(株)TSUTAYA動画配信サービス、1億1,753万円の課徴金納付命令(消費者庁:平成31年2月22日)

消費者庁は、動画配信サービス及び光回線インターネット接続サービスの表示について、2018年5月30日に景品表示法違反(優良・有利誤認)の措置命令を受けた(株)TSUTAYAに対し、2019年2月22日に合計1億1,753万円の課徴金納付命令を行いました。

措置命令を受けた役務のうち、動画配信サービス「TSUTAYA光」と光回線インターネット接続サービスのキャンペーン期間に対する有利誤認に関しては、課徴金の対象外となっています。

課徴金の内容について確認します。
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株式会社TSUTAYAに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について (消費者庁 平成31年2月22日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_190222_0001.pdf
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●課徴金納付命令の概要
株式会社TSUTAYAは、課徴金として金1億1,753万円を平成31年9月24日までに国庫に納付しなければならない。

【対象役務・表示媒体・期間】
1)「TSUTAYA TV」動画見放題プラン
自社ウェブサイト:遅くとも平成28年4月1日から平成30年1月10日までの間

2)「動画見放題&定額レンタル8」
動画見放題プランとDVD及びブルーレイディスク並びにCDをインターネットで予約し宅配によりレンタルできるサービスを一体的に供給するサービス
自社ウェブサイト:遅くとも平成28年4月1日から平成30年1月14日までの間

3)「TSUTAYAプレミアム」
動画見放題プランのうち「動画ポイント」と称するポイントの提供を除いたサービスと、店舗においてDVD等をレンタルできるサービスを一体的に供給するサービス
(a)自社ウェブサイト:遅くとも平成29年10月2日から平成30年1月11日までの間
(b)YouTubeの自社公式チャンネル:
平成29年10月2日から平成30年4月15日までの間
平成30年4月16日から同年5月14日までの間
(c)テレビコマーシャル
平成29年10月4日から平成30年3月28日までの間
平成29年12月8日から同月24日までの間

【違反表示内容】
あたかも、対象役務(動画配信サービス)を契約すれば、TSUTAYA TVにおいて配信する動画が、条件なく見放題となるかのように示す表示をしていたが、実際は、条件なく見放題ではなかった。
→実際:
動画見放題プランの対象動画は、TSUTAYA TVにおいて配信する動画の12%~27%程度。特に、「新作」及び「準新作」のリリースカテゴリの動画については、1%~9%程度。
「動画見放題」との記載の背景に掲載した動画の過半および、「人気ランキング」として掲載した全ての動画、「近日リリース」として掲載した動画の大部分が対象外。
提供される動画ポイントによって追加で視聴できるのは、例えば「新作」リリースカテゴリの動画であれば2本程度であった。

打消し表示:
「TSUTAYA TV」の打消し表示は、「見放題」との記載とは離れた箇所に小さな文字で記載されている。回答についての記載は質問の記載をそれぞれクリックしなければ表示されない。
「動画見放題&定額レンタル8」の打消し表示は、記載内容から動画見放題プランの対象動画に「新作」リリースカテゴリの動画などが含まれないと認識するのは困難。
「TSUTAYAプレミアム」の打消し表示は、自社ウェブサイトでは、「見放題」との記載とは離れた箇所に、「見放題」の文字と比較して小さな文字で記載されている。
また、「対象作品一覧はこちら」とのリンクをクリックして表示されるのは多数の動画の画像等が掲載されたウェブページである。
動画広告では、小さな文字でのみ配信又は放送しているものであり、表示時間も短いものである。

よって、一般消費者が表示から受ける当該サービスの内容に関する認識を打ち消すものではない。

【課徴金対象行為をした期間】
(1)2016年4月1日~2018年1月10日までの間
(2)2016年4月1日~2018年1月14日までの間
(3)2017年10月2日~2018年5月14日までの間

【最後に取引をした日】
2018年6月18日 (1)(2)(3)とも

【誤認解消措置をとった日】
2018年6月18日 (1)(2)(3)とも

【課徴金対象期間】
2016年4月1日~2018年6月18日までの間  (1)(2)とも
2017年10月2日~2018年6月18日までの間  (3)

課徴金付加の対象外と認められる「相当の注意」について:
同社は、本件各役務について、それぞれ、不当表示の防止等を図るための表示内容の確認を十分に行うことなく、前記の課徴金対象行為をしていたことから、当該行為をした期間を通じて対象表示が違反表示に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき「相当の注意を怠った者でない」とは認められない。

【売上額/課徴金額】
(1)「TSUTAYA TV」動画見放題プラン 666,987,845円/2,000万円
(2)「動画見放題&定額レンタル8」 2,834,044,818円/8,502万円
(3)「TSUTAYAプレミアム」 417,254,950円/1,251万円

(株)TSUTAYAは、措置命令の公表2018年5月30日と同日に、自社HP上で 「「動画見放題プラン」、「TSUTAYA光」に関する 措置命令についてのお詫びとお知らせ」にて、指摘事項に対す当社の表示改善対応を示しています。
しかし、「誤認解消措置をとった日」として、2018年6月18日となっていることから、当該告知は誤認解消措置として認められなかったこととなります。
また、返金措置の実施はありませんでした。

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「動画見放題プラン」、「TSUTAYA光」に関する 措置命令についてのお詫びとお知らせ
(株式会社 TSUTAYA 2018/05/30)
https://www.tsutaya-ltd.co.jp/news/2018/0530_notice.html
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《参考記事》
・「〇〇放題」に注意!(株)TSUTAYA動画配信サービス、光回線インターネット接続サービスに対し景表法措置命令(消費者庁:平成30年5月30日)
・DMM.comの課徴金1,704万円の納付命令。返金措置認定なし(消費者庁:平成30年10月19日)
・マカフィー 期間限定キャンペーンの「標準価格」「特別価格」に景表法措置命令!打消し表示にも注意(消費者庁:平成30年3月22日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。