「いわゆる健康食品」の不安理由、「安全性についての科学的な根拠に疑問」が約3割(食品安全モニター意識調査)

内閣府食品安全委員会では、定点調査として、毎年2回、食品安全モニターの方を対象に、食品の安全性に関する意識調査を実施しています。
平成26年度の第1回調査は平成26年8月に実施しました。(※)

今回調査では、食品安全への不安は71%、「いわゆる健康食品」の安全性への不安は64.1%で、前回調査より1.5ポイント増加となっています。
調査レポートより、特に「いわゆる健康食品」に関する意識についてフォーカスしてご紹介します。


●食品安全への不安は71%。震災直後以降減少していたが、今回は増加
環境問題、食品安全、交通安全など、日常生活を取り巻く7つの危害要因等ごとの不安の程度について。
食品安全については、「とても不安を感じる」が 23.6%、「ある程度不安を感じる」が
47.4%で、合わせて 71.0%が不安を感じていると回答。これは、自然災害(86.7%)、環境問題(83.3%)、重症感染症(75.5%)より低く、交通事故(62.3%)、犯罪(61.6%)、戦争・テロ(56.3%)より高い。
経年的な特徴としては、「とても不安を感じる」の割合は、震災直後の平成23年度第1回の調査で31.7%と増加した後、低下傾向を示していたが、今回の調査では 5.5ポイントの増加(18.1%→23.6%)に転じている。
ハザード別不安程度H26.8

●「いわゆる健康食品」の安全性への不安は64.1%。前回より1.5ポイント増加
食品の安全性の観点から、「とても不安を感じる」と「ある程度不安を感じる」の合計の回答割合が高かったハザード等の上位 3 事項は、
1位「有害微生物(細菌・ウイルス)による食中毒等」(80.8%→78.5%)
2位「いわゆる健康食品」(62.6%→64.1%)
3位「放射性物質」(67.5%→64.0%)

「いわゆる健康食品」は、不安であるとの回答割合が長期的には 6 割前後で横ばい傾向だ
が、今回調査で1.5ポイント増となっており、24年度より増加傾向となっている。
食品安全不安程度H26.8
食品安全不安程度(健食)H26.8

●「いわゆる健康食品」の不安理由、「安全性についての科学的な根拠に疑問」が約3割
「いわゆる健康食品」の、安全性への不安理由の上位事項は、
1位「安全性についての科学的な根拠に疑問」(19.5%→28.6%)
2位「事業者の法令順守や衛生管理が不十分」(18.6%→21.4%)
3位「行政による規制が不十分」(21.3%→16.1%)
4位「事業者からの食品の安全性に関する情報提供が不十分」(16.3%→13.2%)

年度別に比較したところ、長期的には「安全性についての科学的な根拠に疑問」と「行政による規制が不十分」が拮抗している。今回調査では、「科学的な根拠」が9.1ポイント増、「事業者の法令遵守や衛生管理が不十分」が初めて第2位となり2.8ポイント増、「行政による規制が不十分」は第3位で5.2ポイント低下している。
食品安全不安理由(健食)H26.8

本調査の対象は食品安全モニターであり、食品安全に関する業務の経験者が対象となっているため、一般消費者の意識とは温度差がある可能性もありますが、「いわゆる健康食品」の安全性に対して6割以上が不安を感じている結果となっています。
不安理由に挙がっている「安全性についての科学的な根拠に疑問」「事業者の法令遵守や衛生管理が不十分」について、機能性表示制度が支持され消費者ニーズに応えられることを期待します。

(※)
食品安全モニター課題報告「食品の安全性に関する情報等について」
(食品安全委員会 平成26年8月実施)
http://www.fsc.go.jp/monitor/monitor_report.html

食品安全モニターとは:
食品安全委員会は、食品の安全性について、また、食品安全委員会のリスク評価や食品安全行政について一定の理解を可能とする科学的知識を有する者(大学等で食品に関係の深い学問を履修した者や食品に関係の深い資格(栄養士等)を有する者、食品安全に関する業務の経験がある者等)470 名を、食品安全モニターとして依頼している。

食品安全モニター有効回答者の職務区分
有効回答のモニター437 名の職務区分は、「食品生産・加工経験者」(30.7%)、「食品流通・販売経験者」(16.0%)、「研究職経験者」(9.2%)、「医療職経験者」(9.4%)、「教育職経験者」(8.0%)、「食品関係行政従事者」(3.9%)となっている。
「食品生産・加工」及び「食品流通・販売」「研究職」は、男性が多くそれぞれ67.2%、74.3%、77.5%。
「医療職」「教育職」及び「その他消費者」は、女性が多くそれぞれ70.7%、62.9%、71.0%。
食品安全意識調査回答者属性H26.8

≪関連記事≫
・「いわゆる健康食品」の安全性への不安は62.6%。前回より7.1ポイント増加
(食品安全モニター「食品の安全性に関する情報等について」平成25年8月実施)

————————————————————-
◆本ブログをメルマガでまとめ読み!
本ブログの1週間分の情報を、ダイジェストでお届けしています。(毎週金曜日配信)
登録はこちら
————————————————————-

関連記事

  1. 食生活・生活習慣の改善意欲に関心がある人が8割、バランスの良い食事や推…

  2. 「無料体験、キャンペーン」「効き目を強調」「無料解約、返金保証」表示に…

  3. 「いわゆる健康食品に機能を表示できないことの認知率は31.8%(消費者…

  4. 今後も拡大が見込まれるシニア層のネット通販利用。シニアに人気の健食通販…

  5. 今後、加工食品購入時に「原料原産地名」を参考にする人は9割超(消費者庁…

  6. 6割強の人が購入・契約に不安。被害を受けたサイレントカスタマーは46%…

コメント

最近の記事

2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。