消費者庁執行体制強化!平成28年度予算実質3.6億円増額。課徴金制度対応人員9人増 (平成28年度予算案・機構定員要求の結果)

昨年12月24日、平成28年度の予算案が閣議決定され、消費者庁の28年度予算総額は、一般会計が118.9億円[前年度120.0億円(特殊要因等※を除くと115.3億円)]、復興特別会計が4.8億円を計上しました。
特殊要因分を除いた実質的な部分においては、平成28年度予算は約3.6億円の増額となっています。

※特殊要因等(平成 27 年度予算)
・消費者庁オフィスの移転に伴う4号館改修等の経費(約4.6億円)
・個人情報保護委員会に移管する個人情報保護業務に伴う経費(約0.2億円)

8月の概算要求では一般会計は141億9,500万円となっていましたが、約23億円絞られました。
内訳をみると、27年度予算より20億円上積み要求していた地方消費者行政推進交付金が据え置きとなり、50億円から30億円計上に縮小されています。

《参考記事》
・課徴金制度対応人員16人増、執行体制強化 (平成28年度消費者庁予算概算要求)
(2015年9月4日)

消費者庁は第三期「消費者基本計画」(平成 27 年3月 24 日閣議決定)の下、今後の5年間は、消費者の安心・安全の確保は、消費の拡大、さらには「経済の好循環」にとって大前提との認識の下、消費者一人ひとりの「安全で安心な暮らし」の確保に向けて取り組んでいくとしています。
平成 28 年度の重点取り組み事項として以下の3本柱を挙げています。

1.消費者問題が多様化・複雑化する中で、地域等における多様な担い手の参画
や連携・協働の強化
2.ルール整備や執行体制の充実による制度の実効性の確保・向上
3.生命身体・財産の安全・安心のための情報収集・提供の強化

重点取り組み事項の中から、事業活動に関連する政策とその予算額をピックアップして紹介します。

注:( )内は平成 27 年度予算額
●事業者連携推進に必要な経費【6百万円(7百万円)】
消費者志向経営を促進するため、優良な事業者に対する表彰の実施体制や実施要領等を検討・整備する。また、事業者や事業者団体に対し、自主的な取組の促進のため、普及・啓発を行う。
●公益通報者保護制度の運用に関する情報収集・調査研究【6百万円(4百万円)】
法制度の整備等のために必要な各種調査等を実施する。

●景品表示法情報ネットワーク等の運用経費【43百万円(5百万円)】
景品表示法の課徴金制度の施行に向け、都道府県等との情報共有を行っている景品表示法執行 NET システムについて課徴金制度の導入を踏まえた改修を行うほか、景品表示法違反被疑情報提供フォーム等について、情報セキュリティ保全対応を行う。

●消費者団体訴訟制度の企画・推進に必要な経費【30百万円(36百万円)】
消費者団体訴訟制度の周知広報及び実効性確保に関する調査研究を行うとともに、適格消費者団体・特定適格消費者団体の認定・監督等を適切に行う。

●電子商取引モニタリング事業経費【154百万円(89百万円)】
迷惑メール追放支援システムのセキュリティ対策等の改修。

●食品表示に関する違反事件調査等経費【22百万円(10百万円)】
いわゆる健康食品の表示に疑義が生じた場合、複数の専門家による科学的根拠の文献査読・実証等を行う体制を構築し、科学的な根拠に基づく事件の措置方針を迅速に決定する。

●消費者被害・トラブル情報の新たな把握手法の検討【6百万円(新規)】
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)では捕捉しづらい消費者被害・トラブルの事例についても迅速に把握し、的確な対応につなげられるよう、インターネット上の書き込み等の情報から消費者被害・トラブルの状況を把握する手法を検討する。

●新たなインターネット技術・サービスに関する消費者トラブルの動向調査【14百万円(20百万円)】
インターネットを活用した取引の高度化・複雑化に伴い新たな消費者トラブルが発生していることを踏まえ、その実態を把握するとともに、今後発生し得る消費者トラブルの早期発見、潜在的なリスクを分析するための調査を実施。

●消費者行政の企画立案のための調査等に必要な経費【5百万円(新規)】
有識者を交えた検討会等を通じ、消費者を取り巻く現状や問題の調査・分析、課題発見・対策提示機能を強化する。

●インターネット取引調査経費(越境取引対応に関する国際連携に必要な経費)【14百万円(14百万円)】
海外事業者との取引でトラブルにあった消費者の相談窓口である国民生活センター越境消費者センター(CCJ)における、海外事業者とのトラブル解決支援。
また、越境取引に関する消費者トラブルに対応するため、海外の消費者相談機関等との連携体制の拡大を図る。

●新たな食品表示制度の適正化・充実に係る経費【32百万円(25百万円)】
新たな食品表示制度について、消費者、事業者等への普及啓発を行い、制度の適正化・充実を図るために必要な検討を行う。

●食品表示に関する消費者向け情報提供の仕組みの運用経費【25百万円(新規)】
機能性表示食品制度の届出情報や、製造所固有記号について、消費者からアクセス可能なデータベースの運用を開始する。

●食品表示基準実態把握調査経費【56百万円(45百万円)】
食品表示制度に係る個別課題や、機能性表示食品制度に係る残された検討課題への対応に向けた実態把握調査等にも引き続き取り組む。

●人員面では13人の増員、2人減員、差引き11人増
消費者庁の定員は320人。(平成27年度末の定員は309名)
内訳は今春4月施行予定の改正景品表示法の課徴金制度への対応に9人、高齢者等被害防止するための体制整備・地方の相談体制整備で1人、情報化・グローバ化対応で1人、食品表示の充実による多様な選択機会の確保で2名。

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◆消費者庁 平成 28 年度予算案について
 (消費者庁:平成27年12月)
 https://www.caa.go.jp/policies/budget/pdf/h28hoseiyosan.pdf
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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。