先日の記事では、機能性表示食品とトクホの広告審査について取り上げました。
「いわゆる健康食品」と異なり、食品の機能性の表示が認められるトクホと機能性表示食品ですが、それぞれ、許可表示や届出表示の範囲を超える広告表現は不適正とみなされます。
更に問題となってくるのは、機能性表示食品における、届出表示のエビデンスの妥当性です。
機能性表示食品の広告では、いくら届出表示の範囲内で広告表現を行っていたとしても、そもそも届出表示のエビデンスに合理性がなければ、不適切な表示となってしまいます。
表示が認められる機能性について、トクホは国による許可制であるのに対して、機能性表示食品は事業者責任に基づく届出制であるため、届出表示のエビデンスの妥当性を確保することが求められます。
この、届出表示のエビデンスの「客観的評価機関」として、業界自主ルールである機能性表示食品の公正競争規約への期待が高まっています。
2019年10月に(一社)健康食品産業協議会と(公社)日本通信販売協会が連携し、機能性表示食品およびサプリメントの公正競争規約策定に向けた検討を開始しています。
既にトクホについては、(公財)日本健康・栄養食品協会が2019年7 月、公正競争規約案の策定を行うと発表し、今年の3月13日より4月13日までパブリックコメントの募集を行われ、結果公表と施行を待つ段階となっています。
公正競争規約は業界自主ルールですが、景品表示法の規定に基づき、公正取引委員会や消費者庁長官の認定を受けるものです。
規約の参加事業者は、規約の内容を遵守している限り、景品表示法や関係法令上問題とされることがないため、安心して販売活動を行うことができます。
今年の4月1日より運用開始された機能性表示食品の事後チェック指針では、「客観的評価機関において、科学的根拠資料が妥当と評価を受けたものについては景品表示法上問題となるものとは取り扱わない」と示されました。
公正競争規約を運営する「公正取引協議会」において、届出された根拠資料の科学的な合理性の評価機能を持たせられれば、「客観的評価機関」として、届出表示のエビデンスの妥当性を担保してもらえそうです。
公正競争規約として、どこまで届出表示のエビデンスの評価に踏み込むかは未だ検討中の段階だと思いますが、制度に則って科学的観点からしっかりと評価されることによって、事業者責任に基づく機能性表示食品の信頼性が確保され、市場発展につながることと思います。
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機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針(消費者庁 2020年3月24日公表)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/about_foods_with_function_claims/pdf/about_foods_with_function_claims_200324_0003.pdf
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「特定保健用食品の表示に関する公正競争規約(案)」等に関する意見募集について
(e-Gov[イーガブ])
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=235070033&Mode=0
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≪関連記事≫
・機能性表示食品の事後チェック指針案のパブコメ開始! 指針に対する消費者庁の思惑は?(消費者庁 2020年1月16日:公表)
・機能性表示食品の広告規制の透明化。消費者庁「事後チェック指針」公表へ
・「葛の花」16社に、機能性表示食品で初の景表法措置命令。届出内容と表示の整合性
(消費者庁:平成29年11月7日)
・令和の健康食品広告の法規制動向と事業者のコンプライアンス傾向
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