肥満効果「ファティーボ」のLife Leafに景表法課徴金266万円。措置命令前の誤認解消措置(消費者庁:平成30年10月26日)

消費者庁は、肥満効果を謳った食品の表示について景品表示法違反(優良誤認)の措置命令を受けた、(株)Life Leafに対し、10月26日に課徴金納付命令を行いました。
課徴金額は266万円で、平成31年5月27日まで支払うよう命じられています。
算定した同品の売上高は8878万8836円となっています。
返金措置の実施はありませんでした。

Life Leafの措置命令は平成30年7月25日に消費者庁より出されました。
同社は、措置命令に先立ち、平成30年7月19日、景品表示法違反の旨を日刊新聞紙2紙に掲載。
表示を修正し、現在、商品名を変更して(「ファティーボ」→「ファティスタ」)販売は継続しています。

・肥満効果サプリLife Leafに景表法措置命令。処分前に社告掲載

処分の内容と誤認解消措置の時期について考察します。

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株式会社Life Leafに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について
(消費者庁 平成30年10月26日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_181026_0001.pdf
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課徴金納付命令の概要
(株)Life Leafは、課徴金として266万円を平成31年5月27日までに支払わなければならない。

対象商品:
「ファティーボ」と称する食品

課徴金対象行為:
a 表示媒体
自社ウェブサイト及び自社商品同梱チラシ

b 表示内容
《優良誤認表示》
あたかも、対象商品を摂取するだけで、容易に肥満効果が得られるかのように示す表示をしていた。

実際:
当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。

課徴金対象行為をした期間:
平成29年4月3日~平成30年3月26日までの間

最後に取引をした日:
平成30年7月19日

誤認解消措置をとった日:
平成30年7月19日

課徴金対象期間:
平成29年4月3日~平成30年7月19日までの間

課徴金付加の対象外と認められる「相当の注意」について:
同社は、本件商品について、当該表示の裏付けとなる根拠資料を十分に確認することなく、前記の課徴金対象行為をしていたことから、当該行為をした期間を通じて対象表示が違反表示に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき「相当の注意を怠った者でない」とは認められない。

売上額/課徴金額:
8878万8836円/266万円

本事案では、お詫び社告(誤認解消措置)が措置命令の出される前に行われています。
理由として、葛の花由来イソフラボン機能性表示食品の販売事業者への課徴金のケース同様、課徴金対象期間の短縮を意図したことが推測されます。

Life Leafが課徴金対象行為をやめた日(平成30年3月26日)から、措置命令を受けた日(平成30年7月25日)においては6か月が経過しておらず、かつ課徴金対象行為をやめた日以降も同商品の取引は継続されていました。そこで同社は、措置命令を受けることを見越して課徴金対象期間をできるだけ短くするために、調査中の時点で措置命令に先立つ平成30年7月19日に誤認解消措置を行う判断をしたと考えられます。

・「葛の花」機能性表示食品9社に景表法課徴金納付命令。自主的お詫び社告の影響は?(消費者庁:平成30年1月19日)

※課徴金対象期間」=①+②
①課徴金対象行為(不当表示行為)をした期間
②「課徴金対象行為をやめた日」から(a)6か月を経過する日、又は、(b)「一般消費者の誤認のおそれの解消措置」をとった日のいずれか早い日までの間に、当該「課徴金対象行為に係る商品又は役務の取引をした」場合
→ ①の期間(課徴金対象行為をした期間)に、当該「課徴金対象行為をやめてから最後に当該取引をした日までの期間」を加えた期間

※一般消費者の誤認のおそれの解消措置(誤認解消措置)とは
事業者が、課徴金対象行為に関する表示が優良・有利誤認に該当する表示であることを、日刊新聞紙に掲載する方法等により、誤認解消するために一般消費者に周知する措置のこと。

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景品表示法への課徴金制度導入について
(平成28年 消費者庁 「景品表示法に導入される課徴金制度に関する説明会」資料)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_181225_0002.pdf
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≪参考記事≫

・言歩木のアイケア酵素飲料に景表法措置命令と課徴金(消費者庁:平成30年10月25日)

・痩身効果等をうたう下着通販SAKLIKITとギミックパターンに景表法課徴金。異なる両社のお詫び社告の時期(消費者庁:平成30年10月5日)

・DMM.comに景表法課徴金1,704万円の納付命令。返金措置認定なし(消費者庁:平成30年10月19日)

・景表法課徴金は対象売上高の3%、課徴金賦課の対象外となるケースは?(消費者庁 平成24年8月26日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。