今後、加工食品購入時に「原料原産地名」を参考にする人は9割超(消費者庁 加工食品の原料原産地表示に対する消費者意識調査)

2017年9月1日施行の、新たな加工食品の原料原産地表示制度への移行に向けたマーケティング対応について考えるシリーズ。
第1回、第2回では以下のテーマを取り上げました。

第1回:新たな食品表示基準に対する、食品製造業者の対応状況
第2回:加工食品の生産・流通の現状と、消費者の国産食材志向の傾向

第3回は、加工食品の原料原産地表示に対する消費者意識について確認してみます。
消費者庁が行った加工食品の原料原産地表示に対する消費者意識調査(※)より、表示の参考度、参考理由、表示の拡大に伴うコスト負担に対する許容度を確認しました。

《調査のポイント》
●加工食品購入時に、「原料原産地名」を参考にする人は77%
●今後、加工食品購入時に「原料原産地名」を参考にする人は9割超
●参考理由は、「国産のものを選びたい」65%、「特定の原産国のものを選びたい又は選びたくない」39%
●産地情報を入手する手段はパッケージ表示が9割超、HPが2割
●表示拡大による「値上げは避けるべき」が64%
●値上げの許容範囲は「5%未満」 が75.0%


●加工食品購入時の「原料原産地名」参考度
加工食品を購入する際に、「原料原産地名」について「いつも参考にしている」又は「ときどき参考にしている」を選んだ人は合わせて76.8%を占めている。平成23年度調査では67.9%で、消費者の関心は高まっている。(n=3,000)

●今後の加工食品購入時の「原料原産地名」参考度
今後、加工食品を購入する際の商品情報として、どの程度原料原産地表示を参考にしていくのかに関して、「これまでどおり参考にする」(38.5%)、「これまで以上に参考にする」(37.5%)、「今まで参考としなかったが、今後は参考にしたい」(16.6%)。
表示を参考にする意向を持つ人は選んだ人は92.6%に上る。(n=3,000)


●原料原産地表示を参考にする理由

原料原産地表示を参考にする理由としては、「原料が国産のものを選びたい」は65.4%、次いで「原料が特定の原産国のものを選びたい又は選びたくない」は39.0%となった。
(n=2,777)

●産地情報を入手する手段
産地情報を入手する手段については、「食品に表示されている表示を確認」(92.6%)で最多、次いで「ホームページを見る」(18.1%)、「販売店に聞く」(7.6%)、「お客様相談室に問い合わせる」が3.2%となった。(n=2,777)

●原料原産地表示の拡大に伴うコスト負担の商品転嫁
原料原産地表示の拡大に伴うコスト負担の商品への価格転嫁(値上げ)に対する考え方に関しては、「(値上げは)避けるべき」が64.4%を占めており、「(値上げは)認められる」は34.7%となった。(n=3,000)
また、値上げが認められる人に対し、どの程度であれば認められるかを聞いたところ、「5%未満」 が75.0%で最も多く、次いで「5%以上10%未満」が19.8%となった。
(n=1,040)

原料が国産のものを選びたいという理由から、購入時の原料原産地表示の参考度は高いものの、反面、表示拡大に伴うコスト負担の商品への価格転嫁(値上げ)に対してはシビアなものとなっています。
消費者の要請である原料原産地についての適切な情報提供を行いつつ、企業の総合力で商品の魅力UPが求められます。

(※)
第3回 加工食品の原料原産地表示制度に関する検討会(平成28年3月31日開催)
【資料1】消費者に対する調査について
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/other/pdf/160331_shiryou1.pdf
【調査設計】
調査方法:一般消費者を対象としたアンケート調査(Webアンケート)
調査対象:日本在住の20歳以上男女 3,000人
アンケート実施時期: 平成28年3月4日~3月11日

≪関連記事≫
・食品のネット購入時に義務表示事項確認する人は9割!情報を探して確認できなかった場合、76%がそのサイトで購⼊せず(消費者庁 平成28年8月)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。