消費者庁 健康食品広告ネット監視108事業者(157商品)の表示に改善要請 令和6年度の指導件数は減少(消費者庁: 2025年1月~2025年3月)

2009年度より継続実施されている、消費者庁による健康食品等の虚偽・誇大表示のインターネット監視。2025年1月~2025年3月の結果が2025年5月16日に公表されました。

ネット監視の方法は、ロボット型全文検索システムを用いて、キーワードによる無作為検索の上、検知されたサイトを目視により確認するというもの。
今回の監視では108事業者(157商品)の表示について、健康増進法に違反するおそれのある文言等を含む表示があったとして、消費者庁がこれらの事業者に対し、表示の適正化を求めるとともに、ショッピングモール運営事業者へも表示の適正化について協力を要請しています。

年度別改善指導件数では、令和6年度は519事業者(620商品)で、前年度の771事業者(792商品)から大きく減少しました。
推移を確認すると、新型コロナウィルス感染症拡大による健康食品監視強化により令和3年度から5年度までは700~800事業者・商品数で高い水準となっていました。令和5年5月から「5類感染症」に移行後、6年度の監視状況が落ち着いたとみられる中、「紅麹」問題に端を発した保健機能食品に関する食品表示基準の改正など、今後の監視動向が注目されます。

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インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示に対する要請について
(消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/extravagant_advertisement/#internet
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表示されていた健康保持増進効果等の商品区分別では、「いわゆる健康食品」が74商品、「飲料等」が57商品、「加工食品」が24商品、「生鮮食品」が2商品でした。
「いわゆる健康食品」は、カプセル、錠剤、顆粒状等のもので、商品件数全体の5割弱を占めています。

適正化を要請された健康保持増進効果等の表示例

疾病の治療・予防効果:
「がん予防」、「認知症予防」、「骨粗しょう症予防」、「便秘解消」、「生活習慣病予防」、「高血圧予防」、「花粉症対策」、「婦人病の改善」、「病気の予防」

身体の組織機能の一般的増強・増進効果:
「疲労回復や集中力を高める効果」、「貧血予防効果」、「肝臓の解毒効果」、「むくみ、冷え性対策」、「抗酸化作用」、「甲状腺ホルモン(新陳代謝の活性化、成長促進)の構成」、「ダイエット」、「アンチエイジング」、「デトックス」、「抗炎症作用」、「止血効果」、「関節痛」、「リラックス効果」、「肩こり」、「体臭・口臭対策」、「胃腸や肝機能の強化」、「老化予防」、「二日酔い防止や予防」、「いびき防止」、「腸内環境を整える」、「記憶力UP」、「精力増進」、「女性ホルモンの活性化に働きかけ」

特定の保健の用途に適する旨:
「血糖値の調整」

美容関連効果:
「美肌作用」、「シワやシミ、たるみ等の肌老化の解消」、「薄毛予防」、「肌の保湿対策」、「肌のキメを整える」

「健康保持増進効果等」を暗示的又は間接的に表現するもの:
「腸活」、「血液サラサラ効果」

健食広告留意事項の一部改定で追加された例示「腸活」

健康食品に対する虚偽・誇大広告等に対しては、景品表示法と健康増進法との一体的な法執行が消費者庁の表示対策課食品表示対策室において行われています。
虚偽・誇大広告規制の判断基準とされているガイドライン「健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」の一部改訂が、2022年12月5日に公表されています。
今回、適正化を要請された健康保持増進効果等の表示例にも、本改定で「『健康保持増進効果等』を暗示的又は間接的に表現するもの」として例示が追加された「腸活」が含まれています。

健康食品(明らか食品含む)を扱う事業者の皆さまには、コンプライアンス対応として必ず押さえておきましょう。
・健食留意事項の一部改訂、違反表示事例が充実し、より明示的に
(「健康食品に関する景品表示法および健康増進法上の留意事項」一部改訂 2022年12月5日)

また、消費者啓発として健康食品に関するパンフレットやリーフレットを公表しています。
国の考え方を理解する上で、併せて確認しておくとよいでしょう。

●健康⾷品に関する景品表⽰法及び健康増進法上の留意事項について(要約版)
(パンフレット:消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/161121premiums_2.pdf

健康食品Q&A(2024年12月 消費者庁)

健康食品5つの問題(2024年7月 消費者庁)

≪関連記事≫
・インターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示の監視状況(消費者庁)
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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。