消費者庁が年末12月21日に行った景品表示法の措置命令。
食料品等の小売業イズミヤ(株)と、テナントである(株)牛肉商但馬屋が販売する神戸牛の表示に対し、おとり広告の処分です。
違反内容は、「今ついている本体価格よりレジにて3割引」と記載することにより、あたかも、平成28年2月13日に対象商品を販売するかのように表示していましたが、実際には同日に販売するための神戸牛の仕入れは行っておらず、対象商品の全部について取引に応じることができないものでした。
消費者に商品を直接提供しているのはテナントである但馬屋ですが、割引販売の企画や表示内容への関与の点からイズミヤも処分の対象となったようです。
消費者庁及び公正取引委員会(公正取引委員会事務総局近畿中国四国事務所)の調査による事案です。
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イズミヤ株式会社及び株式会社牛肉商但馬屋に対する景品表示法に基づく
措置命令について
(消費者庁 平成28年12月21日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/161221premiums_1.pdf
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【違反内容】
対象商品:
神戸牛
表示媒体:
a) 新聞折り込みチラシ(表示期間:H28.2.13.)
配布地域
大津市、京都府八幡市、大阪府枚方市、大阪府八尾市、大阪府藤井寺市、神戸市、兵庫県明石市、奈良県橿原市、奈良県香芝市、奈良県北葛城郡広陵町、和歌山市、和歌山県紀の川市、和歌山県岩出市
b) イズミヤのウェブサイト(表示期間:H28.2.13.~H28.2.15)
【表示例:イズミヤのウェブサイト】
違反内容:
「土 13日限り」、「和牛専門店 但馬屋」、「■八尾店・広陵店は『兵庫産神戸牛・佐賀産和牛』」、「■神戸玉津店は『兵庫産神戸牛・神戸ワインビーフ』」、「今ついている本体価格よりレジにて3割引」と記載することにより、あたかも、平成28年2月13日に対象商品を販売するかのように表示していたが、実際には同日に販売するための神戸牛の仕入れは行っておらず、対象商品の全部について取引に応じることができないものであった。
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牛肉商但馬屋は、イズミヤスーパーセンター八尾店、神戸玉津店及び広陵店に入店し同店の一部において運営を行い、イズミヤは牛肉商但馬屋に対し同社の店舗の売上額に一定の比率を乗じた額を仕入代金として支払う旨の契約を締結し、一般消費者に食肉等を販売していました。
イズミヤは、牛肉商但馬屋と共同して、遅くとも平成27年7月以降、毎月第二土曜日に八尾店、神戸玉津店及び広陵店において、本件商品を本体価格から3割引で販売することを企画して実施し、また、牛肉商但馬屋と協議の上、本件表示内容について決定し、新聞折り込みチラシ及び自社ウェブサイトに掲載しました。
景品表示法の処分の対象となるのは、「商品・役務を提供する事業者」であり、消費者への広告の表示責任者です。消費者に商品を直接提供しているのはテナントである但馬屋ですが、割引販売の企画や表示内容への関与の点からイズミヤも処分の対象となったようです。
継続的に実施されていた割引販売キャンペーンであれば、一層、テナントに対する管理責任が求められると言えるでしょう。
今回違反となった「おとり広告」での措置命令は珍しく、平成27年度の景品表示法の運用状況では、措置命令となった事件数14件のうち「おとり広告」は1件のみとなっています。
「おとり広告」となる表示とは:
・取引を行うための準備がなされていない場合のその商品・サービスについての表示
・商品・サービスの供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その旨を明示していない表示
・商品・サービスの供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その旨を明示していない表示
・実際には取引する意思がない商品・サービスについての表示
当社に対する消費者庁からの措置命令に関するお詫びとお知らせ
(イズミヤ株式会社 2016年12月21日)
不当広告についてのお詫び
(株式会社牛肉商但馬屋 2016年12月22日)
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