広告媒体別の健康食品に関する消費者相談の傾向とは?(東京都 平成27年度)

東京都は、東京都消費生活総合センター及び都内区市町村の消費生活相談窓口に寄せられた相談情報の平成27年度の「広告媒体」に関する相談について、その特徴と傾向を分析しています。(※)

今回は、「電子広告」「新聞広告」「折込広告」「雑誌広告」「テレビ広告」「ラジオ広告」において最も多くの相談が寄せられている「商品」である「健康食品」について、その特徴と傾向を各広告媒体別に分析します。

●「電子広告」と「健康食品」(414 件)
キーワード:
「継続」「定期購入」との単語が出てくる相談:263 件
「お試し」「初回無料」「初回数百円」「送料のみ」との単語が出てくる相談: 181 件
健康食品の内容:
「酵素食品」「ダイエットサプリメント」「バストアップサプリメント」「乳酸菌のサプリメント」「すっぽんエキス」などが多い。
内容キーワード:
「解約」に関する相談:300 件
「連絡不能」に関する相談: 64 件
「返品」に関する相談:62 件
「SNS」を経由した相談: 48 件


●「新聞広告」と「健康食品」(65件)



「男性」が35件(53.8%)、「女性」が30件(46.2%)。
「70~79歳」が27件(41.5%)、「80歳以上」が18件(27.7%)であり、「70歳以上」の高齢者が占める割合が7割近く。
パターン1(18件)
「『初回限定』『お試し』『〇〇に効く』といった新聞広告を見て『1回』のつもりで電話等で注文したところ『定期購入』になっていた」
パターン2(3件)
「『効能・効果』に関する新聞広告の記載を見て注文したが、効果が感じられないので解約したいができない」
パターン3(14件)
「『別の商品』の新聞広告を見て電話をかけた際に『別の商品』ではなく『健康食品』の電話勧誘を受けて注文してしまった」「『別の商品』の新聞広告を見て注文したところ、当該事業者から『別の商品』だけでなく『健康食品』が送り付けられてきた」などの「健康食品以外の新聞広告」を契機とした「健康食品」のトラブル
パターン4(4件)
「注文した覚えのない健康食品が送り付けられてきたので、事業者に電話すると、『新聞広告を見て注文している』と言われた」「知らない業者から『新聞広告を見て頼んだ健康食品を送る』という電話が入る」

●「折込広告」と「健康食品」(30件)



「男性」が9件(30.0%)、「女性」が19件(63.3%)
「70~79歳」が11件(36.7%)、「80歳以上」が6件(20.0%)であり、「70歳以上」の高齢者が占める割合が半数を超えている。
パターン1(8件)
「折込チラシを見て健康食品の『お試し』『サンプル』を頼んだ」はずが「定期コースになっていた」
「『継続しない場合は〇日までに申し入れればキャンセル可能』ということだったので、事業者に電話をしているが全く通じない」
「振込票が届いた」「高額な商品が送付されてきた」
パターン2(2件)
「折込チラシの『文言』や『体験談』を見て詳細を聞くために電話したら、その電話で勧誘され、高額の契約をさせられた」
パターン3(3件)
「『別の商品』の折込チラシを見て注文したところ、『別の商品』だけでなく『健康食品』が送り付けられてきた」
パターン4(6件)
「『健康講座』『ダイエット体験』などの折込チラシを見て会場に行ったら、SF商法や体験談商法などの会場だった」「健康食品の送り付けがあり、事業者に電話すると『折込広告を見て注文を受けた』と言われた」

●「雑誌広告」と「健康食品」(16件)

「男性」が5件(31.3%)、「女性」が9件(56.3%)
「13~15歳」が1件、「16~18歳」が2件、「19~29歳」が1件、「30~39歳」が1件、「60~69歳」が4件、「70~79歳」が3件、「80歳以上」が2件
パターン1(6件)
「雑誌に『今なら送料だけで無料サンプルが貰える』という痩身サプリの広告を見てネット注文したら定期コースだった」「雑誌で見つけた男性用サプリメントを1箱だけ申し込んだつもりが2回目が送付されてきた」などの「定期購入」や「継続」に関するもの。
パターン2(3件)
「『雑誌の〇〇が治ったという体験談』、『〇〇に効くという雑誌広告』を見て購入したが、効果がないので返金・返品したいと言ったら脅された、直接返品しに会社に来ないでくれと言われた」
パターン3(2件)
「『耳つぼダイエット』の折込チラシを見て会場に行ったら、『サプリメントを取らないと意味がない』などと強引な勧誘を受け、施術とサプリメントがセットになった高額なコース契約をさせられた」
「製薬会社を名乗って『頼んだ健康食品を送る』という不審な電話があり、『雑誌か新聞の広告を見て頼んでいる』と言われた」というもの
問題表示関連(1件)
「男性器を増大する効果がある」と雑誌広告に記載している商品があるが、毎回特価という記載をしている。

●「テレビ広告」と「健康食品」(34件)

「男性」が5件(14.7%)、「女性」が28件(82.4%)
「19~29歳」が1件、「30~39歳」が2件、「40~49歳」が2件、「50~59歳」が8件、「60~69歳」が9件、「70~79歳」が2件、「80歳以上」が7件

パターン1(22件)
「定期購入」に関するもの。
「飲んだら吐いた』『体調が悪くなったと感じた』場合の中途解約」
「注文した覚えがないが『認知症がある』消費者との契約」「『目方が違う』と感じて返品した際のトラブル」
「テレビCMに記載があったが消費者が『定期購入』のCMとは思わなかった場合のトラブル」
パターン2(1件)
「『ダイエット効果がある』と宣伝していたCMが、現在は『ダイエット効果について言及しない』CMに変更されている」
パターン3(1件)
「テレビCMで『試供品を無料で送ります』と宣伝していたので、注文したら、品物とともに請求書が届いた」

●「ラジオ広告」と「健康食品」(8件)



「男性」が3件、「女性」が4件。
「50~59歳」が2件、「60~69歳」が2件、「70~79歳」が2件、「80歳以上」が2件であり、全ての事例が「50歳以上」

パターン1(5件)
「定期購入」に関するもの。
「他にも沢山サプリを飲んでいるので止めたいが、電話が通じない」
「イメージと違うので解約したいが、他の会社に電話がかかってしまう」
「今回購入したものも含めサプリメントを全て止めたら、湿疹が消えた。事情を説明して定期便の中止を希望したが『最低3か月の継続である』と言われた」
「1回限りの注文だと思っていたが、翌月も商品が送られてきた(契約当事者は独居の全盲の高齢者)」。
パターン2
「電話での事業者の説明をめぐるトラブル」であり、「ラジオショッピングで紹介していたサプリメントを購入しようと思い、かけた電話で、電話の最後に『荷造り手数料』もかかると言われた」
パターン3
「返品をめぐるトラブル」であり、「ラジオで宣伝していたサプリメントを電話で注文したが返品したくなり、国民の長期休暇を避けて事業者に電話したら、『商品到着後8日を過ぎているので返品できない』と言われた」
パターン4
「送り付けを疑った高齢者との電話注文の有無をめぐるトラブル」

健康食品の広告に関する相談は、全体として70歳以上の高齢者の割合が多く、広告媒体では特に新聞、折込広告において顕著です。
内容では、覚えのない「定期購入」や「解約」に関するトラブルが、どの広告媒体に関しても多く見られます。
相手が高齢者であることから、広告において必ずしも事業者側に問題があるとは限らない事例もありますが、高齢者の特性を理解し、契約条件や申込受付対応において消費者が錯誤に陥らないよう配慮する必要があるでしょう。

《関連記事》
・急増!健康食品・化粧品・飲料のネット通販定期購入トラブル 法的注意点は?

・健康食品のネット通販定期購入解約トラブル。続く行政の注意喚起。消費者契約法にも注意

・「定期購入」にまつわる消費者とのトラブル事例と対策のヒント

(※)
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「広告媒体」「広告と健康食品」の消費生活相談の概要
(2016年11月4日 東京都)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/sodan/tokei/documents/theme_2810.pdf
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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。