健康食品のネット通販定期購入解約トラブル。続く行政の注意喚起。消費者契約法にも注意

東京都が、健康食品のネット通販の定期購入トラブルに注意喚起を行っています。

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お試しで1回、格安の健康食品を買ったつもりが定期購入だった
~ネット通販の定期購入トラブルに注意!~
(東京都 平成28年1月18日)
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/sodan/kinkyu/20160118.html
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本件は悪質事業者通報サイト(※)や消費生活センターに寄せられた通報、相談事例ですが、過去にも同様のケースの注意喚起が各地でなされています。

◆ネット「お試し価格」にご用心 4月以降相談500件超、スマホ画面見づらく?
(産経デジタル 2015.8.10)

法改正が検討されていた「消費者契約法」「特定商取引法」の、虚偽・誇大広告への取消権の付与や、取消しの適用対象となる「勧誘」要件の拡大は、昨年暮れ見送られましたが、消費者トラブルが過熱すれば、規制強化に向かうこととなります。

消費者トラブル防止の観点から、サイト運営での注意事項を確認しておきましょう。

《通報事例》
お試ししてみたが、継続購入したいと思わなかったのに、解約は3回目の商品受取り後
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ネット通販の広告に健康食品がお試し価格で紹介されていたので、クレジットカードを使って購入した。
試してはみたものの、続けて買いたいとは思わなかったので、そのままにしていたら、翌月も商品が送られてきた。
送付状には、定期購入となっている旨が記されていて、2回目に送付された商品の価格は、お試し購入の3倍以上となっていた。
キャンセル依頼をメールで行ったところ、解約は3回目の商品受取り後にならないとできないと返事が来た。(40代男性)
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《相談事例》
お試し価格の500円で申し込んだが、通常価格での3回の商品購入条件に気づかず、急いで事業者にキャンセルを申し入れたが、発送済みだとして断られた
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インターネット広告で見つけた健康食品をお試し価格の500円で申し込んだ。
広告を見直してみると、お試し価格のキャンペーン品のほかに通常価格に近い価格で3回の商品購入が条件となっていることに気づいた。
急いで事業者にキャンセルを申し入れたが、発送済みだとして断られた。(40代女性)
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事業者として事例のような消費者とのトラブルを回避するために、以下の点に注意が必要です。

●注意すべきポイント
定期購入申し込みであること、途中解約ルールが明示的であるか。

お試し価格購入が定期購入を前提とした契約であるならば、以下の契約条件を明示し、同時に、途中解約ルールを予め消費者に納得して契約してもらう配慮が必要です。

・購入必用回数
・購入必要期間
・購入必用金額
・解約手続き方法
・途中解約した場合の精算方法

また、定期購入型の通販においては、消費者契約法にも注意が必要です。

今回の消費者契約法専門調査会報告書では、消費者の利益を一方的に害する条項を記載した10条を改正し、これに該当する条項の例示として、「消費者の不作為をもって当該消費者が新たな契約の申込み又は承諾の意思表示をしたものとみなす条項」が挙げられました。

端的にいうと、「消費者が何の意思表示もしなかった場合は新たな契約を結んだとみなす」といった内容の規約は無効とする、というものです。

たとえば、定期購入型の通販や、有料会員サービスなど年1回の更新時といったときに、解約の意思表示をしなければ自動更新されてしまう、といったビジネスモデルが規制対象になると考えられます。

法改正動向を注視しつつ、消費者理解の得られるビジネスモデルでのマーケティングを行っていきましょう。

◆消費者契約法専門調査会報告書(消費者委員会 平成27年12月)
http://www.cao.go.jp/consumer/iinkaikouhyou/2015/doc/20151225_shoukei_houkoku1.pdf

(※)
悪質事業者通報サイト
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/tsuho/honnin-form.html
東京都が平成25年5月に、法の隙間を狙うなど巧妙化する悪質商法の手口や、被害の状況などの情報をいち早く収集するため開設。
平成26年3月末現在、146件の情報が寄せられ、事業者の処分2件及び指導5件、都民への注意喚起4件の実績。

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久保京子

このサイトを運営する(株)フィデスの代表取締役社長。メーカーにてマーケティング業務に従事した後、消費者と事業者のコミュニケーションの架け橋を目指し、99年に消費生活アドバイザー資格を取得する。
(財)日本産業協会にて、経済産業省委託事業「電子商取引モニタリング調査」に携わったことを契機に、ネットショップのコンプライアンス及びCS向上をサポートする(株)フィデス設立。