機能性表示食品の表示に対する3事例目となる景品表示法措置命令(優良誤認)です。
11月27日、消費者庁は、食料品等の販売事業者(株)アリュール(東京都品川区)が提供する機能性表示食品の表示に優良誤認の措置命令を行いました。
今年6月のさくらフォレスト事案では、届出表示の逸脱表示(行き過ぎた表示)に加えて、届出表示そのものの裏付けとなる科学的根拠の合理性が問題となりましたが、今回は2017年11月の「葛の花由来イソフラボン」事案と同様、届出表示の逸脱表示のみが問題となりました。
・さくらフォレストの機能性表示食品に景表法措置命令、届出表示の根拠認めず。同一根拠届出製品約90件も個別確認へ(消費者庁 2023年6月30日)
・「葛の花」16社に、機能性表示食品で初の景表法措置命令。届出内容と表示の整合性(消費者庁:平成29年11月7日)
違反対象となった商品は、りんご由来プロシアニジンを機能性関与成分とした機能性表示食品『スリムサポ(SlimSapo)』。
機能性関与成分に関する研究レビューによる機能性表示の届け出で、機能性表示は、「本品には、りんご由来プロシアニジンが含まれます。りんご由来プロシアニジンには肥満気味な方の体重、体脂肪、内臓脂肪、ウエストサイズの減少をサポートすることにより、高めのBMIを減らす機能が報告されています。BMIが高めの方に適した食品です。」となっています。
今回の事案を受けて消費者庁は、機能性表示食品について、消費者に対し、「公表されている届出内容を超えた広告を鵜呑みにしない」よう注意喚起を行っています。
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消費者庁から消費者の皆様へ
機能性表示食品の正しい理解についての御協力をお願いします(消費者庁 2023年12月5日)https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_health_claims#info20231205
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処分のポイントを確認します。
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株式会社アリュールに対する景品表示法に基づく措置命令について
(消費者庁 2023年12月5日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/035547/
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【違反内容】
対象商品:
「スリムサポ(SlimSapo)」と称する機能性表示食品
表示媒体・表示期間・効果表示:
(1)自社ウェブサイト
2023年3月10日、24日、28日、4月10日~7月10日、7月11日~10月25日
誰でも、容易に、外見上、身体の変化を認識できるまでの痩身効果、顔面の美白(シミが薄くなる)効果、コレステロールの低下作用、脂質代謝改善効果、抗アレルギー効果、デンタルケア(オーラルケア)効果、アンチエイジング効果及びスポーツパフォーマンスの改善効果。
(2)広告作成等を行う事業者等に運営を委ねるウェブサイト
2023年3月24日、28日、7月14日~8月22日
誰でも、容易に、外見上、身体の変化を認識できるまでの痩身効果、顔面の美白(シミが薄くなる)効果、脂質代謝改善効果、アンチエイジング効果及び便秘解消効果。
表示内容:
●届出の範囲を著しく逸脱した表示
「機能性表示食品 届出番号F956」並びに「内側からキレイに Slim Sapo スリムサポ 食事のお供に ダイエットのお供に 1日1回、飲むだけ簡単♪ 肥満気味な方の体重・体脂肪・内臓脂肪 ウエストサイズの減少をサポート 高めのBMIを減らす機能が報告されているサプリメントです。」との記載と共に、段々となった腹部の肉をつまむ人物のイラスト及び細身の人物のイラスト等と表示。
あたかも、本件商品を摂取すれば、商品に含まれる成分の作用により、広告に記載のとおりの効果が得られるかのように示す表示をしていた。
【表示例】自社ウェブサイト
実際:
アリュールに対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められなかった。
●商品の痩身効果等を消費者庁又は国が効果を認めたとする表示
a)「認定」との記載と共に、本件商品の容器包装の画像、「『スリムサポ』とは肥満気味な方の体重・体脂肪 内臓脂肪 ウエストサイズの減少をサポート 高めのBMIを減らす機能が報告されているサプリメント」及び「消費者庁が認定した機能性表示食品です。」等と表示。
あたかも、本件商品を摂取すれば、商品に含まれる成分の作用により、肥満気味な人の体重、体脂肪、内臓脂肪及びウエストサイズの減少をサポートし、高めのBMIを減らす効果が得られることについて、消費者庁が認めているかのように示す表示をしていた。
b)「機能性表示食品とは、根拠に基づいて効果が届出されているもので国が激やせする効果を認めているんです!」、「国が痩せると認めたサプリ」及び「国が痩せる効果を認めた機能性表示食品」等と表示。
あたかも、本件商品を摂取すれば、商品に含まれる成分の作用により、誰でも、容易に、外見上、身体の変化を認識できるまでの痩身効果を得られることについて、消費者庁又は国が認めているかのように示す表示をしていた。
【表示例】自社ウェブサイト
実際:
消費者庁又は国が本件商品に広告に記載のとおりの効果が得られることについて、認めた事実はない。
本事案は、(1)届出の範囲を著しく逸脱した痩身効果表示、(2)届出表示に含まれない機能に関する効果表示と、(3)商品の痩身効果等を消費者庁又は国が効果を認めたとする表示に対して、景表法に基づく不当表示認定となっています。
また、自社ウェブサイトだけでなく、広告作成会社に運営を委ねていたウェブサイトの表示も違反対象となっています。
機能性表示食品として、どのような視点から不当表示とみなされたのか、認められる表示の範囲について、詳しい解説は、以下の記事でご確認下さい。
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《参考記事》
・「葛の花」機能性表示食品9社に景表法課徴金納付命令。自主的お詫び社告の影響は?(消費者庁:平成30年1月19日)
・「葛の花」16社、特定適格消費者団体から返金申し入れ。課徴金だけじゃない被害回復裁判リスク!(消費者支援機構関西 22018年3月5日)
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