令和3年8月施行の改正薬機法で新設の課徴金制度、アフィリエイトは課徴金の対象になるのか?

課徴金の対象外となる商品や事業者

課徴金制度では、医薬品的な効能効果をうたった健康食品や雑品の広告は対象となっていません。また、媒体社や広告代理店、アフィリエイター等は課徴金命令の対象となりません。
これらに対する規制強化施策としては、課徴金制度と合わせて導入された措置命令(第72条の5)が追加されました。

課徴金は『取引をした医薬品等の対価の合計額』(第75条の5の2)をもとに計算することとされており、例えば、新聞社、雑誌社、放送事業者、インターネット媒体社等の広告媒体事業者及びこれら広告媒体事業者に対して広告の仲介、取次ぎをする広告代理店、サービスプロバイダー等が行う取引は含まれません。

つまり、これらの媒体社や広告代理店、アフィリエイター等には課徴金命令が出ることはないといえます

・課徴金納付命令に係る対価合計額の算定の方法について
(令和3年7月6日薬生監麻発0706第1号厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長)
https://www.mhlw.go.jp/content/000801629.pdf

・課徴金納付命令に係る対価合計額の算定の方法に関するQ&Aについて
(令和3年7月6日厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課事務連絡)https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/koukokukisei/dl/index_h.pdf

他方、措置命令の対象行為は、「虚偽・誇大広告」(第66条)と「承認前医薬品等の広告」(第68条)となっており、健康食品や雑品についても、医薬品的な効能効果をうたった場合に適用されます。(課徴金は66条のみ)

また、措置命令に関しては、違反広告に関わったアフィリエイターやインフルエンサーを含む「何人も」対象となります。景表法では対象とならなかったこれらの事業者も措置命令を受ける可能性があります。

措置命令の対象行為:
①虚偽・誇大広告等の禁止(66条)
医薬品等の名称、製造方法、効能・効果、性能に関する虚偽・誇大な記事の広告・記述・流布の禁止。(第1項)

②承認前医薬品等の広告の禁止(68条)
承認(又は認証)前の医薬品、医療機器又は再生医療等製品について、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告の禁止。

措置命令の内容:
措置命令の内容は、景表法と同様の趣旨内容となっています。

・その違法行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示
・その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置

【具体例】
 ①違反したことを医薬関係者及び消費者に周知徹底すること
 ②再発防止策を講ずること
 ③その違反行為を将来繰り返さないこと 等

化粧品や美容機器、医療機器、健康食品など、広告適正化に向けて広告業界の法規制が強まっています。

—————
医薬品等の広告規制について(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/koukokukisei/index.html
—————

《関連記事》

・薬機法改正へ 医薬品、化粧品、医療機器、「未承認医薬品」の誇大広告に「課徴金」導入(平成30年12月 「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」)

・医薬品ネット販売対応、概ね改善。 濫用等のおそれがある医薬品の複数購入対応に課題(令和2年9月 医薬品販売制度実態把握調査)

・改正薬事法施行 医薬品ネット販売 正式解禁!押さえておきたい販売ルール(平成26年6月12日)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。