化粧品や健康食品での通販定期購入トラブル対策に向けた、行政からの働きかけが活発です。今回は、国民生活センターが決済サービスの側面からの課題を指摘しています。
国センが今月23日に公表した調査によると、「立替払い型の後払い決済サービス」が通販定期購入トラブルによる消費者の経済的被害を助長していることが分かりました。
「立替払い型の後払い決済サービス(以下、「後払い決済」)」とは、後払い決済事業者が販売店(後払い決済事業者の加盟店)へ商品代金を立替払いします。
消費者が購入商品を受け取った後、後払い決済事業者から消費者に請求書が送付され、消費者がコンビニや銀行等から後払い決済事業者へ代金を支払うというもの。
後払い決済は、クレジットカード情報の入力不要なことや、商品受け取り後に支払いできるため、安心なイメージがあります。
ところが、国センに寄せられた「立替払い型の後払い決済サービス」が関連する相談は年々増加傾向にあり、2014年度から886件の相談が寄せられ、2019年度の相談件数は2018年度の同時期の約3倍になっています。そして、その相談内容において、「お試し」定期購入に関する相談が多くなっているのです。
相談からみる後払い決済の課題として、以下の指摘がなされています。
・後払い決済事業者による消費者への過剰与信が十分に行われておらず、消費者が支払うことになる総額に気付かず、支払い能力を超えた請求がされてしまう。
・未成年者の後払い決済の利用について、親権者等の同意が必要であることの明示的な表示や、実際に親権者に確認するわけではない。
・販売サイト上の注文画面に、第三者による不正入力された場合、後払い決済事業者において不正利用の調査や、不正利用防止の取り組みや消費者への対応が十分に行われていない。
・後払い決済事業者は加盟店である販売店に対して、消費者からの解約に関する苦情への対応を行わない。販売店と加盟店契約を解除するケースもあるが、契約を解除された販売店が、別の後払い決済事業者と加盟店契約を新たに締結することもあり。
・後払い決済事業者において販売店との加盟店契約時や、契約後継続的又は消費者からの苦情発生時に、モニタリングを含む加盟店調査が十分に行われていない。
このような課題の背景には、後払い決済ではクレジットカード決済や「前払式支払手段」のように、割賦販売法や資金決済法の適用がないことにあります。
割賦販売法、資金決済法では、過剰与信防止や苦情処理、加盟店調査等のルールが義務付けられていますが、後払い決済においては事業者の自主的な取り組みに委ねられています。
国センでは、消費者トラブルを防止するよう後払い決済事業者に以下の要望を出しています。
【販売店と協力した取り組み】
・販売店のサイト上の最終確認画面で、注文・契約にあたって消費者の支払総額が十分に認識できるようにする。
・後払い決済の利用にあたって、利用者の未成年者であるかの確認や、未成年者の場合には親権者等の同意を確認する手段や同意を得ることが必要である旨を注文画面等に分かりやすく表示する。
・不正利用の防止に取り組むとともに、消費者からの不正利用の問い合わせについては、後払い決済事業者自らが販売店と事実確認を行う。
【販売店への働きかけ】
・消費者からのトラブルの申し出については、トラブルの原因が販売店における消費者保護に欠ける行為によるものかを調査等し、トラブルの解決に向けて適切かつ迅速に対処する。
・販売店との加盟店契約にあたり、販売店のサイト上の表示について、トラブル発生のおそれがないか確認する。
・加盟店契約締結後は、定期的に販売店の連絡先、販売方法、サイト上の表示等について調査・把握するとともに、消費者からトラブルの申し出があった際には、販売店に対して苦情の発生状況等について調査を行い、調査結果に応じて、販売店への改善の要請や加盟店契約の解除を行う。
【後払い決済事業者間での協力】
・販売店における消費者保護に欠ける行為や苦情の発生状況等の情報を、後払い決済事業者間で共有することについて検討を行う。
定期購入トラブルに限らず、ネット通販での消費者被害を水際で食い止めるためには、後払い決済事業者の積極的な取り組みに期待したいです。
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(特別調査)消費者トラブルからみる立替払い型の後払い決済サービスをめぐる課題
(国民生活センター 2020年1月23日:公表)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20200123_1.html
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