消費者庁は2025年10月10日に、「出張カキ小屋 牡蠣奉行」と称するイベントを運営するLH株式会社(東京都目黒区)に対し、景品表示法(有利誤認)に基づく措置命令を行いました。
対象となったのは、同社がイベントを通じて供給するカキ料理の価格表示です。販売実績のない「通常価格」を比較対照価格とした二重価格表示です。
今回の事案は、同一ブランド(「出張カキ小屋 牡蠣奉行」)で、同一商品(カキ料理)を、全国各地の会場において短期で提供する「全国出張イベント」という、特色のある販売形態でした。
一般的に、小売店等での二重価格表示には「最近相当期間の販売実績(いわゆる8週間ルール)」が適用されます。しかし、小売店での販売とは異なる、短期かつ単発で場所を変えて実施される「出張イベント」のような形態では、このルールの適用は困難です。
本記事では処分内容と違反認定のポイントを整理し、続く会員限定記事では、こうした特殊な販売形態において過去の販売価格を比較対照とする際の考え方を実務的な観点から深掘りします。
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LH株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁:2025年10月10日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/043788
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【違反内容】
対象料理:
「出張カキ小屋 牡蠣奉行」と称する、全国22か所の会場で開催したイベントを通じて供給する「宮城県産 カキ一盛り(約1kg) ※焼きガキ用」と称する料理。
表示媒体・表示箇所:
「出張カキ小屋 牡蠣奉行」と称するウェブサイトに掲載したチラシ。
表示期間:
2025年2月22日から5月13日までの間に22回実施された、最短46日間から最長98日間。
表示内容:
例えば、2025年2月22日から5月13日までの間、本件ウェブサイトの「出張カキ小屋『牡蠣奉行』inメガセンタートライアル石下店2025年3月7日~30日開催」と称するページに掲載したチラシにおいて、
「旬の東北のカキを特別価格でご提供!!」、「復興支援価格!!」、
「宮城県産 カキ一盛り(約1kg) ※焼きガキ用 通常価格1,320円(税込)→880円(税込)」と表示。
あたかも、「通常価格」と称する価額は、当該イベントにおいて本件料理について通常提供している価格であり、実際の提供価格が当該「通常価格」に比して安いかのように表示していた。
実際:
遅くとも2024年9月13日以降に開催した当該イベントにおいては、本件料理を880円または660円で提供しており、「通常価格」と称する1,320円で提供した実績はなかった。
【表示例】

本件では、「「通常価格」と称する価額で提供した実績はなかった。」という違反認定となっており、二重価格表示の措置命令事案でよくみられる、「最近相当期間にわたって提供された実績のないものであった」という認定にはなっていません。
実績が皆無であれば、いかなる販売形態であれ不当表示となるのは明白であり、判断としては明確です。
ここで実務上の判断に悩むのは、「通常価格」と称する価額での販売実績が多少なりとも存在した場合の扱いです。
「通常価格」を比較対照価格とする場合の正当性を担保するには、一般的には、同一の商品について「最近相当期間にわたって販売されていた」実績(いわゆる8週間ルール)が求められます。
しかし、本件のような「異なる場所で、短期かつ単発で実施される出張イベント」において、このルールをそのまま適用・遵守するのは非常に困難です。こうした特殊な販売形態において、過去の販売価格を比較対照とする際の、販売実績としての「期間」や「場所」の考え方は、どのように判断されるのでしょうか。
会員限定記事では、この「出張イベント型」ビジネスにおける過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示についての考え方を深堀し、実務的対応を考察しています。 この機会にぜひご登録ください。
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