新型コロナウイルス抗体検査キットの販売事業者6社に景表法行政指導。消費者庁の監視続く(消費者庁 2020年12月25日)

2020年12月25日、消費者庁は新型コロナウイルスの抗体検査キットの表示に関し、景品表示法に違反のおそれがあるとして、販売事業者6社に対して行政指導を行いました。

抗体検査は、新型コロナウイルス感染によって産生される抗体の有無を判定する用途に用いられるものであって、使用することによって、現在、新型コロナウイルスに感染しているかどうかを判定できるものではありません。
健康被害の拡大につながりかねない事案に関して迅速な対応を図るため、今回は行政指導として公表されていますが、改善が見られなければ、「首下げ空間除菌製品」同様、行政指導から措置命令まで発展する可能性があります。

内容を確認します。

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新型コロナウイルスの抗体検査キットの販売事業者6社に対する行政指導について
(消費者庁 2020年12月25日
https://www.caa.go.jp/notice/entry/022565/
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【対象商品】
新型コロナウイルスの抗体検査キット

【表示媒体】
自社ウェブサイト

【違反内容】
表示内容:
例えば、
「わずか15分!高精度・新型コロナウイルス判定」
「PCR法では難しいとされる感染初期での判別も可能」
「10分で新型コロナウイルス感染の有無を目視で簡単に判定できます。」
「検査結果目安」、「IgG(-) IgM(-) 非感染者または抗体が出来ていない」及び「IgG(-) IgM(+) 感染能力ありの可能性が否定できない」
「IgM抗体が「陽性」で、IgG抗体も「陽性」の場合 新型コロナウイルスに感染しており、現在感染活動期であると考えられます。」
「「M」に線が出ている場合、IgM抗体が陽性です。新型コロナウィルスに感染し初期段階であると考えられ、感染している可能性があります。」
「陽性反応 感染中でウイルス所持の疑い」
と表示することにより、
あたかも、当該抗体検査キットを使用することにより、現在、新型コロナウイルスに感染しているか否かの判定ができるかのように示す表示をしていた。

実際:
新型コロナウイルスの抗体検査キットは、使用することにより、現在、新型コロナウイルスに感染しているか否かを判定できるものではない。
参照:
令和3年1月29日時点版
厚生労働省ホームページ・新型コロナウイルスに関する Q&A(一般の方向け)
(抜粋)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html#Q5-5

問5 新型コロナウイルスに感染すると抗体・免疫ができるのですか。抗体検査について注意すべき点はありますか。

新型コロナウイルスに感染した人の体内でも、新型コロナウイルスに対する抗体が作られることが知られていますが、どのくらいの割合の人で抗体が作られるのか、その抗体が感染後どのくらいの時期から作られ、その後どのくらい持続するのか、それにより新型コロナウイルスに対する免疫が獲得できるのかは、現時点では明らかになっていません。

従って、一度新型コロナウイルスに感染した方であっても、再度感染する可能性は否定できませんので、引き続き適切な行動をとっていただくようお願いします。

また、上記のことから、
新型コロナウイルスへの抗体を持っていないことが分かっても、そこから現在新型コロナウイルスに感染していない、あるいは過去に感染したことがないと判断することはできません。

また、SNS(Twitter、Facebook、LINE)を通じて一般消費者等への注意喚起を行っています。

令和2年度になって景品表示法の措置命令は、1月末時点で16件出されており、そのうち12件が新型コロナウイルス関連となっています。
新型コロナウイルス関連の景品表示法に基づく監視は継続して行われており、措置命令以外にも、改善要請や行政指導も公表されています。

3月10日(第1弾)、3月27日(第2弾)、6月5日(第3弾)の3度にわたって緊急監視が実施され、99事業者125商品の表示に改善要請と一般消費者への注意喚起が行われています。
また、「首下げ空間除菌製品」に関しては、行政指導から措置命令まで複数回にわたり出されています。

消費者庁の厳しい姿勢が読み取れます。

・携帯型の空間除菌用品の販売事業者5社に対する行政指導について
(消費者庁 2020年5月15日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/019867/

・通販事業者 東亜産業、首下げ空間除菌剤の表示に景表法措置命令。新型コロナウイルス関連商品に注意(消費者庁 2020年8月28日)

・Salute.Lab、首下げ空間除菌剤の表示に景表法措置命令。実証データは、訴求内容に適切に対応を(消費者庁 2020年12月22日)

・Nature Link、萬祥、首下げ空間除菌製品2社の表示に景表法措置命令。分かれる両社の対応(消費者庁 2021年1月15日)

≪関連記事≫

・気になる消費者庁のネット広告監視動向と処分。新型コロナウイルス予防関連商品は注意!

・洗浄ジェルのアルコール配合割合ラベル表示に景表法措置命令。輸入業者メイフラワーに処分(2020年5月19日 消費者庁)

・続く、消費者庁の新型コロナウイルス予防商品緊急監視(第3弾)、35事業者38商品の表示に改善要請

・根拠なし新型コロナの感染予防効果、34事業者41商品の表示に改善要請。消費者庁の緊急監視(第2弾) (消費者庁  2020年3月9日~3月19日)

・消費者庁、新型コロナウイルス予防商品緊急監視 30事業者による46商品の表示に改善要請(消費者庁  2020年2月25日~3月6日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。