2回目の緊急事態宣言下、「トイレットペーパー、ティッシュ」を買い置きしている人は約6割(消費者庁 令和3年1月物価モニター調査)

2020年1月15日に日本で初めて新型コロナウイルス感染症が確認されて1年。
2回目となる「緊急事態宣言」が1月8日から1都3県に、1月13日に7つの府県を加え11都府県、2月8日からは1県が解除され10都府県を対象に発出され継続しているところです。

第1波の感染拡大時には、買占め騒動なども起き、それに付随する悪質な高額転売について社会問題となりました。

令和3年1月の物価モニター調査では、コロナ禍での日用品や食料などの家庭内での日常的な買い置きや、店舖やネットショッピングサイト等における品薄の状態などについて、現時点(令和3年1月)での意識調査を行っています。

今回の緊急事態宣言下においての消費者の意識や行動について確認します。

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◆令和3年1月物価モニター調査結果(速報)
(消費者庁:令和3年1月19日)
調査実施期間:2021年1月7日(木)~11 日(月)
調査対象:全国47都道府県の物価モニター2,000人
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/price_measures/index.html#price_monitor
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●「トイレットペーパー、ティッシュ」を買い置きしている人は約6割
家庭内で日常的に買い置きしている日用品や食料は、「トイレットペーパー、ティッシュ(ウェットティッシュ含む)」が58.0%で最多、「主食にできる食料(米、乾麺など)」が54.4%、「長期保存が効く食料や飲料(缶詰・2Lの水のペットボトルなど)」が52.2%、「マスク」が35.2%と続いた。
「買い置きはしていない」は9.2%だった。
物価モニター_買い置き1

年代別では、「トイレットペーパー、ティッシュ」の買い置きしている割合が最も高いのが50歳代で62.8%、最も低いのは20歳代で29.4%。
「主食にできる食料」では、20歳代が58.8%で他の年代より高い。
「長期保存が効く食料や飲料」では、最も高いのが60歳代で57.5%、最も低いのは20歳代で41.2%。
「マスク」では、最も高いのが50歳代で39.8%、最も低いのは20歳代で17.6%。
物価モニター_買い置き2

●品薄状況確認の情報源、「テレビ」7割、「ウェブサイト」6割、「新聞・雑誌」4割
日用品や食料などが品薄の状態を見たとき、状況を把握するために確認する主な情報源について、「テレビ」が最多の69.5%、「インターネット上の各種サイト」が58.0%、「新聞・雑誌」が38.9%と続いた。
物価モニター_買い置き3

男女別にみると、「テレビ」では差が見られないが、「インターネット上の各種サイト」(男性:61.3%、女性:58.4%)、「新聞・雑誌」(男性:43.5%、女性:36.6%)といったメディアでは男性が女性を上回っている。
一方、女性が男性を上回っているのは、「家族や友人」(男性:15.2%、女性:24.4%)、「販売店・店員」(男性:17.6%、女性:21.9%)、「SNS」(男性:12.0%、女性:16.1%)で、人的コミュニケーションを情報源にする傾向が高い。

年代別では、「テレビ」では30歳代が58.4%、40歳代が64.7%で割合が低い。
「インターネット上の各種サイト」では、70歳以上が41.3%で割合が低いが、他の年代では6割程度で差が見られない。
「新聞・雑誌」は年代ごとのばらつきがあり、70歳以上が58.7%で割合が高く、30歳代が12.4%、40歳代が29.1%で割合が低い。
「家族や友人」では20歳代が29.4%、30歳代が26.5%で割合が高い一方、「販売店・店員」では20歳代が11.8%、30歳代が14.2%と低くなっている。
「SNS」では、30歳代が31.0%、40歳代が22.6%で割合が高い。
物価モニター_買い置き4

●品薄状況での行動、「店を探し回る」65%、「代替品を買う」45%、「ショッピングサイトで購入予約や在庫確認」33%
日用品や食料などが品薄の状態を見たときの行動について、「数店舗、店を探し回る」の割合が65.1%で最多、「別の何か代わりになりそうなものをとにかく買う」が44.9%、「複数のインターネットショッピングサイトで購入予約や在庫確認を行う」が33.3%と続いた。
物価モニター_買い置き5

年代別では、「数店舗、店を探し回る」では20歳代が82.4%と高く、70歳以上が56.2%で低い。
「別の何か代わりになりそうなものをとにかく買う」は、20歳代が35.3%、30歳代が38.1%と低くなっている。
「複数のインターネットショッピングサイトで購入予約や在庫確認を行う」は、30歳代が28.3%、70歳以上が30.6%で割合が低い。
物価モニター_買い置き6

●「ルールを守らない人には、罰が必要だと思う」の割合が34%
日用品や食料などについて、現時点での考えに近いものを聞いたところ、「ルールを守らない人には、罰が必要だと思う」の割合が33.9%で最多、「品薄情報など、不確かな情報と思っても、とにかく行動する」が23.9%、「品薄の商品なら高く売られていても仕方がないと思う」が17.3%と続いた。
物価モニター_買い置き7

男女別にみると、「ルールを守らない人には、罰が必要だと思う」について、男性の方が女性より大幅に割合が多くなっている(男性:45.9%、女性:27.8%)。

年代別では、「ルールを守らない人には、罰が必要だと思う」について、20歳代が52.9%と他の年代より大幅に割合が多くなっている。
「品薄情報など、不確かな情報と思っても、とにかく行動する」について、70歳以上が31.4%、20歳代が29.4%と多い。
「品薄の商品なら高く売られていても仕方がないと思う」について、20歳代が23.5%と他の年代より割合が多くなっている。また、「自分が品薄の商品を持っていたら、高めに売っても良いと思う」についても、20歳代が17.6%と他の年代より大きく上回っている。
物価モニター_買い置き8

新型コロナウイルス感染症拡大の第2波到来時においては、トイレットペーパーや食料の家庭内での買い置きが一定程度進んでいることが、消費者モニター調査から読み取れます。
しかしながら、日用品や食料などが品薄の状態を見たときの行動としては、数店舗探し回るといった行動をとるという人が65%に上っています。

消費者がインターネットやSNS上で得た、新型コロナウイルス感染症や日用品等に関する不確かな情報をそのまま拡散したり、不確かな情報をうのみにした買い占めや、転売目的での買い占めといった消費者行動を行う、ひいては新型コロナウイルスに便乗した悪質商法の被害につながることが危惧されています。
消費者庁においては、消費者教育としての対応を検討すべく、感染症拡大時における消費者意識と行動についてアンケート調査を実施するとともに、10月19日に行われた第28回消費者教育推進会議での議論の結果を取りまとめて公表しています。

緊急時の消費者行動について
(消費者教育推進会議 令和3年1月13日)
https://www.caa.go.jp/policies/council/cepc/other/#m005

第28回消費者教育推進会議(令和2年10月19日)
【資料4】緊急時における消費者行動について
https://www.caa.go.jp/policies/council/cepc/meeting_materials_4/assets/meeting_materials_4_201019_0007.pdf

《関連記事》
・ネット通販ビギナーにもやさしい表示を。コロナ禍の「新しい生活様式」で増加するネット通販トラブル (国民生活センター 2020年9月)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。