消費者庁は12月27日に、EC事業者アマゾンジャパン合同会社が供給するクリアホルダー、ブレーキフルード及び甘酒に関する表示に対し、景品表示法の措置命令を行いました。
メーカー希望小売価格より高かったり根拠のなかったりする「参考価格」を表示し、不当な二重価格表示をしたとして有利誤認表示とみなされました。
2017年度の不当な二重価格表示による措置命令は7件目です。
景品表示法上の二重価格表示の注意点について、確認しておきましょう。
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アマゾンジャパン合同会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
(平成29年12月27日 消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_171227_0001.pdf
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【対象商品】
a)クリアホルダー3商品
(1)プラス クリアホルダー A4 50枚 クリアー FL-170HO-50 88-105
(2)プラス クリアホルダー A4 100枚 クリアー FL-170HO-100 88-106
(3)プラス クリアホルダー A4 200枚 クリアー(FL170HO-100 88-106)×2
b)ブレーキフルード
(4)ワコーズ SP-4 スーパープロフォー ブレーキフルードDOT4及びJIS BF-5 T142 1L T142[HTRC3]
c)甘酒
(5)国菊甘酒 900ml
【表示媒体・期間】
表示媒体:
自社ウェブサイト
表示期間:
a) クリアホルダー3商品 最大平成26年10月1日~平成29年5月10日までの間
b) ブレーキフルード 平成28年9月5日~平成29年6月29日までの間
c) 甘酒 平成29年6月16日~同年7月18日までの間及び同月21日
【違反内容】
表示内容:
a)クリアホルダー3商品 「参考価格:¥4,860」「参考価格:¥9,720」「参考価格:¥19,440」
b)ブレーキフルード 「参考価格:¥4,640」
c)甘酒 「参考価格:¥3,780」
商品の販売価格に、それを上回る「参考価格」を併記することにより、あたかも、「参考価格」は一般消費者がこれを参考にすることにより実際の販売価格の安さの判断に資する価格であり、実際の販売価格が参考価格に比べて安いかのように表示していた
実際:
a) クリアホルダー3商品
製造事業者が社内での商品管理上便宜的に定めた価格であり、一般消費者への提示を目的としていないものであった。
b) ブレーキフルード
製造事業者が設定した本件ブレーキフルードのメーカー希望小売価格よりも高く任意に設定された価格であった。
c)甘酒
製造事業者が設定した本件甘酒のメーカー希望小売価格よりも高い本件甘酒6本分のメーカー希望小売価格に基づく価格であった。
【表示例】
不当な二重価格表示については、平成26年3月に、仮想モールである楽天市場の出店店舗による二重価格表示に、楽天の従業員が関与していた事件がありました。これに対して消費者庁は4月30日に、楽天に対して表示適正化に向けた再発防止策を講じるよう、要請を行いました。
・消費者庁、楽天に二重価格表示で要請。仮想モール事業者の出店店舗に対する管理責任とは
今回の事案では、アマゾンジャパンが販売主体とされ直接、措置命令を受けています。
以下のポイントから、ウェブサイトにおける本件5商品の表示内容をアマゾンが自ら決定していると説明されています。
・アマゾンジャパンは、本件ウェブサイトについて、実際の販売価格及び「参考価格」と称する価額を併記する仕組みを採用している。
実際の販売価格について:
ウェブサイトを通じて一般消費者に商品を販売する自社を含む販売事業者(出品者)が、ウェブサイトの商品情報登録画面中の「価格」欄に登録した価額が、出品者の販売価格としてそれぞれ掲載される。
「参考価格」と称する価額について:
アマゾンジャパンがウェブサイトの商品情報登録画面中の「参考価格」欄に登録を行っている場合には、他の出品者による登録の有無又は登録された価額にかかわらず、アマゾンジャパンが登録した価額が常に選定される。
アマゾンジャパンが価額の登録を行わない場合には、他の出品者の中で最も顧客に信頼されるとウェブサイトのプログラムにより判定された出品者が登録した価額が選定される。
・ アマゾンジャパンは、本件ウェブサイトを通じた商品の販売に際し、商品の販売価格については自ら決定し、ウェブサイトに登録するとともに、ウェブサイトの商品情報登録画面中の「参考価格」欄に登録する価額の決定及び登録については、商品の仕入先事業者に委ねている。
報道では、以下のように報じています。
アマゾンのインターネットサイトでは同社を含めた複数の業者が参考価格を入力しているが、アマゾン側が参考価格が適正かのチェックを怠っていたという。
◆アマゾンに二重価格表示で再発防止命令 消費者庁
同社は「全面的に消費者庁に協力している。措置命令については当社と見解の相違があり、慎重に検討して対応を決定する」としている。
(日本経済新聞社 2017年12月27日)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2516873027122017CR8000/
アマゾンの今後の動きが気になりますが、景品表示法上の二重価格表示や割引表示の注意点について確認しておきましょう。
≪参考記事≫
・「METHOD」のシーズメン、セールの割引表示に景表法措置命令!(消費者庁:平成29年12月5日)
・セールが常態化。イエローハット 販売実績のない「通常」価格に景表法措置命令!(消費者庁:平成29年12月1日)
・「東京ガスのガス展」のチラシ広告にに景表法措置命令。二重価格による有利誤認表示(東京ガス)、おとり広告(ガス機器販売業者2社)(消費者庁:平成29年7月11日)
・二重価格表示に注意!宮崎市のタイヤ販売業者(株)ビーラインに景表法措置命令 (消費者庁:平成29年6月28日)
・日本教育クリエイト 介護・医療事務講座の「通常」価格表示に有利誤認措置命令!(消費者庁:平成29年5月19日)
・コスモ石油販売の車検サービス新聞折込チラシ 販売実績のない二重価格に景表法措置命令!(消費者庁:平成29年5月12日)
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