「塚田農場」運営元「地鶏」メニューに景表法課徴金納付命令。払い戻し対応を行うも、返金措置による課徴金減額なし(消費者庁:平成31年3月1日)

消費者庁は、居酒屋チェーン「塚田農場」を運営する(株)エー・ピー・カンパニーに対し、同社が提供している鶏料理のメニュー表示について、3月1日に景品表示法の課徴金納付命令を行いました。

エー・ピー・カンパニーの措置命令は、平成30年5月22日に消費者庁より出されました。
「塩つくね」、「月見つくね」「チキン南蛮」「椎茸つくね南蛮」という料理について、あたかも地鶏を使用しているかのように表示をしていましたが、実際はブロイラーを使用していたものであり、優良誤認表示とみなされました。
このうち、「チキン南蛮」「月見つくね」に対して課徴金対象行為となっています。

課徴金額は合計981万円で、平成31年10月2日まで支払うよう命じられています。
同社は、払い戻し対応を行っていましたが、返金措置の実施による課徴金額の減額はありませんでした。

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株式会社エー・ピー・カンパニーに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について
(平成31年3月1日 消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_190301_0001.pdf
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課徴金納付命令の概要

(株)エー・ピー・カンパニーは、課徴金として981266万円を平成31年10月2日までに支払わなければならない。

【対象料理】
1)「宮崎県日南市塚田農場」及び「宮崎県日向市塚田農場」において提供する「チキン南蛮」と称する料理
2)「宮崎県日南市塚田農場」及び「宮崎県日向市塚田農場」において提供する「月見つくね」と称する料理
3)「鹿児島県霧島市塚田農場」において提供する「チキン南蛮」と称する料理

【表示媒体】
メニュー

【表示期間】
1)および2)平成29年4月17日から同年8月22日まで
3)平成28年9月1日から平成29年9月3日まで

【違反内容】
表示:
あたかも、あたかも、本件料理に地鶏を使用しているかのように示す表示をしていた。

実際:
ブロイラーや地鶏ではない親鶏等を使用していた。

課徴金対象行為をした期間:
平成29年4月17日~平成29年8月22日までの間

最後に取引をした日:
平成30年2月22日

課徴金対象期間:
平成29年4月17日~平成30年2月22日までの間

課徴金付加の対象外と認められる「相当の注意」について:
同社は、本件料理について、それぞれ、不当表示の防止等を図るための表示内容の確認を十分に行うことなく、前記の課徴金対象行為をしていたことから、当該行為をした期間を通じて対象表示が違反表示に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき「相当の注意を怠った者でない」とは認められない。

売上額/課徴金額:
(1)192,823,964円/578万円
(2)64,907,870円/194万円
(3)69,934,521円/209万円

課徴金額の算定基準となる「課徴金対象期間」は、課徴金対象行為(不当表示行為)をやめて以降、商品の取引をしていない場合は、不当表示行為を行っていた期間そのままです。
しかし、不当表示行為をやめて以降も取引が継続していた場合、不当表示行為をやめてから最大6カ月先までが対象となり、最大で3年間とされています。
今回のエー・ピー・カンパニーに対する措置命令は、課徴金対象行為をした期間終了から9か月が経過しており、不当表示行為をやめて以降も取引が継続していたことから、最大6カ月先までが対象となったと考えられます。
また、本件において、返金措置の実施による課徴金額の減額はありませんでした。

エー・ピー・カンパニーは、措置命令の公表2018年5月22日と同日に、自社HP上で 「弊社運営飲食店のメニュー表記に対する消費者庁の措置命令についてのお知らせとお詫び」告知を行い(現在、ページは閉鎖)、払い戻し対応を示しています。

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弊社運営飲食店のメニュー表記に対するお詫びと払い戻しのお知らせ
(株式会社エー・ピー・カンパニー HP 2018/5/22)
https://www.tsukadanojo.jp/information/20180522-01/
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払い戻しの内容:
メニューに不適切な表記があった期間中に対象商品を購入した顧客に対し、レシートを持っている場合は全額を払い戻しする。持っていない場合は食事券(1品700円、2品以上は一律1,400円)を提供する。

ただ、払い戻し対応を行う対象販売期間が課徴金対象行為をした期間であり、払い戻しの告知から9~13か月が経過しており、飲食という役務の特性上、消費者が払い戻しの申し出を行うのは難しいことと思います。

行政処分を行うのであれば、消費者にとっても事業者にとっても、できるだけ早い段階での対応が求められそうです。

≪関連記事≫
・「塚田農場」運営元に景表法措置命令。「地鶏」メニューから一般消費者が受ける印象は?
(消費者庁:平成30年5月22日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。