北海道経済産業局は、8月31日、健康食品の電話勧誘販売を行っていた(株)島田製薬(東京都中野区)に対し、特定商取引法違反で3カ月間の電話勧誘販売業務の一部(勧誘、申込受付及び契約締結)停止を命じました。
違反の内容は、「勧誘目的不明示」「再勧誘」「不実告知及び契約書面の記載不備」となっています。
同社は販売する「プラチナ深海鮫エキスα」と「シマダの深海鮫エキス100」について「飲むと血液が入れ替わって、血液をサラサラにして、3カ月もしたら完全なキレイな血液になる」などと言って電話で勧め、消費者が契約をしない旨の意思を表示したにもかかわらず、再度電話をかけるなどして、継続して勧誘していました。
本処分は、特定商取引法第69条第3項の規定に基づき、消費者庁長官の権限委任を受けた北海道経済産業局長が実施したものです。
————————————————————————
特定商取引法違反の電話勧誘販売業者に対する業務停止命令(3か月)及び指示について
(経済産業省北海道経済産業局 平成29年8月31日)
http://www.hkd.meti.go.jp/hokih/20170831/
————————————————————————
【取引概要】
健康食品等の電話勧誘販売
商品名:「プラチナ深海鮫エキスα」及び「シマダの深海鮫エキス100」
【認定した違反行為】
電話勧誘販売による本件商品の売買契約の締結について勧誘するに際しての、
「勧誘目的不明示」「再勧誘」、「商品の効能についての不実告知」、「契約書面の記載不備」、
(1)勧誘目的不明示(法第16条)
同社は、電話勧誘販売による当該商品の売買契約の締結について勧誘をするに際し、電話をかけた直後に、当該商品のパンフレットを送ったかのように告げて勧誘を行うきっかけ作りをしたり、世間話をしてから勧誘を開始するなど、勧誘に先立って、当該商品の売買契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げていなかった。
(2)再勧誘(法第17条)
同社は、電話勧誘販売による当該商品の売買契約の締結について勧誘するに際し、電話勧誘顧客が「要りません。」などと、契約をしない旨の意思を表示したにもかかわらず、再度電話をかけるなど継続して勧誘を行っていた。
(3)商品の効能についての不実告知(法第21条第1項第1号)
同社は、電話勧誘販売による当該商品の売買契約の締結について勧誘するに際し、電話勧誘顧客に対し、「シマダの深海鮫エキス100を飲むと血液が入れ替わって、健康を増進し、血液をさらさらにして、3か月もしたら完全なきれいな血液になる。」、「プラチナ深海鮫エキスαは糖尿病に効きます。」、「薬の効果が早くなります。」などと、商品の効能について、その裏付けとなる合理的な根拠がないにもかかわらず、あたかも病気の治療若しくは予防又は病状の改善ができるかのように告げていた。
(4)契約書面の記載不備(法第19条第1項)
同社が電話勧誘販売により当該商品の売買契約を締結した電話勧誘顧客に対して交付した契約書面には、書面記載不備があった。
業務停止命令に違反した場合は、行為者に対して2年以下の懲役又は300万円以下の罰金又はこれを併科する手続き(法第70条の2)を、法人に対しては3億円以下の罰金を科する手続き(法第74条)を行うこととなっています。
また、業務停止命令と併せて、同社に対し、以下のとおり違反行為の是正等が指示されています。
1.当該商品の購入者に対して効能について9月30日までに正しく通知し、北海道経済産業局長まで報告すること。
(「同社の営業員が、本件商品を使用することで、あたかも病気の治療若しくは予防又は症状の改善ができるかのように告げていたことがあるが、本件商品についてそのような効果はない。」旨)
2.前記違反行為の発生原因について検証し、その検証結果について、9月30日までに、北海道経済産業局長まで報告すること。
3.前記違反行為の再発防止策及び社内のコンプライアンス体制について、本件業務停止命令による業務を再開する1か月前までに北海道経済産業局長に報告すること。
上記指示に違反した者には、100 万円以下の罰金(第72条1項2号)、違反が法人の業務の場合には、行為者を罰するほか、その法人に対し100 万円以下の罰金(74 条第2号)が課せられます。
1.の指示について、本件の不実告知についての購入者への通知は、同社のウェブサイト上で確認されました。
報道では、14年4月~17年7月末、北海道をはじめ全国の消費者から消費生活センターなどにトラブル相談や問い合わせが267件寄せられ、中でも14年度の相談は108件にのぼった、と報じています。
———————————————-
深海鮫エキスで「血がさらさら」とPR、実は根拠なし
(朝日新聞デジタル 2017年8月31日)
http://www.asahi.com/articles/ASK804KB8K80UTIL01H.html
———————————————-
平成29年12月1日に施行を予定している特商法の改正では、刑事罰の強化として以下が盛り込まれています。
・不実告知等に対する法人への罰金を300万円以下から1億円以下に引上げ
・業務停止命令違反に対する懲役刑の上限を2年から3年に引上げ 等
悪質業者の取り締まりは、今後、一層強化される見込みです。
以下の記事も併せてご確認ください。
・消費者保護の更なる強化。特商法・消契法の改正案閣議決定(平成28年3月4日)
《参考記事》
・他の通販業者に電話勧誘を委託。健康食品の電話勧誘販売「(株)アンチエイジングラボ」に特商法違反で指示(平成29年5月24日)
・「注文した記憶のない商品の送り付け」健康食品の電話勧誘販売「(株)たんぽぽ」に特商法業務停止命令6か月及び指示(平成29年1月18日)
・健康食品の電話勧誘販売「げんきの杜」法人名を変えて違反行為。特商法業務停止命令6か月及び指示(平成28年3月29日)
===================================
◆フィデスの広告法務コンサルティング◆
消費生活アドバイザーが、貴社の広告コンプライアンス
体制構築をサポートします。
http://compliance-ad.jp/service03/
===================================
————————————————————-
◆本ブログをメルマガでまとめ読み!
本ブログの1週間分の情報を、ダイジェストでお届けしています。(毎週金曜日配信)
登録はこちら
————————————————————-