「トクホの大嘘」報道に対する国の見解は?広告と消費者に期待のギャップ

本日の気になるトピックは、「トクホの大嘘」報道について。

ご存じの方も多いと思いますが、「週刊新潮」の3月30日号の「トクホの大嘘」と題する特集記事が物議をかもしています。 (※1、※2)

特集記事では、トクホ成分の「難消化性デキストリン」や「ケルセチン配糖体」に焦点を当て、論文を精査した上で、消費者が期待するような効果はないと指摘。
同成分を配合した複数のトクホ商品を取り上げて、その効果を疑問視する内容となっています。


この記事に対して、河上消費者委員会委員長は3月28日の記者会見で、次のような主旨のコメントを述べています。(※3)

・広告の表示が、消費者に対して与えている期待の大きさとその食品の実際の 効能効果とのギャップを生んでいる。
・食品なのでそれほどの効能効果を出すわけにはいかない。本当に効能効果が あったら、薬にした方が良い。
・健康食品を敵視しているわけではなく、食品としての意味をきちんと消費者 に理解してもらうことが大事。

消費者の「食」に対する健康志向が高いことは、日本政策金融公庫の調査でも明らかです。
食の「健康志向」がさらに進む兆し。国産品「気にかける」8割(日本政策金融公庫 平成29年1月)

今回の週刊誌の報道は、消費者の健康不安に付け込んで適切な食生活を危うくするような広告は、景表法上の優良誤認という観点に留まらず、薬機法や健康増進法上の問題となり、消費者からも手痛いしっぺ返しを食うことになることを意識するきっかけになるかもしれません。

トクホ制度に関しては、消費者庁が3月17日付で、トクホの許可申請に関する「健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令」と、次長通知を一部改正しています。品質管理に関しても規制強化されています。(※4)

(※1)
“効き目ナシ”とメーカーも認識? トクホの大嘘 「コカ・コーラ プラス」新発売でも…(デイリー新潮 2017年3月29日)

(※2)
【トクホの大嘘】10億本突破「伊右衛門 特茶」 体脂肪率も体重も増加の摩訶不思議
(デイリー新潮 2017年4月3日)

(※3)
河上消費者委員会委員長 記者会見
(内閣府 2017年3月28日)

(※4)
トクホ制度見直し、「新たな科学的知見」「定期的な品質管理」の報告義務化
(「特定保健用食品の表示許可等について」の一部改正 2017年3月17日) 

≪関連記事≫

・消費者委員会の意見案まとまる トクホ制度・運用見直し、広告監視の健増法改正も視野に
(第241回 消費者委員会本会議 2017年1月17日)

健康食品の品質管理と健食ビジネス戦略 
(消費者庁 平成27年度:機能性表示食品制度における機能性に関する科学的根拠の検証)

・トクホ、特別用途食品品質調査結果公表 許可取り消しの判断根拠 (平成28年11月 消費者庁)

・日本サプリメント トクホ初の許可取り消しと、トクホ全商品の調査要請

・トクホの更新制度は復活するのか?保健機能食品の品質管理規制

・強まる健康食品への規制 トクホ広告審査と業界の自主規制の取り組み
(日健栄協 第4回 特定保健用食品広告審査会)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。