機能性表示食品「全く知らない」3割。健康食品の制度を重視する人は5割前後(東京都「都民を対象とした「健康食品」の摂取に係る調査」)

東京都では、「健康食品」の安全確保や正しい利用方法の普及啓発の施策に資することを目的として、本年1月に「都民を対象とした「健康食品」の摂取に係る調査」を実施しました。
今回はインターネットによるアンケートの予備調査より「健康食品」の認知度、購入行動等のデータを紹介します。

以下のような結果が得られています。

・用語認知度「全く知らない」は、トクホ5.7%、栄養機能食品 16%、機能性表示食品27%。
・「健康食品は購入しない(購入したくない)」人は 36%。60歳以上は4割強。
・購入時に「効果・目的」を最重視する人2割、「原材料・内容成分」「値段」が1割。
・最近 1 年間の健康食品利用は6割強。トクホ56.0%、栄養機能食品 50%、機能性表示食品 44%、いわゆる健康食品 48%。
・「健康食品」イメージトップは「健康維持」で33%。「効果期待できない」「信用できない」2割強。
・表示への意識は女性の方が男性より高い傾向。
・「健康食品」の摂取目的、18~39 歳「栄養面、美容面」、40~59 歳「疲労回復」、60~74 歳「老化対策」の割合が高い。
・購入先上位は「ドラッグストア」48%、「スーパー」34%、「ネット」31%。ネットは女性、中高年に人気。
・購入時の参考情報、18~39 歳「商品のパッケージ、ラベル」、40~59 歳「口コミ・インターネット等での評判」、60~74 歳「テレビ・ラジオの番組やコマーシャル」が最多。
・購入時の重視度が高い情報は、「効能・効果に関する情報」89%、「価格」86%、「原材料・含有成分が何であるか」76%。
・「機能性表示食品であること」「認証マーク」等、健康食品の制度を重視する人は5割前後。


【調査設計】
(1)インターネットによるアンケート調査
予備調査:
東京都に居住する 18 歳~74 歳までの男女約6,000 名を対象に、「健康食品」の認知度、摂取状況、中学生以下の子どもの摂取状況等(設問数 15)について調査。
本調査:
予備調査より、「健康食品」の摂取頻度の高い人(「概ね毎日利用(摂取)している」「週に数日程度」に該当)、中学生以下の子どもが「健康食品」を摂取している(摂取させている)と回答した人を抽出し、うち約 1,200名について、より具体的な摂取状況や健康危害の有無等について調査。
(2)グループ・インタビュー方式による調査
東京都に居住する 18 歳~74 歳までの男女を対象に、健康食品の利用状況が比較的多い等の条件合致者を抽出した。うち、本本調査への協力が得られた性別・年代別による3グループ(10~20 代の女性 6 名、40~50 代の女性 6 名(うち 1 名体調不良のため欠席)、40~50 代の男性 6 名)について、1グループあたり2時間のインタビューを実施。

【予備調査結果】
「健康食品」に関する用語認知

「具体的な内容をよく知っている」は、特定保健用食品(トクホ)24.3%、栄養機能食品 14.5%、機能性表示食品 13.1%、いわゆる健康食品 11.8%。「名前を聞いたことがある程度」がそれぞれ6~7割を占めている。
一方、「全く知らない」は、特定保健用食品(トクホ)5.7%、栄養機能食品 15.8%、機能性表示食品26.6%、いわゆる健康食品 27.4%となっており、特定保健用食品(トクホ)以外、いずれも「全く知らない」のほうが「具体的な内容をよく知っている」より高くなっている。
「健康食品」用語認知2016(東京都)

「健康食品」購入時の重視点(SA)
「健康食品は購入しない(購入したくない)」との回答が 36.1%。
購入(摂取)する際、最も重視する点は、「効果・目的」20.2%、「原材料・内容成分(原材料名、原産地、食品添加物等)」10.6%、「値段」10.4%が上位。
性別にみると、「健康食品は購入しない(購入したくない)」が、男性では 43.0%、女性では 29.6%。
重視点は、女性では「効果・目的」が 22.6%、「原材料・内容成分(原料名、原産地、食品添加物、等)」が 14.0%となっており、男性より高くなっている。
年代別にみると、年代が高くなるにつれ「健康食品は購入しない(購入したくない)」の割合が高くなっている。
「健康食品」購入時の重視点2016(東京都)

最近1年間の「健康食品」利用状況

最近 1 年間の利用状況(「たぶん利用」含む)は、66.4%。種類別では、特定保健用食品(トクホ)56.0%、栄養機能食品 50.0%、機能性表示食品 44.4%、いわゆる健康食品 48.1%であった。
性別でみると、男性 62.1%、女性 70.5%と女性のほうが利用率は高かった。
年代別でみると、18~39 歳 69.7%、40~59 歳 67.8%、60~74 歳 58.7%であり、若年層ほど高くなっていた。
「健康食品」利用状況2016(東京都)

「健康食品」に対するイメージ(MA)
イメージでは、「摂取することで、健康を維持できる」31.2%、「食事では摂取しにくい栄
養成分を摂取することができる」24.4%に続き、「効果は期待できない」23.6%、「あまり信
用できない」21.4%も上位。
性別にみると、多くの項目で女性のほうが高い。例えば、女性では「製品パッケージの表示を、しっかり見て選ぶ必要がある」(17.6%)、「表示に記載された目安量を守って摂取する必要がある」(15.7%)など、購入時の選択、摂取量に留意するイメージや考えが男性より高い割合となっている。
年代別にみると、18~39 歳では、「摂取することで、健康を維持できる」(33.3%)、「摂取することで、身体的な悩みが改善できる」(13.7%)の割合が他の年代に比べて高くなっている。また、年代が高くなるにつれて「効果はあまり期待できない」、「あまり信用することができない」、「なかには、品質(成分の含有量や吸収されやすさなど)にバラつきのある製品もある」といった冷静な視点でのイメージや考えが高い割合となっている。
「健康食品」イメージ2016(東京都)

「健康食品」の摂取目的(MA)【回答ベース:最近 1 年間健康食品摂取者】
摂取目的は、「栄養バランス」41.1%、「健康増進」39.9%、「疲労回復」20.1%。
性別にみると、男性では「健康増進」(43.8%)、「血圧上昇の抑制」(8.1%)などが女性より高い割合になっており、女性では「痩身、ダイエット、体脂肪の抑制」(15.7%)、「美肌・美白などの美容目的」(18.5%)、「便秘の予防・解消」(11.9%)などが男性よりも高い割合となっている。
年代別にみると、18~39 歳では「栄養バランス」(48.0%)、「痩身、ダイエット、体脂肪の抑制」(16.6%)、「肌荒れ」(11.8%)などの栄養面、美容面の割合が高い。40~59 歳では「疲労回復」(22.1%)、60~74 歳では「目の健康」(14.8%)、「老化の予防」(15.7%)、「関節の健康」(12.7%)などの割合が高くなっている。
「健康食品」利用目的2016(東京都)

【本調査結果】
「健康食品」の購入先(MA)

購入先としては、「ドラッグストア」48.3%、「スーパーマーケット」34.4%、「インターネ
ットショッピング」31.5%。「自分では購入しない」人は 9.1%。
性別にみると、男性では「コンビニエンスストア」(27.2%)、「ディスカウントショップ」(11.1%)が女性よりも高い割合。また、男性では「自分では購入しない」人が 11.5%いる。女性では「通信販売」(20.2%)、「専門店・メーカー直営店」(5.8%)などが男性よりも高い割合となっている。
年代別にみると、18~59 歳では「ドラッグストア」、「コンビニエンスストア」での購入割合が高く、40~59 歳、60~74 歳では「インターネットショッピング」、「通信販売」での購入割合が高い。
「健康食品」購入先2016(東京都)

「健康食品」購入時の参考情報(MA)【回答ベース:「健康食品」購入者】
参考情報としては、「テレビ・ラジオの番組やコマーシャル」35.9%、「口コミ・インター
ネット等での評判」31.5%、「商品のパッケージ、ラベル」29.0%。 性別にみると、女性では「口コミ・インターネット等での評判」以外は、男性より高い割合。
年代別にみると、18~39 歳では「商品のパッケージ、ラベル」(36.6%)、40~59 歳では「口コミ・インターネット等での評判」(37.3%)、60~74 歳では「テレビ・ラジオの番組やコマーシャル」(41.4%)が最も高い。また 60~74 歳では「新聞・雑誌の広告」(29.0%)の割合が他の年代に比べ高くなっている。
「健康食品」購入時の参考情報2016(東京都)

「健康食品」購入時の重視度が高い項目【回答ベース:「健康食品」購入者】
購入時の重視度(「とても重視する」「重視する」の合計)が高いものは、「効能・効果に関
する情報」88.9%、「価格」85.8%、「原材料・含有成分が何であるか」76.1%であった。
「特定保健用食品であること」(51.3%)「認証マーク等の表示やマーク」(56.1%)は5割を超えたが、「栄養機能食品であること」(47.2%)「機能性表示食品であること」(45.9%)については、認知度の低さも相まって5割を下回った。
性別にみると、多くの項目で男性よりも女性のほうが、重視度が高い。
年代別にみると、60~74 歳では、「価格」「特定保健用食品であること」「栄養機能食品であること」を除くすべての項目の重視度が他の年代に比べ高くなっている。
「健康食品」購入時の重視度2016(東京都)

次回は、「健康食品」の摂取頻度の高い人を対象とした本調査より、具体的な摂取状況や健康危害の有無等のデータを紹介します。

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都民を対象とした「健康食品」の摂取に係る調査
(東京都 平成28年2月)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2016/03/60q3t100.htm
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《関連記事》
・平成26年度第4回インターネット都政モニターアンケート「健康食品」
「健康食品」のイメージ・利用状況・購入参考情報編

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。