カラコンの安全性確保 消費者庁が厚生労働省に対し、事業者指導・調査要請。承認基準見直しも視野に

カラーコンタクトレンズの使用者の増加と、消費者相談件数及びカラーコンタクトレンズによる眼障害の発生率の高さが報告されています。
5月22日に、国民生活センターがカラーコンタクトレンズの安全性に関するテスト結果を公表しました。これを受け、消費者庁はカラーコンタクトレンズに関する消費者被害の防止のため、厚生労働省に対して、事業者に対する指導やさらなる調査を積極的に実施するよう、5月28日付けで文書にて要請しました。

要請内容は以下の3点です。

・直径、ベースカーブにおいて、表示値からの差が大きく、承認基準を満たしていないおそれのある銘柄があった。事業者に対し品質管理の徹底や商品の改善を指導する。

・カラーコンタクトレンズには、透明なコンタクトレンズよりも短期の装用で眼障害を起こしやすい傾向がみられ、これはレンズの素材や着色状態に関係している可能性がある。眼障害の原因についてさらなる調査を行い、必要に応じて承認基準を見直すなどの検討を行う。

・消費者がカラーコンタクトレンズを適正に購入、使用できるよう、事業者に対し販売時に適切な情報提供等を行うよう指導する。

これまで「雑貨」扱いだった、視力補正を目的としないカラーコンタクトレンズは、2009年11月4日より、視力補正用コンタクトレンズと同じように高度管理医療機器として薬事法の規制対象となりました(※)。

これに伴い、カラーコンタクトレンズを輸入販売するためには、医療機器として厚生労働省の承認を受ける必要があり、また、輸入や製造等を行うには都道府県知事の許可が、販売にあたっても都道府県知事の販売業の許可、販売管理者の設置が義務づけられることになりました。

今回の国センのテストで示された眼障害の原因については、薬事法上の承認基準に含まれないものもあるようです。

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カラーコンタクトレンズの安全性
-カラコンの使用で目に障害も- (国民生活センター 平成26年5月22日 )

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■相談件数
カラーコンタクトレンズに関する相談は、2007 年度頃から増加し、2009 年度からは年間 100件前後で推移している。(図 1 参照)。
カラコン相談件数

■販売購入形態
カラーコンタクトレンズの販売購入形態は、通信販売が 81.4%(600 件)と最も多く、店舗販売(15.7%、116 件)の約 5 倍となっている。

■テスト対象銘柄
・楽天市場、Amazon.co.jp、Yahoo!ショッピングの「カラーコンタクト」の人気ランキング
・Googleにて「カラーコンタクト 通販」で検索した際に上位に表示された販売サイト
・コンタクトレンズ専門店のホームページ等
・10歳代、20歳代女性向けの雑誌

2013年8月に上記媒体調査し、利用者数が多いと考えられた17銘柄と個人輸入品3銘柄をテスト対象とした(表1参照)。
カラコンテスト銘柄

■主なテスト結果(抜粋)
・承認基準の表示の許容差を超えるものがあった。
・着色部分がレンズ最表面に確認されたもの、レンズケアによる色落ちがみられた。
・治療やコンタクトレンズの装用中止等の対応が必要な程度の角膜上皮障害といった眼に及ぼす影響がみられるものがあり。
・商品表示に必要情報の記載欠落あり。

《カラーコンタクトレンズの使用実態に関するアンケート調査(10歳代、20歳代)》
・カラーコンタクトレンズの入手、購入先は、ネット通販が39.2%と最も多く、特に10歳代では半数近くを占めていた。
・カラーコンタクトレンズを購入する際、43.5%が眼科を受診したことがなく、15.2%がレンズの種類を変更する際に眼科を受診していなかった。
・23.7%がカラーコンタクトレンズを使用していて、目の調子が悪くなったことがあると回答したが、そのうちの約半数はその際に眼科を受診していなかった。

■業界・事業者への要望
・直径、ベースカーブなど、承認基準を満たすよう品質管理の徹底や商品を改善する。
・低含水性HEMA素材のカラーコンタクトレンズは、レンズ素材、厚さ、着色方法の変更等、眼障害を起こしにくい商品を開発する。
・インターネットの着色部分に関する広告、添付文書の文字など、消費者に正しい情報を分かりやすく提供する。
・消費者が適正にカラーコンタクトレンズを購入、使用できるよう、販売時に適切な情報提供や確認を行う。

すでに、「コンタクトレンズの適正使用に関する情報提供等の徹底について」(平成 24 年 7月 18 日付け薬食発 0718 第 15 号厚生労働省医薬食品局長通知)が出されており、平成 25 年6 月 28 日付けで再周知が行われていますが、未成年を中心にいまだ十分な情報提供が行われているとは言い難い状況にあるといえます。
販売事業者として、お客様への情報提供に努めましょう。

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コンタクトレンズの適正使用に関する情報提供等の徹底について
(平成 24 年 7月 18 日付け薬食発 0718 第 15 号厚生労働省医薬食品局長通知)
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(※)
おしゃれ用カラーコンタクトレンズについて
(厚生労働省 医薬食品局 審査管理課 医療機器審査管理室)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。