トクホ、健康増進法の誇大表示禁止規定の初めての勧告 ライオン「トマト酢生活」(消費者庁:平成28年3月1日)

初めてのトクホ広告、健康増進法の誇大表示禁止の規定に基づく勧告です。
3月1日、消費者庁はライオン(株)に対し、特定保健用食品の飲料広告について健康増進法の勧告を行いました。

問題となったのは、特定保健用食品「トマト酢生活トマト酢飲料」の、血圧を下げる効果に関する日刊新聞紙に掲載した広告です。
健康増進法の健康保持増進効果の誇大表示の禁止規定(健康増進法第31条第1項)に違反するとみなされました。

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ライオン株式会社に対する健康増進法に基づく勧告について
 (消費者庁 平成28年3月1日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/pdf/syokuhin1529.pdf
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【違反内容】
対象商品:
「トマト酢生活トマト酢飲料」と称する特定保健用食品(※1)

表示媒体:
日刊新聞紙に掲載した広告

表示期間:
平成27年9月15日から同年11月27日まで

表示内容:
あたかも、本件商品に血圧を下げる効果があると表示することについて消費者庁長官から許可を受けているかのように示し、また、薬物治療によることなく、本件商品を摂取するだけで高血圧を改善する効果を得られるかのように示す表示をしていた。

実際:
本件商品は「本品は食酢の主成分である酢酸を含んでおり、血圧が高めの方に適した食品です。」を許可表示とし、食生活の改善に寄与することを目的として、その食品の摂取が健康の維持増進に役立つ、又は適する旨を表示することのみが許可されている特定保健用食品である。
血圧を下げる効果があると表示することについて消費者庁長官から許可を受けているものではなく、また、高血圧は薬物治療を含む医師の診断・治療によらなければ一般的に改善が期待できない疾患であって、薬物治療によることなく、本件商品を摂取するだけで高血圧を改善する効果が得られるとは認められないものであった。

《表示例》
・健康増進法に規定する特定保健用食品の許可証票とともに、「ライオンの『トマト酢生活』は、消費者庁許可の特定保健用食品です。」と記載
・本件商品についてのヒト試験結果のグラフとともに、「臨床試験で実証済み!これだけ違う、驚きの『血圧低下作用』。」と記載
・本件商品を摂取している者の体験談として、「実感できたから続けられる!10年くらい前から血圧が気になり、できるだけ薬に頼らず、食生活で改善できればと考えていました。飲み始めて4ヶ月、今までこんなに長続きした健康食品はないのですが、何らか実感できたので継続できています。今では離すことのできない存在です。」 と記載。
・「50・60・70・80代の方に朗報!」、「毎日、おいしく血圧対策。」、「“薬に頼らずに、食生活で血圧の対策をしたい”そんな方々をサポートしようとライオンが開発した『トマト酢生活』。」と記載

(※1)

(日刊新聞紙 事例)

行政判断の事例として、機能性表示食品広告においても参考になります。
適正広告の作成、チェックにあたり、公表資料を再度確認しましょう。

「特定保健用食品の表示に関する質疑応答集」(消費者庁 平成28年1月)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin1525.pdf
「『特定保健用食品』適正広告自主基準」((財)日本健康・栄養食品協会 平成23年2月16日)
http://www.jhnfa.org/topic80a.pdf

2015 年度4月、食品の新たな機能性表示制度のスタートにより、今後、〈トクホ〉制度への影響も懸念される中、トクホについても制度及び運用の見直しを検討する「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会」が、2015年8月より内閣府で開かれています。
3月3日に開催された第7回調査会では、報告書(案)の取りまとめに入っています。

◆特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会
https://www.cao.go.jp/consumer/history/04/kabusoshiki/tokuho2/index.html
第7回 特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会の開催について
https://www.cao.go.jp/consumer/history/04/kabusoshiki/tokuho2/senmon/007/shiryou/index.html

《関連記事》
・トクホ広告23%に違反の恐れあり。今後はWeb広告も審査対象に (日本健康・栄養食品協会 平成28年9月8日 第3回 特定保健用食品広告審査会)

・トクホ広告適正基準、個人の感想等や映像媒体でのグラフ使用の注意事項とは (日健栄協)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。