詐欺的通販定期購入の事業者3社を統括 (株)LIBELLAに業務停止命令(9カ月)(消費者庁 2021年7月16日)

消費者庁は、7月15日、過去に詐欺的通販定期購入契約で処分を受けた事業者3社を統括していた(株)LIBELLA(リベラ 本店所在地:東京都新宿区)と、同社の代表取締役(北原紘高)に対し、特定商取引法違反で9カ月間の業務停止(禁止)を命じました。
また、業務停止命令と併せて、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築することなどを指示されています。

関連法人3社とは、消費者庁が2020年1月、8月及び12月に、特商法による業務停止命令等の行政処分を行った、通信販売業者の(株)GRACE(グレース)、(株)wonder(ワンダー)、(株)Kanael(カナエル)です。

今回の事案は非常に悪質な違反行為として、9か月の業務停止という厳しい処分となっています。

株式会社LIBELLA等が行う通信販売事業の概要等
(消費者庁公表資料より引用)

処分の内容を確認します。


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通信販売業者【株式会社LIBELLA】に対する行政処分について
(消費者庁 2021年7月16日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/024951/
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【事業概要】
対象事業者:株式会社LIBELLA(リベラ)
取引類型:通信販売
取扱商品:健康食品(サプリメント)等
代表者:代表取締役 北原 紘高

リベラは、(株)GRACE(グレース)、(株)wonder(ワンダー)、(株)Kanael(カナエル)(以下、「関連法人」という)とそれぞれ連携共同して、健康食品等を販売する事業を行っている。
リベラは、2018年10月以降、リベラの関連法人の設立の際にリベラの代表取締役が出資又は資金提供を行い、リベラの従業員等をその役員としていた。
また、関連法人が商品の仕入先又は製造委託先の事業者に対して負担する代金支払債務を連帯保証するほか、関連法人が行う通信販売における利益状況等をリベラの内部において広く共有し、その事業方針をリベラの従業員等に具体的に指示するなどしている。
そして、リベラは、関連法人が販売する商品の開発及び製造に関わる業務、ウェブサイトにおける表示を含む商品販売に関わる業務、顧客対応に関わる業務等を主体的に行うなど、関連法人の通信販売事業をそれぞれ統括していた。

【認定した違反行為】
(1)グレースと連携共同して行った違反行為
顧客の意に反して通信販売に係る売買契約の申込みをさせようとする行為
(特定商取引法第14条第1項第2号の規定に基づく施行規則第16条第1項第1号)

遅くとも2019年10月28日から2020年1月21日までの間、グレースのウェブサイトにおいて「麹の贅沢生酵素」と称する健康食品について「初回完全無料贅沢コース」と「贅沢おまとめコース」により、定期購入契約を行っていたが、申し込みの最終確認画面上において、申込みを完了させるためにクリック又はタップの操作をさせるボタンの表示が、当該操作が定期購入契約の申し込みとなることを、容易に認識できるように表示していなかった。

(2)ワンダーと連携共同して行った違反行為
顧客の意に反して通信販売に係る売買契約の申込みをさせようとする行為
(特定商取引法第14条第1項第2号の規定に基づく施行規則第16条第1項第2号)

遅くとも2020年4月16日から同年8月6日までの間、ワンダーのウェブサイトにおいて「麹まるごと贅沢青汁」と称する健康食品について申し込みの最終確認画面上において、定期購入契約の主な内容である、
(1) 契約期間について、購入者から解約通知がない限り契約が継続する無期限の契約である旨を明記せず、
(2) 解約条件について、最終確認画面の「特定商取引に関する法律」というリンク表示先ページにのみ記載し、最終確認画面に解約条件を表示していない上に、
(3) リンク表示を、定期購入契約の申し込みを完了させるボタンよりも下に、そのボタンの文字及び初回の合計金額が表示された部分等と比して小さくかつ目立たない色調で表示することにより、当該ページに解約条件が記載されていることが容易に認識できないようにしていた。

顧客が申し込み内容を容易に確認・訂正できるようにしていなかった。

(3)カナエルと連携共同して行った違反行為
顧客の意に反して通信販売に係る売買契約の申込みをさせようとする行為
(特定商取引法第14条第1項第2号の規定に基づく施行規則第16条第1項第1号及び第2号)

遅くとも2020年4月3日から同年10月21日までの間、カナエルのウェブサイトにおいて「True up(トゥルーアップ)」と称する健康食品について申し込みの最終確認画面上において、定期購入契約の主な内容である、
(1) 消費者が支払うこととなる金額のうち、2回目以降の商品の代金を表示せず、
(2) 契約期間について、購入者から解約通知がない限り契約が継続する無期限の契約である旨を明記せず、
(3) 解約条件について、最終確認画面の「特定商取引に関する法律」というリンク表示先ページ(「特定商取引に関する法律に基づく表記」)にのみ記載し、最終確認画面に解約条件を表示していない上に、
(4) リンク表示を、定期購入契約の申し込みを完了させるボタンよりも下に、そのボタンの文字及び初回の合計金額が表示された部分等と比して小さくかつ目立たない色調で表示することにより、当該ページに解約条件が記載されていることが容易に認識できないようにしていた。

顧客が申し込みを行う際、申込み内容を容易に確認・訂正できるようにしていなかった。

【処分の内容】
(1) 業務停止命令
内容:
通信販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
1)リベラの行う通信販売(他の販売業者等と連携共同して行うものを含む。以下同じ。)に関する商品の販売条件について広告を行うこと。
2)リベラの行う通信販売に関する商品の売買契約の申込みを受けること。
3)リベラの行う通信販売に関する商品の売買契約を締結すること。
期間:
2021年7月16日から2022年4月15日まで(9か月間)

業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して3年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続きを、法人に対しては3億円以下の罰金を科する手続きを行うこととなっています。

(2)指示
1.前記違反行為の発生原因について検証し、違反行為の再発防止策及び社内のコンプライアンス体制を構築(法令及び契約に基づく返金及び解約の問合せ等に適切かつ誠実に対応することを含む。)し、これをリベラの役員及び従業員に、業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底すること。

上記指示に違反した者には、6月以下の懲役又は100 万円以下の罰金、又はこれを併科、違反が法人の業務の場合には、行為者を罰するほか、その法人に対し100 万円以下の罰金が課せられます。

また、本件では、リベラの代表取締役である北原紘高に対し、同社が命ぜられた業務停止の範囲内の業務を新たに開始すること(当該業務を営む法人の当該業務を担当する役員となることを含む。)を2021年7月16日から2022年4月15日までの間(9か月間)、禁じる処分が下っています。

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関連会社である(株)wonder(ワンダー)の業務停止命令処分では、約半年前に特商法の指示処分を受けた事業者((株)GRACE)の代表取締役である者が、ワンダーにおいて、悪質な特商法違反行為の主導的な役割を果たしている者として、業務禁止処分を受けています。

また、本事案とは別に、2019年12月に特定商取引法違反処分を受けていた(株)TOLUTOの事案では、前代表取締役(2019年10月16日付で退任)が、同社に対し取締役と同等以上の支配力を有するものと認められる者であり、かつ、同社が停止を命ぜられた業務の遂行に主導的な役割を果たしている者に該当するとして、業務禁止処分を受けています。
TOLUTOは2019年9月6日、旧社名(株)e.Cycle時に、ダイエットサプリの「ケトジェンヌ」に対して消費者庁から社名公表を伴う消費者安全法に基づく身体被害の公表がなされ、同月30日に商号変更(e.CycleからTOLUTO)及び代表取締役の変更を行っていました。

脱法目的で商号や代表取締役の変更を行っても、同様の悪質な違反行為を行わせないよう平成29年12月の特商法改正において規制強化されています。(特定商取引法第15条の2第1項)


●次々と法人を立ち上げて違反行為を行う事業者への対処
・業務停止を命ぜられた法人の「取締役」や「取締役と同等の支配力を有すると認められるもの等」に対して、停止の範囲内の業務を、新たに法人を設立して継続することを禁止する。
⇒違反した場合、個人は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金<新設>

≪参考記事≫
続く特商法処分。ネット通販定期購入の最終申込ボタン表示で(株)GRACEに指示
(消費者庁 2020年1月22日)

・ネット通販定期購入に特商法での処分 (株)wonderと(株)GRACEの代表取締役に業務停止命令(消費者庁 2020年8月7日)

・続く、ネット通販定期購入に特商法での処分 (株)Kanaelに業務停止命令(6カ月)
(消費者庁 2020年12月18日)

・TOLUTO、アクア、GRACE wonderにみるネット通販定期購入の特商法違反処分分析

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。