6月15日、食品や下着の痩身効果、石けんの美白効果、また価格に関する表示について、景品表示法違反(優良・有利誤認) の措置命令を受けた(株)ブレインハーツに対し、措置命令の執行と同時に、合計2,229万円の課徴金を納付命令も出されています。
前回の措置命令についての記事に続き、今回は課徴金の内容について確認します。
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株式会社ブレインハーツに対する景品表示法に基づく措置命令及び課徴金納付命令について (消費者庁 平成30年6月15日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180615_0003.pdf
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●課徴金納付命令の概要
対象商品:
(1)「グリーンシェイパー」と称する食品
(2)「スリムイヴ」と称する食品
(3)「恋白美スキンソープ」と称する石けん
(4)「Smart Leg」と称する下着
※「アストロンα」を除く4商品
課徴金対象行為:
a 表示媒体
自社ウェブサイト:
本件商品(1)、(3)、(4)について、「roifleur」
本件商品(2)について、「輝.com」
アフィリエイトサイト:
広告代理店を通じて、アフィリエイトサイトの運営者に対し、自社ウェブサイトの記載内容を踏まえたこれらの商品についての口コミ、ブログ記事等を作成させ、当該自社ウェブサイトへのリンクと共に当該アフィリエイトサイトに掲載させていた。
b 表示内容
《優良・有利誤認表示》
措置命令内容と同じ。
課徴金対象期間:
(1)「グリーンシェイパー」と称する食品
平成29年5月19日から同年9月22日までの間
(課徴金対象行為期間:平成29年5月19日から同年8月23日までの間)
(2)「スリムイヴ」と称する食品
平成28年11月15日から平成29年10月31日までの間
(課徴金対象行為期間:平成28年11月15日から平成29年10月18日までの間)
(3)「恋白美スキンソープ」と称する石けん
平成29年3月28日から平成30年4月6日までの間
(課徴金対象行為期間:平成29年3月28日から同年10月18日までの間)
(4)「Smart Leg」と称する下着
平成29年2月9日から平成30年1月6日までの間
(課徴金対象行為期間:平成29年2月9日から同年10月18日までの間)
課徴金対象期間に取引をした本件商品の売上額:
(1)「グリーンシェイパー」と称する食品 3億539万3063円
(2)「スリムイヴ」と称する食品 6437万3686円
(3)「恋白美スキンソープ」と称する石けん 1億8778万5837円
(4)「Smart Leg」と称する下着 1億8572万6521円
課徴金負荷の対象外と認められる「相当の注意」について:
・ブレインハーツは、本件商品について、実際には表示が示す効果はない旨の認識を有していた。
・また、(1)、(2)について「通常価格」と称する価額により販売された実績がないこと、(3)について9,800円で販売された実績がないこと、(4)について「参考小売価格」と称する価額は、本件商品を取り扱う小売事業者の小売価格設定の参考となるものとして設定され、当該小売事業者に広く呈示されているものではないことを認識していた。
・その認識の上で課徴金対象行為をしていたことから、当該行為をした期間を通じて対象表示が違反表示に該当することを知らず、かつ、知らないことにつき「相当の注意を怠った者でない」とは認められない。
課徴金の額:
同社は、平成31年1月16日までに、本件各商品の売上額に、それぞれ、3%を乗じて得た額(1万円未満の端数を切り捨て)を支払わなければならない。
(1)「グリーンシェイパー」と称する食品 916万円
(2)「スリムイヴ」と称する食品 193万円
(3)「恋白美スキンソープ」と称する石けん 563万円
(4)「Smart Leg」と称する下着 557万円
●ブレインハーツの対応
ブレインハーツは措置命令及び課徴金納付命令の周知文において、「販売を継続していた商品は直ちに終売し、消費者庁の調査に対しても真摯に対応してまいりました。」と記していますが、処分対象となった各商品の課徴金対象期間を見る限り、課徴金対象行為(不当表示行為)をやめて以降、商品の取引を継続していたことがわかります。
また、自主返金対応も行っていません。
◆弊社に対する措置命令及び課徴金納付命令に関するお詫びとお知らせ
(株式会社ブレインハーツ)
「roifleur」http://roifleur.com/
「輝.com」http://kagayakirameku.com/
●「課徴金対象期間」の考え方
課徴金額は「課徴金対象期間」の対象商品の売上額の3%。
課徴金額の算定基準となる「課徴金対象期間」は、課徴金対象行為(不当表示行為)をやめて以降、商品の取引をしていない場合は、不当表示行為を行っていた期間そのままです。
しかし、不当表示行為をやめて以降も取引が継続していた場合、不当表示行為をやめてから最大6カ月先までが対象となり、最大で3年間とされています。
「課徴金対象期間」をできるだけ短縮するには、不当表示行為をやめると同時に商品の取引を行わないようにすること、それができない場合は自主的な社告掲載などの「誤認解消措置」を取る必要があります。
「課徴金対象期間」=①+②(法第8条第2稿)
① 課徴金対象行為(不当表示行為)をした期間
② 「課徴金対象行為をやめた日」から(a)6か月を経過する日、又は、(b)「一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれを解消するための措置」をとった日のいずれか早い日までの間に、当該「課徴金対象行為に係る商品又は役務の取引をした」場合
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景品表示法への課徴金制度導入について
平成28年 消費者庁 表示対策課
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/160129premiums_1_2.pdf
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≪参考記事≫
・返金計画示されず トクホ取消の日本サプリメントに景表法課徴金納付命(消費者庁:平成29年6月7日)
・トクホ取消の日本サプリメントに景表法措置命令 強まる景表法の取組(消費者庁:平成29年2月14日)
・日本サプリメント トクホ初の許可取り消しと、規制強化の動向
・景表法課徴金は対象売上高の3%、課徴金賦課の対象外となるケースは?(消費者庁 平成24年8月26日)
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