4年目に入った機能性表示食品制度品質管理の課題とは(3)。届出後の分析実施の公開状況(アンケート調査編)

『平成29年度機能性表示食品の届出後における分析実施状況及び健康被害の情報収集等に関する調査・検証事業報告書』より、前回は届出者を対象としたアンケート調査による、「届出後の分析実施状況」を確認しました。
今回は「届出後の分析実施の公開状況」について取り上げます。

【アンケート調査結果】
機能性表示食品(平成29 年9月30 日までに届け出られた1,124 件(撤回されたものを除く。))に対して郵送。
回答した事業者数は250件(72.3%)、回答のあった届出食品は953件(84.8%)であった。

●届出後の分析実施状況の公表について
(1)分析の実施状況についての公表
・「行ったことがない」が89.8%で、ほとんどの届出食品について分析実施状況の公表は実施されておらず、公表されている届出食品は9件(0.9%)のみだった。
・公表している項目としては、分析頻度が3件(33.3%)、分析方法が3件(33.3%)、分析結果が5件(55.6%)だった。
機能性表示_分析公表

(2)情報公開媒体
※「行っている」とした届出食品に限定。
・情報公開している媒体としては、自社のウェブサイトが3件(33.3%)、自社以外のウェブサイトが3件(33.3%)、その他が6件(66.7%)だった。その他の内容としては、「消費者から希望があれば分析書を郵送している」、「テレビ通販で掲載」といった回答がみられた。

(3)情報の公表を行っていない理由(複数回答可)
※「以前は行っていたが、現在は行っていない」又は「行ったことがない」とした届出食品に限定。
・情報を公表していない理由は「特にない」が28.7%と最も多く、次いで「消費者のニーズがないため」が20.7%、「販売実績がないため」が11.6%、「どのような項目を公表すべきか分からないため」が11.1%だった。
機能性表示_分析公表しない理由

(4)今後の公表予定
・今後、「公表予定がある」とした届出食品は2.9%にとどまり、86.0%が「公表予定はない」又は「分からない」と回答した。
・企業規模別に今後の公表予定をみると、「公表予定がある」は、大企業では3.8%、中小企業者、小規模事業者ではそれぞれ、1.8%、4.0%となっている。
・「公表予定はない」は、大企業では59.6%、中小企業者、小規模事業者ではそれぞれ、37.1%、24.0%と、大企業では公表予定を明確に否定する割合が高かった。
機能性表示_分析公表_予定

【届出後に分析を実施し、その結果を公表する方法】
・届出後の分析実施状況についてウェブサイト等で情報発信を行っている届出者はほとんどいなかった。
・行っていない理由としては「特にない」や「消費者のニーズがないため」が多く、「その他」を選んだ場合の自由回答でも「公表すべきだと考えていない」との記載が見られるなど、分析状況の公開の必要性が届出者に認識されていない状況。
・「どのような項目を公表すべきか分からないため」という回答も比較的多く挙げられた。
・「お客様からの問合せなどでデータ開示が必要な場合には都度対応する」といった記載が複数見られた。

消費者が個別の届出者に問合せを行うことなく簡便に確認できるよう、より積極的な情報公開の姿勢が望まれる。
公開することが望ましい項目:
分析対象成分:届出資料に記載した全ての成分及び確認項目について記載する。
分析頻度:届出資料に記載した分析頻度について記載する。なお、分析頻度が一定でない場合は、一定期間ごとに平均的な頻度を記載する。
分析結果:一定期間ごとに分析対象成分の分析結果を公開することが望ましい。ここでいう分析結果とは、機能性関与成分及び安全性を担保する必要がある成分の分析の場合は当該成分の含有量、崩壊性試験の場合は崩壊時間である。ただし、公開に係る届出者の負担が過大になる場合には、一定期間内の平均値、最小値、最大値で代替することも可とする。
基原の確認については、判断基準となる成分名及び当該成分が検出された旨を記載するのみでよい。

ただし、中小規模の事業者の場合、こうした情報を掲載する媒体を持たないケースもあると考えられる。各事業者団体が分析状況について各届出者からの報告を取りまとめ、事業者団体のウェブサイト等で公開することも有効な方法であろう。

本調査報告書によって、届出後の分析実施について届出資料に記載された内容が、届出者によって大きく異なること、また、記載内容から機能性関与成分の測定原理や、基原の確認の具体的な手法が確認できない届出があるといった課題が示されました。今後、改善に向けてガイドラインの改訂により、既に届け出られた食品を含め、詳細な分析手法の開示が求められることとなるでしょう。
他方、届出後の分析実施の公開については、ウェブサイト等で分析実施状況を公開している届出者はほとんど存在しないことが明らかとなりました。現ガイドラインには「設定した頻度に従い分析が行われていることについて、届出者はウェブサイト等において公開することが望ましい。」と記載されています。今後、届出者には、本報告書で示した公開項目を目安として、積極的な情報発信に取り組んでほしいと思います。

(※)
平成29年度機能性表示食品の届出後における分析実施状況及び健康被害の情報収集等に関する調査・検証事業報告書 (消費者庁  平成30年3月)  http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/research/2017/pdf/information_research_2017_180822_0001.pdf

≪関連記事≫
・3年目に入った機能性表示食品制度最新動向。消費者庁の体制も本格化(消費者庁 平成28年度:機能性表示食品制度の施行状況について)

・健康食品の品質管理と健食ビジネス戦略 (消費者庁 平成27年度:機能性表示食品制度における機能性に関する科学的根拠の検証)

・機能性表示食品制度開始から1年。今後の制度運用動向 (消費者庁:平成28年1月)

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。