消費者の東京都への悪質事業者通報、通販が5割、誇大広告は健康食品、化粧品関係が約3割(東京都 悪質事業者通報サイトの通報概要(令和2年度))

東京都の消費者からの悪質事業者や誇大広告に対する通報が増加しています。

東京都では、悪質商法の手口や被害状況等を迅速に収集するため、ホームページ上で悪質事業者、誇大広告、架空請求に関する通報を受け付けています。

2020年度は2019年度に引き続き架空請求の通報は大幅に減少したものの、悪質事業者に関する通報が前年度に比べ約25%増加しています。
2020年度(悪質商法824件,誇大広告170件,架空請求596件)
2019年度(悪質商法654件,誇大広告133件,架空請求926件)
2018年度(悪質商法432件,誇大広告74件,架空請求2,564件)
2017年度(通報286件)

また、通報から事業者指導、処分等につながった実績は、以下の通り、通報件数増加に伴い増加しています。
悪質事業者について、2020年度は行政指導が33件(2019年度:12件、2018年度:6件、2017年度:5件)、行政処分が3件(2019年度:3件、2018年度:1件、2017年度:1件)。
誇大広告ついて、2020年度は行政指導が27件(2019年度:15件、2018年度:7件)。
架空請求について、2019年度は事業者名等の公表が35件(2019年度:51件、2018年度:97件、2017年度:0件)。
※同一事業者への複数の通報あり。

悪質事業者通報サイトへの通報・処分件数


2020年度の「悪質事業者通報サイト」の通報内容から、通信販売に関連する通報の概要と特徴を見てみます。

【悪質事業者】
販売形態別では、通信販売が415件 (2019年度:341件、2018年度:165件) 、訪問販売が180件(2019年度:132件、2018年度:124件)、電話勧誘販売が82件(2019年度:91件、2018年度:55件)で、通信販売が最も多く、50.4%と半数を超えた。

《通信販売の主な通報事例》
・代金を振り込んだのに商品が届かず、事業者と連絡がつかない。(63.6%)
・「マスクを高額で転売していて違法だ」など新型コロナウィルス感染症関連(13.7%)
・定期購入契約関連(9.2%)

【誇大広告】
インターネット広告に関するものが91.0%(2019年度:約9割)、「健康食品」「化粧品」に関するものが29.4%(2019年度:約2割)。
優良誤認表示に関する通報が67.0%、有利誤認表示に関する通報が22.4%。

《指導につながった主な通報事例》
・「口コミランキング第1位」「満足度全国No.2」などの表示があるが、根拠がないのではないか。
・健康食品を摂取することにより痩身効果が得られるかのような表示。
・「特別キャンペーン」とあるが期間の定めがない。ずっと行っているのではないか。
・「〇〇放題プラン」とあり申し込んだら、限定条件付きだった。条件があることがわかりづらい。

東京都では、この「悪質事業者通報サイト」を2018年9月にリニューアルし、これまでの「悪質商法」「架空請求」に加えて、新たに「虚偽誇大広告」の通報受付を開始し、また、通報しやすくなるように通報窓口を一元化しました。

「悪質事業者通報サイト」の通報は、同一事業者に関する他の通報や消費生活センターの相談状況(内容・件数等)から、適用法令等を多角的に分析し、事業者調査、指導、処分等につなげているとしています。

「悪質事業者通報サイト」の通報から行政指導・処分等までの流れ

悪質事業者通報サイト
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/tsuho/

悪質事業者や広告表示に対する消費者からの厳しい目は、年々高まりを見せています。特に通信販売やインターネット広告に対する通報が拡大しており、行政処分にも通じていることに注意が必要です。

◆悪質事業者通報サイトの実績
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/tsuho/kekka/
悪質事業者通報サイトの通報概要(令和2年度)
(東京都 2021年6月25日)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/tsuho/kekka/2020.html

《関連記事》
消費者の東京都への悪質事業者通報、通販が5割超、誇大広告は健康食品関係が約2割(東京都 悪質事業者通報サイトの通報概要(令和元年度))

消費者からの広告表示に対する厳しい目 東京都「悪質事業者通報サイト」に大幅通報件数増加(東京都 2019年6月27日)

・JAROへの苦情、通販定期購入契約の苦情は減少せず。ネット広告への苦情二桁増続く (日本広告審査機構 2018年度の審査概況)

ネット通販トラブル疑似体験や通報窓口設置 「消費者力」向上を目指す自治体の取り組み

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。