「注文した記憶のない商品の送り付け」健康食品の電話勧誘販売「(株)たんぽぽ」に特商法業務停止命令6か月及び指示(平成29年1月18日)

関東経済産業局は、1月18日、健康食品の電話勧誘販売を行っていた(株)たんぽぽ(東京都台東区)に対し、特定商取引法違反で6カ月間の電話勧誘販売業務の一部(新規勧誘、申込受付及び契約締結)停止を命じました。

違反の内容は、「再勧誘」、「書面の交付義務(記載不備)」、「商品の効能及び購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものについての不実告知」、「老人等の判断力不足に乗じ契約を締結させる行為」となっています。

併せて、『注文した記憶のない商品の送り付け』注意喚起チラシも処分と同日に公表しています。
——————————————————————————————
特定商取引法違反の電話勧誘販売業者【(株)たんぽぽ】に対する業務停止命令(6か月)及び指示について
(経済産業省北海道経済産業局 平成29年1月18日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/release/pdf/170118kouhyou_1.pdf
——————————————————————————————

◆『注文した記憶のない商品の送り付け』注意喚起チラシの公表について
(消費者庁 平成29年1月18日)

本処分は、特定商取引法第69条第3項の規定に基づき、消費者庁長官の権限委任を受けた関東経済産業局長が実施したものです。

【取引概要】

健康食品等の電話勧誘販売
商品名:「乳酸菌生産物質時間」、「贅沢な黒酵母ゼリー」、「愛花」、「おばあちゃんのらくらく歩行ベルト」

【認定した違反行為】
電話勧誘販売による本件商品の売買契約の締結について勧誘するに際しての、
「再勧誘」、「書面の交付義務(記載不備)」、「商品の効能及び購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものについての不実告知」、「老人等の判断力不足に乗じ契約を締結させる行為」

(1)再勧誘(法第17条)
同社は、本件商品の売買契約の締結について勧誘するに際し、消費者が「サプリメントは、結構です。」などと、本件商品の売買契約を締結しない旨、明示的に意思を表示したにもかかわらず、再度電話をかけるなど継続して勧誘を行っていた。

(2)契約書面の記載不備(法第19条第1項)
同社は、本件商品の売買契約を締結した際に消費者に対して交付すべき当該売買契約の内容を明らかにする書面に記載不備があった。

(3)商品の効能についての不実告知(法第21条第1項第1号)

同社は、本件商品の売買契約の締結について勧誘するに際し、「血圧だけでなく糖尿病にも効く。薬も必要なくなり、医者に行かなくても良くなります。」などとあたかも病状の改善の効能があるように告げており、商品の効能について不実を告げていた。

(4)判断に影響を及ぼすこととなる重要なものの不実告知(法第21条第1項第7号)

同社は、本件商品の売買契約の締結について勧誘するに際し、消費者にとって注文した覚えのない商品を「あなたが注文した健康食品が出来ましたのでこれから送ります。」と消費者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものについて不実を告げていた。

(5)判断力不足便乗(法第22条第3号)
同社は、本件商品の売買契約の締結について勧誘するに際し、認知症の高齢者等の判断力の不足に乗じ、本件商品の売買契約の締結をさせていた。

平成25年度に急増した電話勧誘による「健康食品の送り付け商法」に関する高齢者の苦情相談ですが、翌年度にはほぼ以前の件数に戻りました。
最近は60歳代以下の幅広い年齢層に対するネット通販での定期購入トラブルにシフトしてきています。
しかし、70歳以上の高齢者においては、電話で「強引」に勧誘を受け、「代引配達」で料金を支払ってしまったことに関する相談や、申し込んでもいないのに「無断契約」され、商品を送り付けられたという「ネガティブ・オプション」の相談も依然多い状況です。

判断に影響を及ぼすこととなる重要なものの不実告知や認知症の高齢者の判断力不足を利用した売買契約に関しては、消費者契約法の観点からも注意が必要です。

《参考記事》

・健康食品の電話勧誘販売「げんきの杜」法人名を変えて違反行為。特商法業務停止命令6か月及び指示(平成28年3月29日)

・消費者保護の更なる強化。特商法・消契法の改正案閣議決定(平成28年3月4日)

===================================
◆フィデスの広告法務コンサルティング◆
消費生活アドバイザーが、貴社の広告コンプライアンス
体制構築をサポートします。
http://compliance-ad.jp/service03/
===================================

————————————————————-
◆本ブログをメルマガでまとめ読み!
本ブログの1週間分の情報を、ダイジェストでお届けしています。(毎週金曜日配信)

登録はこちら

————————————————————-

関連記事

  1. 言歩木のアイケア酵素飲料に景表法措置命令と課徴金1814万円(消費者庁…

  2. 特商法でも不実証広告規制による違反認定。美容クリームのシミ・しわ改善効…

  3. ウエス「綿100%」で優良誤認?古田商事に景表法措置命令。繊維製品の品…

  4. 課徴金額過去最高16億円超。中国電力の電気料金プランの非公正な料金比較…

  5. 埼玉県、社会福祉組合の「火災保険等を利用した雨どいの補修工事」に景表法…

  6. アフィリエイト広告への処分続く。ヴィワンアークスの育毛剤の発毛・白髪改…

最近の記事

2024年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。