●露わになったずさんな表示管理体制
同社が12月10日に発表したプレスリリースによると、本件は消費者庁への自主申告を行ったもので、原因について「表記に関するチェック体制が適切に働かなかったことによるもの」とし、「カタログ/ウェブ等表示物の制作・承認プロセスの見直しと体制強化に努める」としています。
また、措置命令対象の表記は、2021年8月31日までにすべて修正済みとしています。
ただし、問題発覚から、自主申告、表記修正対応は、必ずしもスピーディとは言えないようです。
報道によると、措置命令に至った経緯と、対象車種の購入顧客に対する対応について以下のように報じられています。
同社によると、問題が最初に発覚したのは20年9月。社内で誤表記の指摘を受けてのことだったという。同12月に消費者庁に自主申告を行い、対象車種を購入した顧客に販売店を通じて告知。交換可能な装備については無償での交換対応を順次進めているという。
消費者庁、メルセデス・ベンツ日本に景品表示法違反で措置命令 カタログやwebサイトの標準装備の表記で
https://www.netdenjd.com/articles/-/259923
(日刊自動車新聞 2021年12月14日)
2020年9月に発見された誤表示が、どの表示媒体のものかはわかりませんが、最も古い表示は2020年6月25日であり、2か月以上は誤表示が気づかれずに放置されていたものと考えられます。
また、指摘を受けた表示媒体は多数あり、さらに同年12月の自主申告後においても、4か月以上誤表示がなされた媒体があり(例えば、「The GLA Data Information」と称する冊子及び自社ウェブサイトについては、2021年4月5日~2021年8月31日までの間)、表示物の管理体制のずさんさが読み取れます。
また、同社が原因とした「表記に関するチェック体制が適切に働かなかったことによるもの」について、他の報道では以下のように報じています。
原因について、同社は、商品企画の担当部署が持つ車の装備の情報が、カタログを作成する部署にうまく伝わらず、公表前のチェックも不十分だったとしている。
オプションの自動運転を標準装備と表示 ベンツに措置命令 消費者庁
https://www.asahi.com/articles/ASPDB6HWRPDBUTIL02Q.html?iref=pc_photo_gallery_bottom
(朝日新聞デジタル 2021年12月10日)
消費者庁は同社のこのような表示管理体制不備の問題を重く見て、単なる誤表示に対する注意にとどまらず、措置命令の判断となったのでは、と推測します。
社内や仕入れ先との情報共有や連絡ミスなど、表示管理体制不備が問題となって措置命令となった事案は、過去にも多数あります。
・メーカー希望小売価格の廃止に気付かず、サンドラッグ、二重価格表示に景表法措置命令(消費者庁:2020年6月24日)
・1社当たり商品数過過去最多 髙島屋オンラインストアの化粧品・雑貨147商品の原産国表示に景表法措置命令 (消費者庁 2019年6月13日)
・液晶ディスプレイ性能表示に優良誤認、DMM.ComとODM供給先UPQに景表法措置命令(消費者庁:平成30年3月29日)
・グリーンコープ連合に景表法措置命令。仕入れ先メーカーの品質管理ミスで(消費者庁:2018年3月27日)
他方、不当表示等が発生した場合の対処方針がしっかりと機能していることで、課徴金やブランド棄損のダメージを最小限に抑えることができるケースもあり、参考となります。
・良品計画に景表法措置命令。リスクを最小限にする不当表示発生後の対応とは(前編)(消費者庁:平成30年4月25日)
・良品計画に景表法措置命令。リスクを最小限にする不当表示発生後の対応とは(後編)(消費者庁:平成30年4月25日)
不当表示を発生させない、発生後のリスクを最小化するための、広告適正管理への取り組みは重要です。
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