令和元年度ネット広告(年間24,000件)監視 329通販事業者に改善指導!(東京都)

東京都は、9月24日、令和元年度実施したインターネット広告監視の結果を公表しました。(※1)
景品表示法に違反するおそれのある不当表示の修正・削除等を、通販事業者に対し改善指導等を行っています。
この監視は平成21年度から実施されており、インターネット通販サイトの広告・表示について年間を通し継続的に調査しています。例年は7月30日に公表されていましたが、2020年は、9月にずれ込んだ模様です。

● 不当表示改善指導件数は331件、指導事業者数は329事業者
改善指導件数が今回は331件(329事業者)(前年度318件(292事業者))で、前年度に比べて指導件数は13件増、事業者数は37事業者増となりました。
指導内容の内訳では、「優良誤認」は307件(前年度294件)で、主な商品・サービスは、健康食品、化粧品、雑貨等。「有利誤認」は61件(前年度89件)で、主な商品・サービスは、エステ、健康食品、化粧品等。「過大な景品類の提供」が3件(前年度5件)で総付景品でした。
主な商品・サービスでは、健康食品で161件、化粧品で94件の広告に改善指導が行われています。

【インターネット広告監視結果(件数)】

※複数の内容に違反する広告・表示があるため、内訳は指導件数の合計とは、一致しない。


【不当表示例と問題点】
健康食品:
表示例:健康食品を摂取することで、病気や症状を予防・改善したり、免疫力向上効果が得られるかのように表示
・「体の免疫細胞を活性化」
・「病気や症状を予防・改善できる●●成分」
・「血液サラサラ」「冷え性予防」
・「ストレス解消」などと表示するとともに、「すぐ効果を実感しました」などの体験談
⇒効能効果について、合理的な根拠なく表示。(優良誤認のおそれ)

化粧品:
表示例:化粧品を使用することで、若返りや痩身等の美容効果が得られるかのように表示
・「マイナス●歳は若見せできる」などと表示するとともに、表示した年齢よりも若く見える女性の画像を掲載
・「脂肪細胞を分解促進しサイズダウン」
⇒効能効果について、合理的な根拠なく表示。(優良誤認のおそれ)

美容雑貨:
表示例:商品を使用するだけで、若返り等の美容効果が得られるかのように表示
・「しわを消す」「たるみを改善」などと表示するとともに、商品使用前後の比較するような顔写真を掲載
⇒効能効果について、合理的な根拠なく表示(優良誤認のおそれ)

景品表示法(優良誤認)の不実証広告規制。表示の裏付けとなる「合理的な根拠」の判断基準とは

健康食品、化粧品:
表示例:競争事業者のものよりも高い満足度等が得られるかのように表示
・「満足度第1位」
・「●●が選ぶ美容液 第1位」
・「人気№1」
・「信頼度№1」「勧めたい№1」
⇒主張する内容が客観的に実証されて いないおそれ(優良誤認のおそれ)

「自社調べ」だけでは、どのような人何人に満足度調査を実施したのか分からない。
調査対象の範囲・サンプル数・調査機関など、No.1表示の内容と根拠となる調査が対応している必要あり。

【景表法】「No.1表示」の注意点

エステ:
表示例:通常価格から値引きし、お得であると思わせる表示
・「コース通常価格1万円⇒50%オフ5 千円」
・「限定プラン 通常価格1万円→40%オフ 6 千円」
・「通常価格2万円→特別価格」
⇒実際には、通常価格の実態がなく、不当な二重価格を記載しているおそれ(有利誤認のおそれ)

健康食品、化粧品、エステ、各種教室等:
表示例:期間や人数限定の特別価格であり、今申し込めばお得であると思わせる表示
・「夏割キャンペーン」
・「入会金が今だけ0円で OK」
・「先着●名様に限り 80%OFF」
⇒実際には、期間や人数の明示がなかったり、キャンペーン期限が延長されるなど継続して実施(有利誤認のおそれ)

【景表法】二重価格表示の注意点~セール時の価格表示~

【景品例と問題点】
商品販売の際に提供される過大な景品類
景品例:購入者にもれなく提供される特典の景品(総付景品)
・雑貨を販売の際に、「初回プレゼント●●付」
⇒総付景品の限度額(取引価格の20%)を超えた景品の提供(総付景品の限度額超過)

【景表法】「もれなく」プレゼントキャンペーンの景品設定条件

販売事業者は、表示の裏付けとなる合理的な根拠を納入業者、製造業者や輸入業者に求める働きかけが必要です。
取引条件について、実際のものよりも、又は競争事業者よりも消費者に著しく有利であると誤認される表示や景品の設定についても十分注意しましょう。

以下もご参考ください。

・三越伊勢丹ホールディングス子会社のエムアイカードに景表法措置命令。ポイント還元率の例外表示に注意!(消費者庁:2019年7月8日)

・加熱式タバコ「期間限定」割引キャンペーン表示 フィリップ・モリス・ジャパンに景表法措置命令(消費者庁:2019年6月21)

・全国初!大阪府が産経新聞社の高額景品に景表法措置命令。都道府県による処分続く(大阪府:平成31年3月19日)

(※1)令和元年度インターネット広告・表示(24,000件)の監視結果(東京都)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/torihiki/hyoji/keihyo/20200924.html

≪関連記事≫

・平成30年度インターネット広告監視結果(東京都)

・平成29年度インターネット広告監視結果(東京都)

・平成28年度インターネット広告監視結果(東京都)

・平成27年度インターネット広告監視結果(東京都)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。