トクホ広告46件の広告中3件に違反の恐れ。広告自主基準を改定(許可表示、アンケート・モニター結果、データの取り扱い等) (日健栄協 第11回 特定保健用食品広告審査会)

1991 年(平成 3 年)に発足した特定保健用食品制度。
2020年3月末現在で1074品目が許可・承認され、市場規模は6493億円(2019年度)となっています。

・2019年度トクホ市場規模6432億円、前年度比微増。食物繊維関連大幅増加

公益財団法人 日本健康・栄養食品協会では、2013年度より〈トクホ〉の広告表現の適正化と向上を図ることを目的として「特定保健用食品広告審査会」を過去10回開催しています。
今回、2020年 1月に実施された第11回審査会の審査結果概要を紹介します。

審査した13社27商品46件の広告中3件で、法令や同協会の適正広告自主基準などへの適合性に疑問があると判定しました。
第10回審査会(2019年7月実施)では、審査広告20社36商品96件の広告中7件が「問題あり」でしたが、今回は審査件数が減少したものの不適合件数割合は微減しました。(第11回6.5%、第10回7.3%)
また、同協会では、第 6-10 回の審査で確認された課題(許可表示、アンケート・モニター 結果及びデータの取扱い)について検討し、「『特定保健用食品』適正広告自主基準の改定を行っています。

審査結果を確認します。

【審査結果】
TV、新聞、雑誌の広告46件について審査を行った。
(ネットの広告については特定保健用食品広告部会で意見交換会を開催し、ネット広告の特性に応じた留意点の普及啓発活動が進められている。)
TV:29件中「A」判定(0件)、「B」判定(1件)、「C」判定(0件)
新聞:13件中「A」判定(0件)、「B」判定(0件)、「C」判定(2件)
雑誌:4件中「A」判定(0件)、「B」判定(0件)、「C」判定(0件)
(第10回:「A」判定 1件、「B」判定 4件、「C」判定 2件)

「A」判定:0 件
健康増進法に抵触する恐れや、消費者庁の「特定保健用食品に関する質疑応答集」および虚偽、特定保健用食品の許可範囲を超える表現など「「特定保健用食品」適正広告自主基準」に著しく抵触するもので、今回は 0 件。(前回は「新聞」で1件)

「B」判定:1件
「特定保健用食品に関する質疑応答集」および「「特定保健用食品」適正広告自主基準」に抵触するもので、「テレビ」で1件。
広告に表示が必要な3項目(特定保健用食品である旨、食生活のバランス文言、許可表示文言)の記載がない広告が自主基準に抵触していると判定された。

「C」判定:2件
「特定保健用食品に関する質疑応答集」および「「特定保健用食品」適正広告自主基準」に抵触するおそれのあるもの、および消費者に誤認を与えるおそれのあるもので、「新聞」で2件。

広告審査は、企業が出稿した広告について、健康増進法等の関連法規、消費者庁「特定保健用食品に関する質疑応答集」 (※1)および「『特定保健用食品』適正広告自主基準」(※2)等への適合性の観点から審査されています。

3月に発表された自主基準改訂版では、「広告に許可表示を記載する場合は、許可表示である旨を明記し、表示許可書または表示承認書に記載された文言どおり正確に表示すること」と規定。アンケート・モニター結果については、嗜好・食感などに限り、広告への使用を可能とするが、「製品の効果に関する結果は使用しないこと」を明確化しました。

(※1)
「特定保健用食品に関する質疑応答集」(消費者庁 平成23年6月)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/health_promotion/pdf/health_promotion_190329_0004.pdf

(※2)
「『特定保健用食品』適正広告自主基準」((財)日本健康・栄養食品協会)
http://www.jhnfa.org/topic80a.pdf

同協会では2019年7月より、特定保健用食品の公正取引規約の策定や公正取引協議会の設立に向けた取組みを行っており、本年3月13日に「特定保健用食品の表示に関する公正競争規約(案)」のパブコメが行われました。
結果公示はまだなされていません。

公的な公正競争規約を設定することで、表示の一層の適正化を図り、特定保健用食品に対する消費者の信頼感を一層高めると同時に、事業者にとっても広告活動を行いやすくすることが狙いです。

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「特定保健用食品の表示に関する公正競争規約(案)」等に関する意見募集について
(e-Gov[イーガブ])
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=235070033&Mode=0
—————

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第11回 特定保健用食品広告審査会 審査結果
(2020年3月16日 公益財団法人 日本健康・栄養食品協会)
http://www.jhnfa.org/topic282.html

日時:2020年1月15日(水) 13時00分~17時00分
審査対象:
広告収集期間 2019年4月1日~2019年9月30日(6 ヶ月間)
収集件数:46件 (内訳)テレビ29件、新聞13件、雑誌4件
(第10回:96件(内訳)テレビ52件、新聞32件、雑誌12件)
審査要領:
外部専門家(第三者委員)4名と協会会員企業のメンバーで構成された広告部会の代表(企業委員)3 名で構成し、企業が出稿した広告について、関連法規および「『特定保健用食品』適正広告自主基準」への適合性を確認した。
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《関連記事》

・令和の健康食品広告の法規制動向と事業者のコンプライアンス傾向

・トクホ広告96件の広告中7件に違反の恐れ。トクホ表示の公正競争規約検討進む 
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(日健栄協)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。