健康食品の電話勧誘販売「げんきの杜」法人名を変えて違反行為。特商法業務停止命令6か月及び指示(平成28年3月29日)

北海道経済産業局は、3月29日、健康食品の電話勧誘販売を行っていた(株)げんきの杜(福岡市博多区)に対し、特定商取引法違反で6カ月間の電話勧誘販売業務の一部(新規勧誘、申込受付及び契約締結)停止を命じました。

あわせて、同社に対して健康食品「ナチュラルプラセンタW SUPER DX」又は「天然琉球鮫」の購入者に効能について正しく説明するよう指示しました。
(「本件商品を使用することで、あたかも病気の治療若しくは予防又は症状の改善ができるかのように告げていたことがあるが、本件商品についてそのような効果はない。」旨)
「(株)げんきの杜」は、平成26年2月に同様の違反行為で指示処分を受けた「(株)ナチュラルファーム」が社名変更した法人で、今回の処分を受けています。

3月に閣議決定された特商法改正案では、次々と法人を立ち上げて違反行為を行う事業者への規制強化されています。

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特定商取引法違反の電話勧誘販売業者【(株) げんきの杜】に対する行政処分(業務停止命令6か月及び指示)について
(経済産業省北海道経済産業局 平成28年3月29日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/release/pdf/160329kouhyou_1.pdf
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本処分は、特定商取引法第69条第3項の規定に基づき、消費者庁長官の権限委任を受けた北海道経済産業局長が実施したものです。


【取引概要】
健康食品の「ナチュラルプラセンタW SUPER DX」及び「天然琉球鮫」等の電話勧誘販売

【認定した違反行為】
電話勧誘販売による本件商品の売買契約の締結について勧誘するに際しての、
勧誘目的不明示、勧誘目的不明示、再勧誘、不実告知及び迷惑勧誘

(1)勧誘目的不明示(法第16条)
同社は、世間話をしてから勧誘を開始するなど、勧誘に先立ち、本件商品の売買契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げていなかった。

(2)再勧誘(法第17条)
同社は、電話勧誘顧客が「健康食品は要らないです。」などと、本件商品の売買契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず、継続して勧誘を行っていた。

(3)商品の効能についての不実告知(法第21条第1項第1号)
同社は、電話勧誘顧客に対し、本件商品を摂取することで「うちのプラセンタは手のしびれによく効く。」、「天然琉球鮫を飲むと血液がさらさらになる。」、「これ(天然琉球鮫)を飲んでいたらがんにもならない。」などと商品の効能について不実を告げていた。

(4)迷惑勧誘(法第22条第3号)
同社は、「買わない。」などと売買契約を締結しない旨の意思表示を行った電話勧誘顧客に対して、電話を切ろうとするのを引きとめ繰り返し勧誘を続け、何度も断っているにもかかわらず商品の説明を繰り返すなど、迷惑を覚えさせるような仕方で勧誘を行っていた。

「(株)げんきの杜」は、平成26年2月に同様の違反行為で指示処分を受けた「(株)ナチュラルファーム」が社名変更して事業継続し、今回の業務停止6か月の厳しい処分となっています。

※(株)ナチュラルファームの処分公表資料に記載された代表者名(因 智晴)と、所在地(福岡市博多区博多駅前三丁目4番8号)が、(株)げんきの杜のHPに記載されたものと同一。また、同一商材を扱っている。

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特定商取引法違反の電話勧誘販売業者(株)ナチュラルファームに対する
指示処分について
(経済産業省北海道経済産業局 平成26年2月18日)
http://www.hkd.meti.go.jp/hokih/syobun140218/syobun140218.pdf
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《(株)げんきの杜HP》

業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して2年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続き(法第70条の2)を、法人に対しては3億円以下の罰金を科する手続き(法第74条)を行うこととなっています。

3月4日に閣議決定された特商法改正案では、悪質業者の取り締まりを強化として、以下の規制が盛り込まれました。
(公布日から1年6月以内に施行)

●次々と法人を立ち上げて違反行為を行う事業者への対処
業務停止を命ぜられた法人の「取締役」や「取締役と同等の支配力を有すると認められるもの等」に対して、停止の範囲内の業務を、新たに法人を設立して継続することを禁止する。
⇒違反した場合、個人は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金
●業務停止命令の期間の伸長(最長1年→2年)
●行政調査「質問」に関する権限の強化
⇒違反した場合、個人は6月以下の懲役又は100万円以下の罰金、法人は100万円以下の罰金(報告徴収・立入検査等の他の検査忌避についても同様に懲役刑を追加)
●不実告知等に対する法人への罰金を300万円以下から1億円以下に引き上げ
●業務停止命令違反に対する懲役刑の上限を2年から3年に引き上げ

《参考記事》
・消費者保護の更なる強化。特商法・消契法の改正案閣議決定(平成28年3月4日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。