今回のトピックは、「景表法の課徴金制度と返金対応」について。
今年の3月に特定適格消費者団体の消費者支援機構関西(=KC’s)が措置命令を受けた「葛の花由来イソフラボン」を含む機能性表示食品の販売企業15社(※)に対し、以下の申し入れを行いました。
・「葛の花」16社、特定適格消費者団体から返金申し入れ。課徴金だけじゃない被害回復裁判リスク!(消費者支援機構関西 22018年3月5日)
1)購入者に返金に応じることを個別に通知すること
2)消費者が希望する場合は返金等を行うこと
3)当団体に対して返金の実施状況を定期的に報告すること 等。
※
措置命令を受けた16社のうち、(株)ニッセンは、全購入者に対して不当表示の事実を通知するとともに、購入額の全額返金を実施していたことから申入れの対象から除外された。
その続報で、8月9日にKC’sが経過を公表しました。
15社のうち、11社はKC’sからの1)~3)の要請に全面的に応じ、2社は2)のみ対応、1社は2)と3)に対応、残る1社のみ一切の回答がなかったとしています。
もっとも、報道によると回答のなかった1社は、KC’sへの回答は拒否しているものの、すでに顧客に通知し返金に応じるなどの対応を行っていると報じられています。
◆KC’sの「葛の花」返金要請 11社が全面的に対応、1社回答拒否で対応「検討中」
(通販新聞 平成30年8月23日)
http://www.tsuhanshinbun.com/archive/2018/08/kcs111.html
事業者は、今回のような特定適格消費者団体からの被害回復の申し入れにより返金対応を余儀なくされるのであれば、課徴金納付と合わせてダブルの経済的な損失を負うこととなります。
また、今回の措置命令で課徴金納付が免除された6社(ニッセン除く)に対しても、返金対応等の申し入れはなされており、事業者は対応しています。
景表法では、「返金措置」は義務付けられてはいません。
ただし、課徴金制度において、一般消費者の被害回復を促進する観点から、返金による課徴金額の減額措置(※)が講じられています。(課徴金制度を有する他法には見られず、消費者法体系にある景品表示法として特徴的。)
※「返金措置」
・ 課徴金対象期間において課徴金対象行為に係る商品又は役務の取引を行った一般消費者のうち申出をした者に対し、
・ 当該申出者の購入額の3%以上の額の金銭を交付する措置
特定適格消費者団体の動きは、景表法の返金措置を後押しする効果を発揮しているといえます。
◆「葛の花由来イソフラボン」を配合した機能性表示食品の販売業者15社に対する申入れ活動について
(消費者支援機構関西 平成30年8月9日)
http://www.kc-s.or.jp/detail.php?n_id=10000863
<関連記事>
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