東京都では、毎年、法令違反の可能性が高いと思われる健康食品の試買調査を行い、不適正な表示・広告を行った事業者に対し改善等を行っています。
成分検査による医薬品成分の検出も確認しています。
2020年度の調査では、消費者への注意喚起として、以下の事例が示されています。
【不適正な事例】
「ヘルペスの予防」
「便秘解消」
「糖尿病改善」
「アレルギーを抑える」
広告表示違反の傾向について、確認してみましょう。
———
健康食品の不適正な表示・広告にご注意!令和2年度健康食品試買調査結果
(2021.3.24 東京都福祉保健局生活文化局)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2021/03/24/02.html
———
●試買品目数56品目のうち41品目で法令違反の疑い
今回調査で購入した健康食品56品目のうち41品目で、試買品目数の73%に製品表示や広告に法令違反又は違反の疑いあり。
購入方法別では、店舗購入10品目中2品目、ネット購入46品目中39品目が不適正な表示・広告となっている。
前回2019年度調査では、125品目のうち違反品目は116品目(店舗購入39品目(内、違反品目30品目)、ネット購入86品目(内、違反品目86品目))だったが、20年度は調査品目数が半数以下となっている。
また、シルデナフィルを含む2製品、タダラフィルを含む2製品及びメラトニンを含む1製品の、合計5製品から医薬品成分が検出された。
注目されている製品テーマ(購入品目の多いもの)として、店舗、ネット共に「男性機能向上」、「ダイエット効果」となっており、ネットでは「免疫力増強」も多くなっている。
●表示違反が多い法律は、特商法、薬機法
特定商取引法が37件、医薬品医療機器等法が36件と並んで多くなっている。
次いで、景品表示法19件、食品表示法(保健事項)15件、食品表示法(衛生事項)10件となっている。
製品テーマ別では、主に以下の法律での違反が目立つ。
男性機能向上:特定商取引法、景品表示法、医薬品医療機器等法
免疫力増強:医薬品医療機器等法、特定商取引法、景品表示法
ダイエット効果:特定商取引法、医薬品医療機器等法
健康茶:医薬品医療機器等法、特定商取引法
今回の調査で、違反又は違反の疑いがあるとみなされた表示です。
——-
●製品についての不適正な表示・広告の事例
健康増進法(健康保持増進効果等の虚偽誇大表示):
・著しく事実に相違する又は人を誤認させるおそれのある表示
当該食品を摂取することで感じた違いとして「疲れにくさ」「便通」等をあげ、アレルギー体質の改善や胃の不調の改善に関する体験談を掲載することで、あたかも様々な身体の不調を改善するかのような表示
(これら文言だけでなく、グラフや写真なども含めた表示全体から判断)
景品表示法:
・優良誤認に該当するおそれのある表示
「免疫細胞を活性化」等の効果を裏付ける合理的根拠がないおそれのある表示や「類似品のない健康食品」「唯一無二の製品」等と客観的な実証のないおそれのある表示をし、商品が他社の商品よりも優れているかのように消費者の誤認を招くおそれのある表示。
・有利誤認に該当するおそれのある表示
「期間限定特別価格」と期間中に限り特別価格で販売しているように表示しながら、実際には期間限定ではなく、消費者の誤認を招くおそれのある表示。
医薬品医療機器等法:
・疾病の治療又は予防を目的とする効能効果に該当
「ヘルペスの予防」「便秘解消」「糖尿病改善」「アレルギーを抑える」「発がん予防効果」「脳卒中発作を抑制」「殺菌」
・身体の組織機能の一般的増強・増進を主たる目的とする効能効果に該当
「免疫細胞を活性化」「GLP-1を増やす」「脂肪燃焼」「滋養強壮」「NO(一酸化窒素)分泌サポート」「血管新生を阻害」「疲労回復」「血行促進」
●法令で義務付けられている表示についての不適正な事例
食品表示法(容器包装の表示):
・原材料と添加物が明確に区分されていなかった。
・添加物が適切に表示されていなかった。
用途名である「着色料」のみが記載されており、物質名が併記されていなかった。
・一括表示が適切に表示されていなかった。
食品表示基準で定められた別記様式を用いた表示がされていなかった。
・製造所又は加工所の情報が適切に表示されていなかった。
表示に責任を有する「食品関連事業者の所在地及び名称」は表示されていたが、「製造所又は加工所の所在地及び名称」が欠落していた。
・栄養成分の単位が正しく記載されていなかった。
・栄養成分表示の義務表示事項が正しく記載されていなかった。
栄養成分表示に「糖質」と「食物繊維」の表示しかなく、炭水化物の表示されていなかった。
・栄養機能食品の必要表示事項が正しく記載されていなかった。
栄養成分の機能について、食品表示基準に定められたとおりの文言で表示されていなかった。
特定商取引法(通信販売広告の表示):
・「申込み最終確認画面」に返品特約が表示されていなかった。
返品に関する事項(返品の可否・返品の期間等条件・返品に係る送料負担の有無)について、「申込みの最終確認画面」に表示されていなかった、又は表示が不明瞭で認識しにくかった。
・定期購入の場合の表示事項が明瞭に表示されていなかった。
購入者から解約の通知がない限り継続される無期限又は自動更新の契約である旨や、2回目送付分以降の商品の価格、送料、支払総額などの表示が、小さな文字でわかりにくかった。
—–
不適正な表示・広告を行った事業者に対しては改善等を指導しており、他の自治体が所管する事業者については当該自治体に通報し、指導等を依頼しています。
他にも東京都では、インターネット広告表示監視事業により発見された不当表示に対して改善指示を行ったり(※)、消費者庁では、国と地方、地方の間での調査情報、被疑事案情報の共有を図ることを目的とした『景品表示法執行NETシステム』を、2012年4月から運用しています。
(※)
令和元年度ネット広告(年間24,000件)監視 329通販事業者に改善指導!(東京都)
<関連記事>
・東京都サイバー薬事監視の取組(1)【ネットショッピングモール(B to C)編】
======================================
◆広告法務コンサルティング・社員教育◆
販促・広報戦略、商品表示・広告チェック社内体制構築等、
社外専門家としてのノウハウとサポート
詳細はこちら
======================================
————————————————————-
◆本ブログをメルマガでまとめ読み!
本ブログの1週間分の情報を、ダイジェストでお届けしています。
登録はこちら
————————————————————-