消費者庁が「第7回 食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会」において行った消費者調査(※)より、インターネットによる⾷品購⼊者の利⽤頻度や利⽤業態(宅配、ネットスーパー、お取り寄せ、ネットモール)別の意識についてご紹介します。
当懇談会は、食品のインターネット販売における情報提供の促進を図っていく観点から、消費者に必要な情報及びその提供方法並びに事業者にとって実行可能性のある情報提供の方策について検討を行うもので、平成27年12月より始まり平成 28 年秋頃を目処に取りまとめの公表を予定しています。
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食品のインターネット販売における情報提供の在り方懇談会
(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/index26.html
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以下の調査データをピックアップしました。
・インターネットによる⾷品購⼊者/非購⼊者の性別・年代
・食品をインターネットで購入する頻度
・ネット販売の利用理由
・利用しているサイトを選んだ理由
・購⼊時の「義務表⽰事項に係る情報」確認状況
・必要とする義務表示事項に係る情報が提供されていなかった場合の行動
・「義務表示事項に係る情報」の閲覧時に困ったこと
・ネット購入での失敗経験
●インターネットによる⾷品購⼊者/非購⼊者の性別・年代
購⼊者の性構成は、男性48.0%、⼥性52.0%。
未購⼊者の性構成は、男性58.1%、⼥性41.9%。
年代構成は、購⼊者では40代が21.1%、30代が17.9%、50代が17.0%などで、未購⼊者と⽐べて若年層がやや少ない。
●食品をインターネットで購入する頻度
インターネットでの⾷品の購⼊頻度は、週1回以上が13.1%、⽉1回以上では57.1%。
週1回以上利⽤する者はネットスーパーの利⽤者で多く(25.0%)、次に宅配が多い(16.1%)。
●ネット販売の利用理由(複数回答)
⾷品をインターネットで購⼊する理由の上位3つは、「重い荷物を運ぶのが⼤変であるため」(45.7%)、「安いため」(39.5%)、「インターネットでしか販売していない⾷品であるため」(39.0%)となっている。
ただし、利⽤頻度及び利⽤業態別で顕著な違いが⾒られた。
週1回以上の利⽤者では、他の利用頻度層より「重い荷物を運ぶのが⼤変」(64.6%)、「買物に費やす時間を節約」(53.1%)、「買物に行けないため」(17.8%)が突出して多く、「安いため」(28.6%)は少ない。
一方、月1回未満の利⽤者では、「重い荷物を運ぶのが⼤変」(29.7%)、「買物に費やす時間を節約」(16.9%)が、他の利用頻度層より少ない。
利用業態では、「ネットスーパー」が「重い荷物を運ぶのが⼤変」(63.1%)、「買物に費やす時間を節約」(42.0%)、「買物に行けないため」(13.7%)が他の業態より突出して多く、「インターネットでしか販売していない⾷品」(23.3%)、「安いため」(30.6%)は少ない。逆に、「お取り寄せ」では、「インターネットでしか販売していない⾷品」(50.9%)が多く、「重い荷物を運ぶのが⼤変」(30.2%)、「安いため」(31.3%)「買物に費やす時間を節約」(18.9
%)が低い。「ネットモール」では、「安いため」(55.9%)が突出して多い。
●利用しているサイトを選んだ理由(複数回答)
「価格や配送料が安いサイトを探して購入」(53.5%)、「購入する食品の用途(生活用、備蓄用、贈答用等)に合わせているから」(30.0%)が多くなっている。
利⽤頻度別では、頻度が高いほど「一度に様々な物を購入できるから」(週1回以上の利⽤者:40.5%、月1回未満の利⽤者:17.8%)、「提供されている義務表⽰事項に係る情報量が多いから」(週1回以上の利⽤者:37.4%、月1回未満の利⽤者:15.9%)の項目が多い。「価格や配送料が安いサイト」については、週1回以上の利⽤者(38.0%)は少ない。
利用業態では、「ネットモール」では、「価格や配送料が安いサイト」が(69.4%)多く、「お取り寄せ」では、「一度に様々な物を購入できるから」が(11.9%)少ない。
●購⼊時の「義務表⽰事項に係る情報」確認状況(上位3つまで)
食品をインターネットで購入する場合、90.5%の者が何かしらの義務表⽰事項に係る情報を確認して購⼊している。
確認する情報は、「原材料」が41.9%で最も多く、次いで「消費期限・賞味期限」が41.0%、「原産地・原料原産地」の35.4%と続く。
●必要とする義務表示事項に係る情報が提供されていなかった場合の行動
「義務表⽰事項に係る情報」の提供がない場合、何かしらの⽅法で確認する者は59.0%。「確認しないし、購⼊もしない」者は22.6%、「確認しないが、 購入する」者は18.4%。
また、何かしらの⽅法で確認する者のうち、他の⽅法を使って確認できなかった場合、76.8%の者がそのサイトで購⼊しない。ただし、週1回以上の利⽤者は、44.2%が確認できなくても購⼊する。
●「義務表⽰事項に係る情報」が確認できずに購⼊しない場合の代替⼿段
「義務表⽰事項に係る情報が提供されている他のサイトで購⼊する」が44.5%、「実店舗に⾏き、購⼊する」が39.8%、「別の⼿段を⽤いて購⼊しない」が26.2%。
年代別でみると、若い年代ほど「実店舗に⾏き、購⼊する」の⽐率が⾼い(20代以下:51.3%、60代以上:28.2%)。
利⽤業態別では、ネットスーパー利⽤者で「実店舗に⾏き、購⼊する」が52.7%と他の業態に⽐べて⾼い。
●「義務表示事項に係る情報」の閲覧時に困ったこと(複数回答)
義務表⽰事項に係る情報が⾒にくかったり、探しにくかったりしたことがある者は、62.9%。
「情報の文字が小さい」(29.4%)、「一覧性がない(まとまって記載されていない)」(23.6%)、「別のウィンドウを開いたり、別のサイトにリンクが貼られている」(21.4%)、「広告・宣伝に係る情報が先に記載されていて義務表示事項に係る情報が出てこない」(20.9%)。
パソコンサイトより、スマートフォン専⽤サイトで情報が⾒にくかったり、探しにくかったりした等の困った経験が多い傾向がある(パソコンサイト:62.5%、スマートフォン専⽤サイト:70.0%)。
●ネット購入での失敗経験(複数回答)
「失敗した経験はない」との回答が43.3%。
購⼊時の失敗経験で多いのは、「内容量の不⼀致」(30.9%)、「写真と実物の不⼀致」(26.1%)、「賞味期限が短かった」(14.8%)。
利⽤頻度別では、頻度が高いほど失敗経験者率が高い。「失敗した経験はない」 (週1回以上:24.4%、月1~3回:38.6%、月1回未満:53.8%)。
調査データより、インターネットで⾷品を購入する理由や態度は、購入頻度や利⽤業態によって顕著な違いがあることが明らかになりました。
週一回以上利用する層は、買い物に行く時間がない、買い物に行けないなど物理的制約を抱えていることが読み取れ、「安さ」や「ネットでしか販売していない」ということだけでなく、購入の利便性や食品表示などの情報量も重視していました。
また、食品の義務表示事項に関する情報も9割が確認しており、サイトで情報提供がない場合、何かしらの⽅法で確認しようと試み、他の⽅法を使っても確認できなかった場合、8割弱がそのサイトで購⼊しないという結果が表れています。
ネット販売では義務付けられていない食品の義務表示事項ではありますが、積極的な情報提供が求められるといえるでしょう。
(※)
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食品のインターネット販売における情報提供の在り方に関する調査(消費者)
(消費者庁食品表示企画課 平成28年8月10日)
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/160810_shiryou1.pdf
回収期間: 2016年6月24日~6月30日
調査方法 インターネットによるアンケート調査
調査対象:
10・20代、30代、40代、50代、60代以上の男⼥を対象に、インターネットによる⾷品の購⼊有無各3,000サンプル以上を回収することとして実施。
実際の性・年代構成、インターネット利⽤者(インターネットによる⾷品購⼊者/⾮購⼊者の⽐率)に合わせるために、以下の⼿順でウェイトバック集計を⾏った。
①総務省統計局「⼈⼝推計」の男⼥10・20代、30代、40代、50代、60代以上男⼥の各⼈⼝を確認
②総務省「通信利⽤動向調査」の「インターネット利⽤者」⽐率を確認し、①に乗じて全⼈⼝からインターネットを利⽤している割合を抽出
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