アフィリエイトに加えてインスタ投稿が違反対象表示に。アクガレージとアシストの豊胸サプリに景表法措置命令(消費者庁 2021年11月9日)

●広告主にInstagram投稿とアフィリエイト広告を「自ら決定」と認定
Instagramについて:
アクガレージとアシストは、Instagram内のアカウントを保有する者に対し、投稿内容を指示し、表示内容を共同して自ら決定している。

アフィリエイトサイトについて:
アクガレージとアシストは、アフィリエイトプログラムを共同利用し、ASPを通じて本件2商品についての表示内容を共同して自ら決定している。

(消費者庁記者会見資料より引用)

消費者庁の説明によると、Instagram投稿について、インスタグラムで発信しているユーザーに対してサンプル提供するモニターの募集を行い、応募してきた人を対象としており、特に知名度のある有名人を対象としたわけではない。
モニターに対しては、商品や商品パッケージを開いたときの写真や胸元の写真などを「使用すること」、「#(ハッシュタグ)の記載をすることとその内容」、「サンプル配布の際にサンプル、モニターと分からないようにすること」などの指示書を渡していた。

●一般消費者によるSNS投稿は、景品表示法の規制を受けるか?
景品表示法上、規制対象となる「表示」は、以下のものです。

「顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示」(景品表示法第2条第4項)。

ですから、消費者によるSNS投稿は、上記「表示」に該当せず、規制対象とはなりません。

●SNSを活用したインフルエンサーマーケティングは景表法の規制対象
商品・サービスを供給する事業者が、インフルエンサーやアフィリエイターに依頼して投稿・掲載させる場合、景表法はその行為そのものを規制するものではありませんが、その投稿・掲載内容は「表示」に該当し、規制対象となります。通常の広告と同様、優良又は有利誤認表示とみなされないように注意が必要です。

なお、同法では、表示内容について他の者にその決定をゆだねた事業者も規制対象としていますので、本件のように、インフルエンサーやアフィリエイターへの具体的な内容の指示があった場合だけでなく、指示をせずに任意で書かれた投稿・掲載内容であっても規制を免れるわけではありません。

●ステマ行為か否かではなく、表示内容による違反認定
景表法では、マーケティング主体との関係性や便益の有無を明らかにせず、一般消費者の投稿を装ったいわゆる「ステルスマーケティング(ステマ)」行為そのものを、違法としているのではありません。
あくまで、その投稿内容が優良又は有利誤認表示であることを禁じています。

口コミやインフルエンサーマーケティングでは、とかく、マーケティング主体との関係性や便益の有無といった透明性や、偽装行為が問題視されますが、その先のコンテンツが虚偽誇大なものになっていないか、が消費者トラブルの直接的な要因であり、法で規制する要件となります。
商品・サービスを提供する事業者のサイトのレビューや、さくら投稿、広告主から報酬を得て情報発信するインフルエンサーや、アフィリエイターの投稿内容は「広告」ですので、その内容が虚偽誇大なものは当然違法なものとなります。
また、本件のように、一般消費者の自らのSNSアカウントでの投稿であれば、景表法の表示規制対象とならず、十分な根拠がなくてもどのようなことでも謳えると考えて、商品・サービスのプロモーションを企画することは危険です。

インフルエンサーは、企業が直接発信する広告とは異なり、第三者による情報として消費者の支持を得ており、その消費行動にも大きな影響を及ぼしています。
消費者の商品・サービス選択の参考情報として影響力が増していることから、プロモーション活用されているネット通販事業者さんも多いことでしょう。
その際、顧客を誘引するための手段として事業者の関与の度合いが高まる程、広告として景品表示法の規制対象となることを意識することが重要です。

《参考記事》

令和3年度、アフィリエイト広告の適正化に向けた本格的な法執行へ

・消費者庁も注目!口コミ・インフルエンサーマーケティングの消費トラブルと業界自主規制(第30回インターネット消費者取引連絡会(平成30年9月))

・口コミ・インフルエンサーマーケティングの法規制(第30回インターネット消費者取引連絡会(平成30年9月))

・「口コミ・インフルエンサーマーケティング」に求められるコンプライアンスとは

・アフィリエイトサイトの不適切な表示の法的責任主体は?

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。