食品表示法が2015年4月1日に施行され、4年が経過しました。
消費者庁では、消費者の食品表示制度に対する理解度等に関する「食品表示に関する消費者意向調査」を実施しました。この調査は、食品表示法等の関係法令やガイドライン等の定着状況や消費者の食品表示に対するニーズを把握し、食品表示制度の見直しに役立てることを目的としています。
本調査より、特に「保健機能食品」に関する消費者意識についてフォーカスしてご紹介します。(※)
健康食品の企画開発、販売においての参考情報として活用されてはいかがでしょう。
《調査のポイント》
●「どのようなものか知っている」者の割合、「機能性表示食品」 14.5%、「特定保健用食品(トクホ)」32.7%
●摂取経験は、機能性表示食品23%、特定保健用食品40%、栄養機能食品25%
●今後摂取意向は、機能性表示食品38%、特定保健用食品28%、栄養機能食品38%
●「栄養機能食品」「特定保健用食品」「機能性表示食品」の摂取理由、いずれも「健康の維持・増進に役立てるため」がトップ(61.6%/52.2%/56.8%)
●「栄養機能食品」「特定保健用食品」「機能性表示食品」の摂取時に確認する表示上位3項目は、「機能表示」(50.3%/56.4%/53.4%)、「栄養成分表示」(45.5%/37.5%/42.4%)、「一日当たりの摂取目安量」(38.0%/34.6%/33.8%)
●保健機能食品の認知度
「「保健機能食品」とは、「いわゆる健康食品」のうち、一定の条件を満たした食品を指します。「保健機能食品」を知っていますか。」という問いに対して、「どのようなものか知っている」は(18.0%)、「聞いたことがあるが、どのようなものか知らない」は(53.8%)、合計割合は(71.8%)であった。
「保健機能食品」の「機能性表示食品」、「特定保健用食品(トクホ)」、「栄養機能食品」それぞれについて「どのようなものか知っている」者の割合は、「機能性表示食品」 (14.5%)、「特定保健用食品(トクホ)」(32.7%)、「栄養機能食品」(13.9%)となった。
「聞いたことがある」を含めた割合は、「機能性表示食品」(75.3%)、「特定保健用食品(トクホ)」(91.5%)、「栄養機能食品」(75.9%)となった。
「特定保健用食品」、「機能性表示食品」について、具体的な内容の認知度は以下の通り。
●保健機能食品の摂取状況
保健機能食品の摂取経験のある者の割合は(「現在摂取している」と「以前摂取していたが、今は摂取していない」と回答した者の合計)、機能性表示食品(23.2%)、特定保健用食品(39.7%)、栄養機能食品(24.9%)であった。
今後摂取意向がある者の割合は(「摂取したことはないが、今後摂取してみたい」と回答した者の合計)、機能性表示食品(38.2%)、特定保健用食品(27.5%)、栄養機能食品(37.7%)となった。
●保健機能食品の摂取理由
※対象者は各食品を「現在摂取している」又は「以前摂取していたが、今は摂取していない」と回答した者
【栄養機能食品】
「栄養機能食品」の摂取理由は、「健康の維持・増進に役立てるため」(61.6%)、「普段の食事では不足する栄養素を補いたいため」(47.1%)、「なんとなく」(20.6%)、「病気を治したいため」(7.2%)の順。
【「特定保健用食品」「機能性表示食品」】
「特定保健用食品」と「機能性表示食品」の摂取理由を比較すると、「健康の維持・増進に役立てるため」(52.2%/56.8%)、「保健の機能/機能性(例:お腹の調子を整える。など)が期待できるため」(42.1%/43.6%)、「国が許可しているため(トクホのみ)」(26.1%)、「安全性が担保されているため」(21.0%/20.1%)、「なんとなく」(19.1%/20.5%)、「テレビなどで宣伝されているため」(17.7%/11.9%)、「病気を治したいため」(4.2%/4.2%)の順。
●保健機能食品の摂取時確認表示
※対象者は各食品を「現在摂取している」又は「以前摂取していたが、今は摂取していない」と回答した者
【栄養機能食品】
「栄養機能食品」の摂取時に確認する表示項目は、「栄養成分の機能」(50.3%)。次いで「栄養成分表示」(45.5%)、「一日当たりの摂取目安量」(38.0%)、「機能を有する栄養成分名」(30.2%)の順。「確認しない / 確認したことがない」は11.3%。
【「特定保健用食品」「機能性表示食品」】
「特定保健用食品」と「機能性表示食品」の摂取時に確認する表示項目上位3項目は、「保健の機能/機能性(例:お腹の調子を整える。など)の表示」(56.4%/53.4%)、「栄養成分表示」(37.5%/42.4%)、「一日当たりの摂取目安量」(34.6%/33.8%)の順。
「機能性表示食品」が「特定保健用食品」を上回っている項目は、「栄養成分表示」(37.5%/42.4%)、「関与成分名」(14.2%/25.4%)、「関与成分の含有量」(16.2%/21.7%)。
「確認しない / 確認したことがない」は(14.1%/11.8%)。
調査結果より、「保健機能食品」の「いわゆる健康食品」とは差別化された商品としての認識は、2割に満たないことがわかりました。
最も理解度の高い「特定保健用食品(トクホ)」においても、33%、「機能性表示食品」、「栄養機能食品」は共に14%と、まだまだ理解が浸透しているとは言えない状況です。
「保健機能食品」に対してその機能性への期待から、機能表示に関心が高いことが読み取れます。しかし、「特定保健用食品」については、「食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。」の表示の認知度が他の内容より低く、食品の機能性に対する偏った認識につながることが懸念されます。
また、「機能性表示食品」は、製品自体に「機能性表示食品」の文言や「届出番号」が表示されていることや、安全性及び機能性の根拠情報が公開されていて、購入前に確認できることに対する認知度が他の内容より低く、消費者が合理的な選択を行うための情報活用が不十分な状況と言えます。
機能性表示食品についての消費者の正しい理解が促進されることで、広く食品業界の活性化につながることを期待しています。
(※)
平成28年度食品表示に関する消費者意向調査
(消費者庁 平成29年4月11日)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/research/2016/
報告書:
http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/research/2016/pdf/information_research_170411_0002.pdf
【調査の目的】
消費者の食品表示制度に対する理解度等を調査し、その結果を分析することで、食品表示法等の関係法令やガイドライン等の定着状況を把握するとともに、消費者の食品表示に対するニーズを把握し、食品表示制度の見直しに役立てることを目的に実施。
【調査設計】
調査手法: インターネット調査
調査機関: 株式会社イデア・プロジェット
調査対象者: 平成27年国勢調査の性別、年代、地域の比率を考慮した全国の満15歳以上の日本国籍を有する一般消費者(80 歳以上を含む。)
有効回答数:12,691 標本数:10,648
調査実施時期: 平成28年12月12日(月)~平成29年1月4日(水)
≪関連記事≫
・機能性表示食品、「中性脂肪・体脂肪」に熱い視線。小売業は消費者ニーズ把握や機能性訴求が経営課題
(日本政策金融公庫 平成28年7月)
・「いわゆる健康食品」に機能を表示できないことの認知率は31.8%
(消費者庁「食品の機能性表示に関する消費者意向等調査」平成26年4月実施)
・「いわゆる健康食品」の不安理由、「安全性についての科学的な根拠に疑問」が約3割
(食品安全モニター「食品の安全性に関する情報等について」平成26年8月実施)
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