国センに寄せられた健康被害情報28%増。「健康食品」「化粧品」が大幅増加(PIO-NETにみる2019年度の危害・危険情報)

今回は、PIO-NETにより収集した全国の消費生活に関する相談情報より、商品・役務・設備に関連して、身体にけが、病気等の疾病(危害)を受けた「危害・危険情報」についてご紹介します。
2019年度の「危害情報」件数は14,032件で、前年度より3,038件増加し、対前年度比27.6%増となりました。これは、「危害情報」の上位商品・役務である「健康食品」が2,111件、「化粧品」が1,048件、それぞれ大きく増加したことによるものです。

PIO-NET危害・危険相談件数(2019年度)

●「危害・危険」の相談件数、対前年度比19.2%増加
「危害・危険情報」は16,406件で、対前年度比でみると19.2%増となった(2018年度:13,763件)。
「危害情報」は14,032件、対前年度比でみると27.6%増(2018年度:10,994件)。
相談は常時10,000件以上寄せられている。2019年度は過去5年間で最多となった。
「危険情報」は2,374件、対前年度比でみると14.3%減(2018年度:2,769件)。

(注 1)
PIO-NET (パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベース。
(注 2)「危害・危険情報」とは、商品・役務・設備に関連して、身体にけが、病気等の疾病(危害)を受けたという情報(「危害情報」)と、危害を受けたわけではないが、そのおそれがある情報(「危険情報」)をあわせたもの。データは、2018 年 5 月末日までの登録分。消費生活センター等からの経由相談を除いている。

PIO-NET危害相談商品別(2019年度)


「危害情報」の概要
●上位商品、「健康食品」、「化粧品」の危害情報件数が大幅増
1 位は「健康食品」3,911件(27.9%)、前年度(2位、1,800件)から2,111件、117%増加。
2 位は「化粧品」2,879件(20.5%)で、前年度(1位、1,831件)から1,048件、57%増加。
3 位は「医療サービス」829件(5.9%)、前年度(3 位、846件)から17件、2.0%減少。
4 位は「エステティックサービス」394件(2.8%)、前年度(4位、409件)から15件、3.7%減少。
5 位は「外食」362件(2.6%)、前年度(5位、375件)から13件、3.5%減少。

PIO-NET危害相談内容別(2019年度)

●「危害」内容では化粧品、健康食品による「皮膚障害」が大幅増加
1位は、「皮膚障害」4,690件(33.4%)で、前年度(1位、3,220件)から1,470件と大幅増加した。「化粧品」、「健康食品」、「医療サービス」などに関するものが多く、このうち「化粧品」は 2,680 件と過半数を占め、1,039 件増加したこと、また、「健康食品」も355 件増加したことによる。
2位は、「消化器障害」3,283 件(23.4%)で、前年度(3 位、1,726 件)より 1,557 件増加した。「健康食品」、「外食」、「調理食品」などに関するものが多く、このうち「健康食品」は 2,621 件と約 8 割を占め、1,592 件増加したことによる。
3位は、「その他の傷病及び諸症状(※)」2,745 件(19.6%)で、前年度(2 位、2,667 件)より 78 件増加。「医療サービス」、「健康食品」、「歯科治療」などに関するものが多い。
このうち「医療サービス」が 38 件減少したが、「健康食品」が 109 件増加した
4位は、「擦過傷・挫傷・打撲傷」の636 件(4.5%)で、前年度(4位、644件)から8件減少。「自転車」、「エステティックサービス」などに関するものが多い。
5位は、「熱傷」569 件(4.1%)で、前年度(5位、600件)から31件減少。「医療サービス」、「「エステティックサービス」などに関するものが多くなっている。
(※)「その他の傷病及び諸症状」には、脱毛、切れ毛、頭痛、腰痛、発熱、精神不安定等が該当し、根本的な原因が明らかでないものが含まれる。

PIO-NET危害相談年代・性別(2019年度)

●被害者の7割超が女性、50歳代が最多
危害を受けた被害者の性別件数は、女性が10,322件(73.6%)、男性が3,459件(24.7%)。
年代別件数では、前年度と同じく50歳代が2,929件(20.9%)で最多、次いで 40歳代が2,639件(18.8%)。以下、60 歳代2,060件(14.7%)、70 歳以上1,976件(14.1%)、
30 歳代1,498件(10.7%)、20 歳代1,129件(8.0%)、10 歳代421件(3.0%)、10 歳未満 227 件(1.6%)と続く。

PIO-NET危害相談年代・商品別(2019年度)

●健康食品の「危害」相談が30歳代以上のすべての年齢層でトップ
「健康食品」の相談は、10歳代20歳代で2位だが、30歳代以上ではすべての年代でトップ。「化粧品」の相談も10歳代20歳代でトップのほか、30歳代以上ではすべての年代で2位に上がっている。
被害者の年代別に危害の多い商品・役務の傾向は、以下のとおり。
10歳未満は「外食」が26件でトップ。
10 歳代、20 歳代は「化粧品」がトップで、10 歳代が161件、20 歳代が258件。次いで、「健康食品」が2位で10 歳代が92件、20 歳代が227件。
30 歳代以上の各年代では「健康食品」がトップで、30 歳代が402件、40 歳代が942件、50歳代が1,099件、60 歳代が603件、70歳以上が378件。次いで、「化粧品」が2位で30歳代が225件、40歳代が502件、50歳代が675件、60歳代が560件、70歳以上が340件。

●危害情報上位の薬事関連商品の内容
「危害情報」件数上位の薬事関連商品(「健康食品」「化粧品」)について、性別、年代、商品種別・危害内容内訳、事例を分析した。

PIO-NET危害相談健康食品年代別(2019年度)

健康食品(3,911件、前年度比117%増)
性別・年代:
性別では女性がが 3,140件(80.3%)と8割以上を占める。
年代別では、50歳代1,099件(28.1%)40歳代が942件(24.1%)で最も多く、次いで、60歳代603件(15.4%)の順となっている。

「健康食品」の内訳:
各種サプリメントなどを含む「他の健康食品」2,596 件(66.4%) で最も多く、次いで、「高麗人参茶」676 件(17.3%)、「酵素食品」396 件(10.1%)の順。
「他の健康食品」が 1,565 件、「高麗人参茶」が 663 件、それぞれ大きく増加したことが、前年度比増加の要因。
危害内容:
「消化器障害」がが 2,621件(67.0%)と約7割を占め、次いで、「皮膚障害」852件(21.8%)、「その他の傷病及び諸症状」330件(8.4%)の順。
<事例>
・スマートフォンで動画広告を見て 500 円程度の筋肉増強サプリメントを申し込んだ。飲むと湿疹が出てかゆくなったので解約を申し出たら、定期購入なので初回分を定価で支払えば解約できると言われた。(50 歳代・男性)。
・インターネット上の広告を見て 100 円のダイエットサプリメントのモニターを申し込んだが、後で高額の請求があり定期購入だとわかった。飲むと下痢をするので解約したい。
(60 歳代・女性)。

PIO-NET危害相談化粧品年代別(2019年度)

化粧品(2,879件、前年度比57%増)
性別・年代:
性別では、女性が2,284 件(79.3%)と約8割を占める。
年代別では、50 歳代が675件(23.4%)で最も多く、次いで60歳代の560件(19.5%)、40歳代502件(17.4%)の順となっている。

「化粧品」の内訳:
「乳液」717 件(24.9%)、「脱毛剤」445 件(15.5%)、まつ毛美容液などを含む「化粧品その他」342 件(11.9%)、「化粧クリーム」335 件(11.6%)の順。「脱毛剤」は前年度(18 位、15 件)から 268 件増加。
「乳液」が 455 件、「脱毛剤」が 329 件、それぞれ大きく増加したことが、前年度比増加の要因。
危害内容:
「皮膚障害」が1,435 件(91.0%)と全体の約9割を占め、次いで「その他の傷病及び諸症状」141件(4.9%)の順。
<事例>
・定期購入で目元美容液を購入したが塗ると腫れたため、かかりつけ医を受診すると使用を止められた。解約条件として病院の診断書か領収書が必要と言われ、領収書の送付で解約してほしいと申し出たが、解約の判断は書類を見て決めると言われた。(50 歳代・女性)。
・スマートフォンで 980 円の除毛クリームを1回だけ購入するつもりで注文した。商品を使用したら肌に合わず、かゆくなったり痛くなったりした。2 回目の商品が届き定期購入だとわかったが解約したい。(20 歳代・男性)。

2019年度は、これまで以上に健康食品、化粧品の健康被害が多く発生しました。
2020年6月1日には食品衛生法改正(平成30年6月13日公布)が施行され、指定成分等含有食品による健康被害情報の届出が義務化されました。
同時に、容器包装への指定成分に関する表示が義務付けられました。

また、同法改正により、事業者が食品の自主回収(リコール)を行う場合に、行政への届出が義務付けられ、2021年6月1日から施行となります。

商品を扱う事業者には、製品の製造管理のあり方はもとより、被害情報収集と情報処理体制整備、消費者に対する適切な情報提供(表示、広告等)が一層求められます。
フィデスでは、顧客からの問合せ・相談情報の分析・活用、情報提供に関するコンサルティングを行っています。
お気軽にお問い合わせください。

次回は、制度の内容を解説します。

(※)
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2019年度のPIO-NETにみる危害・危険情報の概要 (独立行政法人国民生活センター 2020年9月3日公表)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20200903_2.html
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《関連記事》

・食品による健康被害防止対策強化へ。食品衛生法、食品表示法改正

・国センに寄せられた健康被害情報、上位3商品・役務は「健康食品」「化粧品」「医療サービス」
(PIO-NETにみる2017年度の危害・危険情報)

・増える健康食品、化粧品の健康被害。「皮膚障害」「消化器障害」相談が大幅増加
(PIO-NETにみる2016年度の危害・危険情報)

・健康食品の健康被害と商品名公表
(東京都 平成28年度「『危害』の消費生活相談の概要」)

・国セン、プエラリア・ミリフィカを含む健康食品に注意喚起。厚労省、調査開始
(国民生活センター商品テスト 2017年7月)

・広告媒体別の健康食品に関する消費者相談の傾向とは?
(東京都 平成27年度)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。