今年度5社目。レッドスパイスの首下げ空間除菌製品に景表法措置命令。除菌効果への打消し表示認められず(消費者庁 2021年3月18日)

今年度5社目となる「首下げ型の空間除菌製品」に対する景品表示法の措置命令です。

3月18日、消費者庁は日用品雑貨等の販売事業者(株)レッドスパイス(横浜市)に対し、同社が販売していた「首下げ型の空間除菌製品」の容器包装や自社ウェブサイトの表示に、景品表示法違反の措置命令を行いました。

今回の違反も優良誤認で、不実証広告規制(※)を用いた処分となっており、表示の裏付けとなる「合理的な根拠」が認められませんでした。

内容を確認します。

———-
株式会社レッドスパイスに対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2021年3月18日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/023454/
———

(※)
不実証広告規制(7条2項)
消費者庁長官は、商品・サービスの内容(効果、性能)に関する表示についての優良誤認表示に該当するか否かを判断する必要がある場合に、期間を定めて、事業者に表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができる。
⇒ 事業者が資料を提出しない場合又は提出された資料が表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものと認められない場合は、当該表示は不当表示とみなされる。


【対象商品】
「SARARITOウイルスブロッカー」と称する商品

【表示媒体・表示期間】
容器包装:
2020年5月1日、2020年6月1日~8月20日、2021年1月8日
自社ウェブサイト:
2020年8月6日、9月28日、10月1日、14日、19日

【違反内容】
表示内容:
例えば、容器包装において、「塩素成分で空間のウイルスから除菌・除去」
「家・電車・オフィス・学校・病院等 ウイルスが気になる場所から普段居る場所まで」
「SARARITO サラリト ウイルスブロッカー」及び本件商品を身に着けた人物のイラスト等を表示することにより、
あたかも、対象商品を身に着ければ、身の回りの空間におけるウイルスや菌が除去又は除菌される効果を得られるかのように示す表示をしていた。

表示例:容器包装(表)

(消費者庁発表資料より抜粋)

実際:
同社に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。

●打消し表示について
容器包装において、
「※使用環境によって効果が異なります。」
「本製品は全てのウイルス、菌に効果がある物ではありません。」
「使用状況により成分の効果は異なります。風のある屋外や、空気の流れが強い場所では十分に効果が発揮できません。」
と表示していたが、当該記載は、一般消費者が対象表示から受ける商品の効果に関する認識を打ち消すものではない、とみなされています。

表示例:容器包装(裏)
(赤枠部分)


「空間除菌剤」に関しては、新型コロナウイルスに対する予防効果を謳った商品に対する消費者庁の監視が強まっています。
2020年8月に東亜産業、2020年12月にSalute.Lab、、2021年1月にNature Linkと萬祥に対して措置命令が出されています。

通販事業者 東亜産業、首下げ空間除菌剤の表示に景表法措置命令。新型コロナウイルス関連商品に注意(消費者庁 2020年8月28日)

・Salute.Lab、首下げ空間除菌剤の表示に景表法措置命令。実証データは、訴求内容に適切に対応を(消費者庁 2020年12月22日)

・Nature Link、萬祥、首下げ空間除菌製品2社の表示に景表法措置命令。分かれる両社の対応(消費者庁 2021年1月15日)

いずれのケースにおいても、「使用環境によって効果が異なる」旨の打消し表示が記載されていましたが、打消し効果を認められていません。

今後も、新型コロナウィルス関連広告に対する法執行は続くことが予想されます。
また、その他の広告においても、商品の効能効果を謳う表示に対する不実証広告規制による処分は引き続き厳しく執行されることが予測されます。

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・景品表示法上の表示の裏付けとなる「合理的な根拠」。効能効果の適切な実証方法

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《関連記事》

・携帯型の空間除菌用品の販売事業者5社に対する行政指導について
(消費者庁 2020年5月15日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/019867/

・気になる消費者庁のネット広告監視動向と処分。新型コロナウイルス予防関連商品は注意!

・「空間除菌剤」17社、景表法措置命令。大幸薬品の新たな広告も問題視(消費者庁 平成26年 3月27日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。