に照らし、食品表示基準違反が常習性がなく過失による一時的なものであり、違反事業者が直ちに表示の是正を行い、事実と異なる表示があった旨を速やかに情報提供している場合に行う行政指導
指示:
「食品表示法に基づく指示及び指導並びに公表の指針」に照らし、指導に該当しない場合に行う行政指導(食品表示法第6条第1項及び第3項)
命令:
食品表示法第6条第1項又は第3項の指示に係る措置を、正当な理由なく履行しない事業者に対する行政処分(食品表示法第6条第5項)、「食品表示法に基づく命令等の指針」に照らし、食品の回収等又は営業停止を命ずる行政処分(食品表示法第6条第8項)

食品表示法第4条第1項の規定に基づいて定められた食品表示基準の違反に係る同法第6条第1項及び第3項の指示及び指導並びに公表の指針(消費者庁 国税庁 農林水産省 平成27年3月20日)
http://www.maff.go.jp/j/kokuji_tuti/tuti/attach/pdf/t0000924-1.pdf

食品表示法の食品表示基準に関する指示件数、国は10件、都道府県は11件

令和3年度の指示の対象となった品目の内訳では、生鮮食品について国が3件、都道府県は7件。加工食品については国が7件、都道府県は4件となっています。
また、「指示」に従わない場合の改善措置の「命令」は、国、都道府県ともに0件でした。

食品表示法の食品表示基準に係る指示及び命令件数(※1)

注: 一つの指示の中で複数の品目区分の食品が対象となったケースがあり、品目区分数の合計は指示件数と一致しない。

(※1)
食品表示法の食品表示基準に係る指示及び命令件数について(令和3年度)
(2022年7月 消費者庁 国税庁 農林水産省)   
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/assets/representation_cms214_220715_01.pdf

原料や産地の不当表示では、食品表示法、不正競争防止法による処分だけでなく、景品表示法での処分の可能性もあります。
以下は、令和2年度、3年度の措置命令事案です。

・1社当たり商品数過去最多 ビックカメラECサイトの177商品の原産国表示に景表法措置命令(消費者庁 2021年9月3日)

・「うなぎ蒲焼」の「国産」と半額表示、大阪市による景表法の措置命令(大阪府 2020年5月20日)

・ファミリーマートと山崎製パン、食パン原材料の表示に景表法措置命令。山崎には食品表示法の「指示」も(消費者庁:2020年3月30日)

景品表示法上は、商品の原産国を必ず表示しなければならないと義務付けているものではありません。
しかしながら、その商品の原産国以外の国に関する表示をすることにより、一般消費者が当該商品の原産国を判別することが困難となる場合は、不当表示となるおそれがあり、当該商品の原産国が一般消費者に誤認されないよう、原産国を明らかにするための表示をする必要があります。

商品の原産国や原材料の産地表示を行う際の留意点を、以下の記事にまとめています。
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≪参考記事≫
・食品の表示違反動向
(食品表示法:R2年度)
(食品表示法:R1年度)
食品表示法:H30年度、警察庁:H30年
(食品表示法:H29年度、警察庁:H29年)
食品表示法:H27年度、警察庁:H27年
(JAS法:平成26年度、警察庁:平成26年)
(JAS法:平成25年度、警察庁:平成25年)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。