令和3年度食品表示法違反「指導件数」は156件 加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が57%

食品表示法が2015年4月1日に施行され、加工食品、添加物、生鮮食品、全ての表示について、経過措置期間(基準の施行後、新ルールに基づく表示への移行のための猶予期間)が2020年3月31日までに終了し、移行完了となっています。

毎年6月と12月の半期ごとに公表されている、食品表示法の食品表示基準による国(消費者庁、国税庁及び農林水産省による)の指導件数(※)について、令和3年度の指導件数は、156件でした。
上半期(2021年4月~2021年9月)は72件、下半期(2021年10月~2022年3月)は84件で、前年度同期比で上半期は21件増加、下半期は12件減少、年間で9件増加しています。

指導概況と最新の食品表示法改正内容について確認します。

注:食品表示法では、次に掲げる項目全てに該当する場合は、業者名・違反事実等の公表はせず「指導」に留めています。
1)食品表示基準違反が常習性がなく、過失による一時的なものであること。
2)違反事業者が直ちに表示の是正(表示の修正・商品の撤去)を行っていること。
3)事実と異なる表示があった旨を、社告、ウェブサイトの掲示、店舗等内の告知等の方法を的確に選択し、速やかに情報提供しているなどの改善方策を講じていること。

(※)
令和3年度上半期食品表示法の食品表示基準に係る指導の件数等について
(2021年12月 消費者庁、国税庁及び農林水産省)https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/assets/representation_cms214_220715_03.pdf

令和3年度下半期食品表示法の食品表示基準に係る指導の件数等について
(2022年7月 消費者庁、国税庁及び農林水産省)https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/assets/representation_cms214_220715_02.pdf


生鮮食品68件、加工食品97件で前年度比ほぼ横ばい

生鮮食品では「原産地の誤表示・欠落」が上半期83.9%、下半期77.3%。加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が上半期61.0%、下半期52.3%

令和3年度における指導の分類(上半期、下半期)

更に詳しい品目別の違反内容の内訳は以下の表のとおりです。

注:一つの指導の中で複数の品目区分の食品が対象となった事例では、品目区分ごと
に主な違反区分を整理しており、その合計は指導件数と一致しない

国内で製造又は加工された全ての加工食品(輸入品以外の全ての加工食品)に、原材料の原産地を表示するよう義務づける食品表示基準の改正が、2017年9月に施行され、2022年4月に完全施行となりました。
2021年度の指導97件のうち、「原料原産地の誤表示・欠落」は19.6%程度となっています。

・新たな加工食品の原料原産地表示制度に関する情報(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/country_of_origin/

本改正に伴い、2021年7月に横浜市の食品スーパーで消費者庁が実施した加工食品の原料原産地表示の有無などを調べた実態調査(※)では、1454商品中(輸入品及び添加物のみで構成される加工食品等を除く)「表示なし」が22.8%(332品)という状況となっています。

(※)
令和3年度 新たな加工食品の原料原産地表示制度等に係る表示実態調査結果
(消費者庁 2022年3月28日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_function_claims/assets/food_labeling_cms202_220328_01.pdf

また、2022年3月30日には、「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」が公表され、「無添加」と「不使用」の表示に規制がかけられるようになりました。本ガイドラインに基づく表示の見直しは、2024年3月末までに行うことが求められています。
・食品添加物の不使用表示に関するガイドライン
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_220330_25.pdf

表示管理体制をしっかりと見直しましょう。
また、食品表示基準に関する通知やQ&Aも随時改正されていますのでチェックしておきましょう。
・食品表示基準に係る通知・Q&Aについて
http://www.caa.go.jp/foods/index18.html#m01-17

≪参考記事≫
食品表示法の食品表示基準に係る国による指導状況
・令和2年度食品表示法違反「指導件数」は147件 加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が46.9%
・令和元年度食品表示法違反「指導」件数は169件 加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が57.3%
・平成30年度食品表示法違反「指導件数」は218件 加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が60%
・平成29年度下半期食品表示法違反「指導件数」は124件 加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が51.3%
・平成28年度上半期食品表示法違反「指導件数」は135件 加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が53.2%
H27下半期食品表示法「指導件数」164件 加工食品では「原材料名の誤表示・欠落」が48.9%
・新制度施行後初。H27上半期食品表示法指導状況

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。