東電EPの不適切電話勧誘販売にみる委託先コールセンター管理の難しさと、通販アウトバウンドの留意ポイント

東電EPの不適切な電話勧誘販売に対する特定商取引法に基づく業務停止命令事案。
前回の記事では、違反の概要と、増加する電力・ガス契約に関する消費者トラブルと消費者庁の対応について取り上げました。

今回は、東京電力EPの過去の法令違反とコンプライアンス対応状況、通販事業者がアウトバウンド電話で営業する際の留意点について考えます。

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電話勧誘販売業者【東京電力エナジーパートナー株式会社】に対する行政処分について
(消費者庁 2021年06月25日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/024736/
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●東京電力EPの過去の法令違反とコンプライアンス対応状況は?
今回処分を受けた東京電力EPですが、決してコンプライアンスをないがしろにしてきたわけではなさそうです。
同社の過去の法令違反とコンプライアンス対応状況を見てみましょう。

・2018年2月、訪問・電話による不適切営業について自主公表。契約締結に必要な交付書面の取り扱いについて、社内マニュアルの不徹底。
対応:
該当顧客への謝罪と営業関係者に対する研修の実施等、法令順守の徹底を図り、再発防止に取り組む。
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当社営業活動における不適切な事案の発生について
(2018年2月6日)
https://www.tepco.co.jp/ep/notice/pressrelease/2018/1475870_8663.html
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・2020年9月、電話営業の委託先である「りらいあコミュニケーションズ(株)」による不適切な営業行為。電力・ガス取引監視等委員会から、「小売供給契約の締結に係る説明義務違反について(業務改善勧告)」を受ける。
対応:
不適切な営業行為が行われた可能性のある全ての顧客に対して謝罪と契約の意思確認(契約の解約対応)。
1. 業務委託先における不適切な営業行為を防ぐための対策
2. 法令違反を発生させない方策
3. 法令違反およびお客さまに不利益を与える案件が、適切にリスクラインに報告される方策
4. 自社および業務委託先の役員・従業員に周知徹底

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電力・ガス取引監視等委員会からの業務改善勧告への対応について
(2020年9月9日)
https://www.tepco.co.jp/ep/notice/pressrelease/2020/1552583_8665.html
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更に、今回の処分に先立ち、消費者庁から6月14日に行政処分の予定とともに、6月24日を期限に弁明の機会を得て、既に営業品質向上に向けた取り組みを進めている旨を消費者庁に報告しています。
内容は以下の通り。



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特定商取引法に基づく消費者庁からの行政処分(予定)を踏まえた弁明機会の付与に対する当社の対応について
(2021年6月23日)
https://www.tepco.co.jp/ep/notice/pressrelease/2021/1619075_8666.html

特定商取引法に基づく消費者庁からの行政処分に対する当社の対応について
2021年6月25日
https://www.tepco.co.jp/ep/notice/pressrelease/2021/1619725_8666.html
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上記取り組み内容を見る限り、かなり徹底したものとなっていたにもかかわらず、今回のような業務委託先の不適切な勧誘が行われてしまうのは、業務委託先管理の難しさを感じさせます。

次は、通販事業者も行っているアウトバウンド電話の運用について考えてみます。

●通販事業者がアウトバウンド電話を行う際の留意点
通販でも積極的に行われているアウトバウンドの電話営業ですが、その運用によって特定商取引法上の通信販売の規制が適用されるか、電話勧誘販売の規制が適用されるか異なってきます。
アウトバウンド電話において通信販売として認められるのは、「継続的取引関係にある顧客」に対するものです。
「継続的取引関係にある顧客」とは、「特定商取引に関する法律施行令」により「当該(電話)勧誘の日前1年間に、当該販売または役務の提供の事業に関して、2以上の取引のあった者に限る」とされています。

「継続的取引関係にある顧客」に該当しない場合は、「電話勧誘販売」としての規制を受けるため、例えば法定書面の交付義務をはじめ、クーリングオフ制度の適用などがあることを認識したうえで、営業しましょう。

・アウトバウンド電話営業。「通信販売」と「電話勧誘販売」の境目とは?
https://blog.fides-cd.co.jp/article/413103664.html

特定商取引法ガイド
電話勧誘販売
https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/telemarketing/

《参考記事》
・他の通販業者に電話勧誘を委託。健康食品の電話勧誘販売「(株)アンチエイジングラボ」に特商法違反で指示(平成29年5月24日)
東京ガスの「ガス展」のチラシ広告に景表法措置命令。二重価格による有利誤認表示(東京ガス)、おとり広告(ガス機器販売業者2社) (消費者庁:平成29年7月11日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。